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編集一言

1512号

◆今回のインタビュー対象は、主に日本語学科の学生・教師なので、日本語での応答となった。押しかけ取材なのに、相手に「日本語」という外国語で答えていただくことになる。何か申し訳ない気持ちにすらなった。

それにしても学生たちの語学力は、驚くべきレベルだ。大学入学時、ゼロから出発したにもかかわらず、3年生ともなるとほとんど全員が支障なく日常会話ができる。

「日本の現状を報告して欲しい」というリクエストがあったので、@日本の格差問題、A若者の不安定就労と生きづらさ、B女性の社会的地位と幸福感、というテーマで、授業で報告をさせていただいたのだが、後で聞くと「8割くらいは理解できた」という。けっこう難解で専門用語も多い内容なのに…。私の不真面目な大学時代を想起すると、彼女らの熱勉ぶりが窺える。

中国取材に際して、江西財経大学には本当にお世話になった。日本の小さな新聞社にもかかわらず、「海外メディア取材」という扱いとなり、江西大外国語学部としての意思決定のみならず、江西省政府の許可まで必要だったという。

南昌空港までの送迎、宿舎の提供などの便宜もはかっていただいた。順調な取材ができたことは、大学、特に日本語学科の教職員・学生の皆さんの協力があったからである。心から御礼を申し上げる。

次号以降も、引き続き学生たちの意見や教師へのインタビューを紹介したい。(山田)

1493号

◆読者紹介へのご協力、どうもありがとうございます。

近々、「人民新聞」のリーフレットを作成します。皆さんの身近な方々に、紹介していただく素材として使っていただければ幸いです。引き続き、皆さんのご協力をお願いします。(編集部)

◆沖縄取材のたびにお世話になった、沖縄物産企業連合社長の山城加寿さんが、8月下旬に53歳の若さで亡くなられた、と遅ればせながら聞いた。驚きながらも、急いで関係者の方に連絡を取った。

山城さんには、沖縄での取材をセッティングしていただいたり、飲み会に誘っていただいたり、那覇市のご自宅に招いていただいたりと、何かとお世話になった。私は、「知ったかぶり」のヤマトンチューだったにも関わらず、いつも心からもてなしていただいた。もっといろんな話をすれば良かった…。山城さん、ありがとうございました。どうぞ安らかに。

9月16日。釜ヶ崎を中心に、「日本人民委員会」「なめ憲! 憲法を守る意思表示の会」などで活躍された南美穂子さんの追悼会に出席した。亡くなられて、もう1年か、としみじみ。日中・日朝友好運動など幅広く活動に携わっていた南さんだけに、顔ぶれも多彩。若者の姿も多くて、明日の希望を見たような気がした。こんなご時世だけど、諦めるなんてことはせずに、多くの人たちと一緒に闘っていくことの大切さを、改めて教えられた。ありがとう、南さん。(一ノ瀬)

1485号

◆6月某日。「林眞須美さんは無実!あおぞらの会」のニュース、『あおぞら通信』第24号が届く。この中で林さんご本人が、「人民新聞」を読んで、去年秋から毎日のように獄中に聞こえてくる声が、「関西大弾圧救援会」の激励行動だと理解できた、とあった。

林さん自身も、ぱぉんさんと同様に、投薬治療の妨害、接見禁止(4人の子どもさんとの間でも!)や懲罰などのヒドイ扱いを受け続けてきた。「救援会の激励行動は、私に対しても大激励になっています」とのこと。7月には、大阪市内で「『死刑弁護人』クルーがみた和歌山カレー事件」の集会も予定されている(「情報ひろば」参照)。(一ノ瀬)

◆先日、仕事が詰まって深夜作業を覚悟。事務所近くの銭湯(港区)に行った。小さな露天風呂で寛いでいると、「あの橋下は…」との会話が耳に飛び込んできた。3人ほどのおっちゃんが、橋下大阪市長の慰安婦発言や参院選について風呂屋談義をしている。地域の銭湯なので、顔馴染みも多いのだろう。

「『将来の首相』とまで言われて、期待しとったけど、もうこれまでやなぁ」「あんな言い訳しとったらアカンわ。間違うた時は素直に謝らななぁ」「大阪の人間はつい本音言うてまうから、すぐボロが出てまう」…。橋下シンパであろうおっちゃんたちは、残念そうに語り合っている。橋下は、ようやく大阪の庶民からも見限られ始めたようだ。最悪の参院選になりそうだが、楽しみが増えた。(山田)

1474号

◆ 「さよなら原発3・10関西行動」の集会が終わってデモ出発直後。マイクでデモ隊に向かって何やら叫ぶ若者を警官が取り囲んでいる。「ゴキブリ」だの「クサイ」だのという言葉に混じって「非国民」という言葉が聞こえてきたので、右翼らしいことがわかった。反原発運動への批判らしいので、場合によっては取材してもいいと思って聞いていたのだが、驚くほどの無内容ぶり。親から「それを言っちゃあダメよ」と言われるのをおもしろがって、逆に汚い言葉を使いたがる、言葉を覚えたての3〜4才の幼児を彷彿とさせた。

数年前、在特会の関西支部幹部の名刺を差し出した某君に取材を申し入れたことがあるが、この時も腰が抜けるほどの無知さ、論理の稚拙さに、原稿化を諦めたことが思い出された。

あの連中を右翼と言ってしまっては、まともな民族派に申し訳ない気もするが、彼らへの提言。@原発を肯定する根拠は、推進派からそれなりにたくさん提供されているんだから、それくらいは勉強すべし。それから、A体は十分大人なんだから、それに見合った精神的成長を求む。三島由紀夫をはじめ、敵ながら天晴れと思わせる右翼はいた。あんたたちは民族派の面汚しでもあるんだよ。(山田)

◆ 新年度ももうすぐ。住所変更された読者の皆さん、編集部にもご連絡をお願いします。  (編集部)

1471号

◆2013年になって初めての『編集一言』になります。今年はまだ1カ月あまりしか経っていませんが、反弾圧、原発、沖縄の情勢など、活発な動きが見られています。編集部でも、こうした運動に密着していきたいと思います。今年7月の参院選も見据え、安倍政権の改憲への動きも気になるところです。「人民新聞」も踏ん張りどころだと、編集部一同、気をひき締め直しています。(一ノ瀬)

◆私が住む尼崎市にソーラー発電を推進するNPO「尼っこ発電プロジェクト」がある。先週日曜日、10周年記念パーティーに参加した。自室がある集合マンションの屋上に太陽光パネルを設置したいと計画しているからだ。夏の暑さを緩和し、発電もする一石二鳥。

酒も入って盛り上がってきた頃、ソフトバンク・孫正義氏の話題になった。ご存じの通り、孫氏はメガソーラーの推進者だからだ。賛否両論の真っ向勝負なのだが、構図が可笑しかった。孫氏を評価するのは全共闘世代、批判するのは下の世代という構図だったからだ。「なんで元過激派が孫を評価するんや!」との私の言葉は、火に油を注ぐ結果となったことは言うまでもない。反省。(山田)

◆ただ今、「試読キャンペーン」を実施中です。「人民新聞」を購読していただけそうな友人・知人をご紹介ください。試読紙(無料)を3カ月間、お送りします。(編集部)

1466号

◆「がれき焼却反対」の取材で回っていますが、めまぐるしい動きに、原稿がついていけない状態です。この間、色んな方のお話をうかがいました。市役所前の監視テントのぱぉんさん他、また此花区でのがれき説明会で「ぜひ話を聞いて記事にしてください」と、報道席まで足を運んで訴えられた女性たちなど…。数カ月前は「がれき焼却」のことなど何も知らなかった皆さんが、そうして自分の意志で行動する真摯な姿には、本当に胸を打たれました(そのことが記事中に出ていればよいのですが)。それなのに、みんなを引っ張ってきた人たちが立て続けに逮捕・拘留されるなんて!

発行遅れのこの号(読者の皆さん、ごめんなさい)が皆さんのお手元に届く頃には、マスコミの予想通り、「自民大勝」なぁんて、嫌ぁな選挙結果が現実になるのでしょうか?そうなれば、改憲をはじめとした政治的激変が始まることは確実です。でもどんな結果が出るにせよ、世の中は永田町が動かしてるんじゃありません。これからも「新しい時代」への変革期のまっただ中を、皆さんと一緒に考えながら、歩いていきたいと思います。

拘留されている皆さん、多くの人が関心を持って、不当逮捕への抗議の声を上げてますよ。「がれき焼却反対」も、これからが正念場です。獄中は寒いですが、身体に気をつけて!再見!(一ノ瀬)

1459号

◆9月中に出すべき25日号、遅くなってすみません。このままズルズル遅れないようにしたいと思います。これを書いているのは、10月1日。沖縄・普天間飛行場にオスプレイが強硬配備されようとしています。人々は文字通り体を張ってゲート封鎖を闘っています(今すぐ駆けつけて参加したい…!)。人々の思いを踏みにじる日米両政府のやり方は、腹の底から怒りがわいてきます。今夏の大飯再稼働でもそうでした。いま、沖縄や福島や福井の人々は、どんな思いでいるのだろうか。それでも諦めず、くじけることなく、人々は声を上げ続 けています。それが希望です。揺れ動く世界で解放のために声を上げ、立ち上がる情勢に広く目を向けていきたいと思います。(一ノ瀬)

◆「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉どおり、一気に夏が去った。そして食欲が甦ってきた。やばい!断食の副産物で体重が二十歳の頃のレベルになったのに、このところ酒量とともに体重が徐々に増えてきているのだ。この際、一気に食生活も変えてしまおうか。白米を玄米に変え、肉は最小限、一汁一菜を常食としよう。ただ、私は禁欲的食生活は無理なので、メリハリを付けて、旨いものを食う時は、思いっきり上質で旨いものにする。あれもこれも旨い酒を飲むためだ。酒はやっぱりやめられんなぁ。(山田)

1458号

◆医療行為としての絶食療法は、精神科病棟から始まったと言われている。ソ連時代、食事を拒否する精神病患者に手を焼いた医者が、「もういい、ほっとけ」と見放したことに始まる。食事を拒否した重度の患者がその後急回復し、(5日目で起きあがり、10日目で歩き始め、15日目でジュースを飲んだ)、新しい人生を歩み始めたことに担当の精神科医が注目し、研究が始まった。

その後、系統的に8000人の精神病患者に絶食療法を施したところ、約70%の患者で改善が見られ、その後も47%の患者の経過が良好なままだった。

この報告を聞いたロシア科学アカデミーが、絶食が病気治療に効果があるのか追試をして、その結果、精神疾患、気管支疾患、心臓疾患、胃腸疾患、内分泌疾患、消化器疾患、関節疾患等に効果があることが確認されたという。(ドキュメンタリー映画「絶食療法の科学」より)

ドイツ、フランス、アメリカでも、絶食療法について科学的研究が行われている。絶食と近代的な医療を組み合わせると、高血圧やぜん息などの治療に効果があることが実証されており、がんの化学療法では、「絶食により副作用を抑えることができる」というマウスの実験

結果を米・南カルフォルニア大学基礎老化学ウォルター・ロンゴ准教授が科学雑誌に発表し、注目を集めている。

こうした研究と、療法の実践成果により、ドイツでは国民の10%〜15%が絶食療法を受けており、フランス・アメリカでも拡がりつつある。

ただし絶食療法は、製薬・医療業界から、「非科学的」との猛烈な攻撃を受けている。今や抜きんでた成長産業である医療・製薬業界から見れば、絶食療法の公認は、致命傷にすらなる痛手となるからだ。

心療内科の医師は、「胃腸・循環器病の7割は、ストレスが原因だ」と断言する。ストレスの多い労働が改善され、薬による治療に自然治癒力が組み合わされれば、人生の質は、劇的に改善するだろう。 (山田)

1456号

◆沖縄から戻ってきました。この号の編集作業中、沖縄は台風14・15号で大変だったようです。私が遭遇した台風11号は、沖縄の方に言わせると「大したことないよ」という程の規模だとのこと。それでも傘はすぐ壊れるし、「これが台風!」という体験は久しぶりでした。

今回も多くの人に出会い、お世話になりました。本当に感謝しています。(一ノ瀬)

◆初めて断食道場に参加した。体重4`減、ベスト体重になったことは、副次的効果で、むしろ野菜の美味しさを知ったことが、最大の収穫かもしれない。というのも、断食の後に出される「回復食」(おかゆと豆腐と野菜の煮付け)が、とんでもなくおいしかったからだ。味付けも薄く、取り立てて高級な食材を使っているわけでもないのだが、充分休養させた後の舌と胃は、その滋味を最大限感じとることができる。

今回、食を断つことによって食の価値を知ったわけだが、電気も同様ではないか。関電が生き残る道は、あり余る電気を供給することではなく、病院などの必要不可欠な場所への供給を確保した上で、供給を絞り、少々不便な生活を提案することだ。電力会社の存在意義を再認識してもらうため、原発も火力も止めてみればいい。

断食によって起こった心身の変化、気づいたことがたくさんある。追って報告したい。乞うご期待!(山田)

 1450号

◆私の住む兵庫県尼崎市議会に2月、「日の丸条例」が提案された。学校を含む全ての市の施設に日の丸を揚げることを義務づける内容だ。たまったもんじゃない! うんざりだ。と、思っていたら、すぐに反対運動が立ち上がり、緊急のビラ撒き、市議会各会派・議員への申し入れ、テントを張っての座り込み…と、矢継ぎ早の行動で継続審議に持ち込んだ。今、6月議会が始まり決戦を迎えている。昨夕は、再びテントを張って、座り込みの開始。団結BBQで大いに盛り上がった。こんなマイナーなテーマでしっかり反対運動が取り組まれ、お祭り騒ぎで決戦に望む。心から郷土愛を感じる。こんなすばらしい尼崎に日の丸は絶対似合わない。(山田)

◆6月某日。仲間と「大飯原発再稼働反対」の駅前街宣をやりました(新聞社としてではありませんが)。ビラを配布する時は、呼びかけをしながら手渡すように心がけています(その声が「やかましい」と仲間にはあまり評判が良くない…。なぜ? )。たとえビラを受け取ってもらえなくても、何を訴えているのかぐらいは知って欲しいし、ひとこと二言でも話ができれば、と思うのです。人の心に「ストン」と落ちる言葉というのは、なかなか難しいものですね。ちなみに、その日のビラの受け取りは良く、関心の高さを感じました。 (一ノ瀬)

1446号

勝俣東電会長が、国会事故調査委員会に参考人として登場。画に描いたような無責任発言を披露した。「事故対応の陣頭指揮は社長、現場の最高指揮官は発電所所長」「津波試算知らなかった」…。東電の体質を代表するにふさわしい人物だ。社長時代は「カミソリ勝俣」の異名をとっていたらしいが、他人の責任追及には類い希なキレを見せていたのだろう。社長の肩書きで下請けを脅し、問題が起こるとオトボケ、そうして狡猾に世渡りする。虎と狸とキツネが同居したような人物だ。

勝俣の座右の銘は「ケ セラ セラ」。東電会長の倫理観は事故以前からメルトスルーしていたようだ。(山)

1441号

◆ 4月5日号から紙名変更を伴うデザイン一新を行うと予告しておりましたが、延期することになりました。理由は、新紙名が決まらないためです。これまで紙面で紹介していたとおり、読者からも多くの提案を頂きましたが、「これだ!」というのに未だ出会えていません。人民新聞の基本姿勢を変えることなく、しかし時代に即しながら10年、20年と長く使える

名前をと思うと慎重にならざるを得ず、募集・検討する期間を延長させて欲しいと思います。「新左翼」(1968年創刊)から「人民新聞」(1977年〜)への改名にも相当な時間をかけて議論し、読者アンケートも行ってから決定してきました。今回も、それなりの時間と議論を積み重ねたいと思います。刷新延期をお詫びするとともに、あらためて新紙名の提案を呼びかけます。 (山田)

1437号

◆お寒うございます。マスコミでは「今世紀一番の冷え込み」なんて出ていましたね(21世紀に入って、12年しか経っていませんが)。豪雪や凍結に悩まされる皆さんだけではなく、獄中の方、また特に野宿生活をされている方々には、厳しい冬だと思います。この冬を何とか共に生き抜けるよう、祈るばかりです。さて、年末年始の慌ただしさも終わりました。最近は目や腰がしんどいなぁ、と年齢を(?)感じながら、おかげさまで新聞発行の遅れもなく、ほっと一息ついています。紙名変更&紙面リニューアルもひかえて、改めて「どんな新聞を作るのか」を、考え続けていくつもりです。 (一ノ瀬)

◆帝国主義者の思惑を越えて、エジプトで若者が再び街頭に出た。デモは、反軍政を掲げ、税務署の建物を占拠した模様だ。今号では経産省前と竪川公園現地からの声を掲載したが、日本でも占拠運動は各地で繰り広げられている。天王寺公園の露店カラオケ、靫公園・長居公園のテント村など、公共空間のあり方を問う闘いだ。あらゆる物と場所が私企業に占有されつつある今、自分の家を開いて公共空間にしようとする試みもある。こうしたテーマで連載したいと思っている。今号の現地レポは、いずれも寄稿。感謝の意を表すると共に。やっぱり出向いて取材した記事にしなければと思います。 (山田)

1436号

◆目に見えるものや目先のこと、または自分たちの外側の問題については全力投球できても、見えないもの、遠い未来や過去、内側の問題については後回しにしがちだ。でも活動団体が、既存の社会と同じ「優先順位」で動くとすれば、「もう一つの世界」はいつまでたっても実現されない。私は今年は内側の問題にも目を向け、己のことも含めて対峙してゆきたい。人民新聞の内側もはずすことなく。 (栗田)

◆正月、自宅で新年会をやった際、友人がセルフビルドによる自宅やカフェを紹介した雑誌を持ってきてくれた。施工過程の説明・写真に加えて、動機や失敗談、さらにその失敗から学んだテクニックも紹介されている。

自宅の内装は、デザインから施工まで一部大工さんの手を借りて、自分好みに仕上げた。が、基礎工事も含めてセルフビルドなんてできるのだろうか?と思い調べてみると、思ったほど難しくないようだ。体験者曰く「必要なのは技術ではなく、やる気と周囲の理解…これに尽きると思います」。大工仕事は好きなので、根気のない私でも続きそうな気がする。周囲の理解も、形ができ始めれば得られるだろう。問題はやっぱり「時間」やなぁ。人民新聞との両立はどう考えても無理だ。それでも、住と食に加えてエネルギーの自給的生活―夢想すると、楽しくってしょうがない。(山田)

1435号

前号で紹介した飯舘村酪農家・長谷川健一さんの講演会は、運営した人たちの強く率直な思いが溢れたものだった。会場は、釜ヶ崎ションベンガード下にある飲み屋「はな」。私は、JR新今宮駅で降りたが、出口には、会場を示す小さな看板をもったおっちゃんが立っていた。地下鉄出口や主な交差点にも。初めて釜ヶ崎を訪れる人への配慮だ。

開始20分程前にはほとんどの椅子が埋まり、溢れる人を予想して、第2会場も用意されていた。メイン会場に設置されたカメラで、第2会場に同時中継するという周到さだ。「釜ヶ崎は初めて」と言う長谷川さんも講演冒頭で、主催した「青い空カンパ」メンバーの周到な配慮に心からの謝辞を述べた。こうした思いの交流こそが、本当の絆を生むのだろう。 (山田)

1433号

◆年末のこの時期、「去年の今頃は…」と思い、ハッとした。去年の今頃、それは3・11の前。去年の今頃には確かに存在していた人、町並み、自然の実り。地震のせいだけではなく、人間が、権力が、多くのものを壊していった。去年の今頃を思い出すだけで、走る痛み。来年は―少なくとも、これ以上大事なものを壊し続けることに加担したくない。祈るような思いで、年の暮れを迎える。(栗田)

◆創刊から44年目の年末を迎えた。戦後革命運動を担った人々が中心になって発刊された「新左翼」紙は、人民新聞と改題し、本当に多くの人々によって支えられてきた。そんな発刊を準備し、支え続けた世代の一人であるUさんが、引退されることになった。心から謝辞を述べたい。「仕事を選ばず、責任を限定せず、成果を一人じめしない」という姿勢を身をもって教えていただいた。 活動家に定年はないが、世代を継いでいく重みと困難さに身を引き締めている。来年は、正念場となる。(山田)

1432号

◆死にそうだったらしい。風邪を引いても直りが悪い。おかしいと思いつつ低空飛行でやりすごしていたがどんどん悪くなる。受診の結果、「喘息と副鼻腔炎。全然息してへんやん。侮ると死ぬで」と。その後数年ぶりくらいに鼻から息が出来るようになり、体調悪化に今更気づく次第。何事も続けばそれが普通となる。だが体は調子が悪ければいずれ動かなくなる。おかしい社会が「普通」になったら一体何が起こるんだろう?(栗田)

1431号

◆先日発表された派遣法「改正」案は、製造業派遣OK、日雇い派遣OKの「改悪」案だった。原発に関しても、然り。あの大事故が起きても、原発依存社会に戻そうと権力側は企む。この強大な権力に対し、団結しようとする人は少数ではない。しかし団結の名の下に内部での差別や差異は覆い隠されがちだ。反貧困、反(脱)原発は、差異や強弱を無視しない「もうひとつ」の関係への想像=創造力なしにありえない。(栗田)

◆7年間乗り続けているスクーターのハンドルに「このバイク、6万円で買います」という業者のビラが貼られていた。欲が出た。車体を洗い電話をすると、査定員が飛んできた。快調に始動したが、走行距離を見て驚きの声を上げた。「8万qを超えてるスクーターなんて、初めてみました」。査定額は、「精一杯」で1万5千円。やっぱりね。8万q走ったバイクが売れるワケがない。俺が買い手なら絶対に買わない。欲は、冷静な判断を狂わすんですね。売るのはやめて、最後まで乗り潰してやることにした。文句も言わず、7年間仕えてくれたバイク君。すんません。(山田)

1430号

◆「人民新聞もツイッターを始めたら?」という提案があり、アカウント(@jimminshimbun)を作り2カ月経つ。ツイッターをやっている人は編集委員では私以外はおらず、始めるにあたり特に賛否の意見はなし。主に新聞の内容をお知らせしているが、フォロワー数が新聞であるにしては少々寂しい。ツイッターでの発信の可能性、ネットワークの作り方、ご意見頂けたら幸いです。(栗田)

◆私が住む尼崎市の消費生活センターが「放射能と食品の安全性」というテーマで、講演会を開いた。講師は、東大名誉教授・内閣府食品安全委員会委員=唐木英明氏。同氏の主張は、「放射線100_SVによるガン発症リスクは、たばこの受動喫煙によるそれより低いので、許容しよう」というもの。長崎大から福島医大副学長に抜擢された山下俊一のお仲間のようだ。

講演で唐木氏は、チェルノブイリの放射線被害について「セシウムによる内部被曝で、ガンの発症率や死亡率の上昇は認められていない」と、まで言い切った。

「見えない放射線」の現実を、見えなくさせる「放射能安全神話」が全国で流布されている。それは、東電の加害責任、人生の根っこを奪われた被災者の現実を「復興」という非現実で蔽い隠し、見えなくさせるのと相似形だ。被害者が自己責任で生活再建を迫られているという「現実」を見失ってはならない。(山田)

1429号

◆脱原発の方向性さえ決められないまま、大震災から、8ヵ月が経つ。「脱」も「維持」も決めないまま、事実において、原発を続けるという政権の「意図」が見える。原発災害補償についても、範囲も基準も決めないまま、被災者は事実上、自己責任でのサバイバルを強いられている。

こうした政治手法を市田良彦氏は、「決めない政治」と名づけた。「政府は、決めないという態度を決めた」「決めないことで国民を待たせ、待たせることで被害・損害を社会の中に吸収させようとしている」と分析している。

いつお金がくるのか?いつ家に帰ることができるのか?いつ除染作業は終わるのか?…、日々の生活再建を被災者に負わしながら、ずるずると国家的諸制度にぶら下がった状態に釘付けしようとしている。

一方、TPPは、8日中にも党内反対派を押し切っても民主党として交渉参加を決めるという素早さ。TPP批判は省略するが、過激な貿易自由化によるデメリットは明らか。デメリットを補ってあまりある具体的メリットの提示もないままの参加決定だ。

この不決断と決断の対称を見れば、野田首相が言う「国益」とは、一握りのグローバル企業の儲けであり、数百万の被災者や農民の生活でないことは明らかだ。(山田)

1428号

◆温めていたひきこもり特集が、ようやく形になった。ひきこもりという状態を、当事者も含めてどうみなすか、というところにこそ、その人の労働や家族に対する価値観、そしてジェンダー的な規範がもろに出てしまうものだと思う。「人は(男は)働かなければならない」という強力な社会的規範は、ひきこもっている当人であってすら根強い場合があるが、この規範は一体、誰を、何を最も利することになるのだろう。 (栗田)

◆大阪市長選を11月に控え、橋下知事が大阪府知事を辞職した。「任期途中で、何という無責任!」という声の なか、大阪都構想と2条例をゴリ押ししようとしている。橋下知事流ファシズム=「ハシズム」(うまいネーミング!)に反対する市民の動きも活発になり始めた。現在取材を進めています。乞う、ご期待!(一ノ瀬)

◆私の知人の多くが、引きこもり・障がい者の就労支援に関わる。彼(女)らの悩みは、「こんなひどい労働状況に適応することが、はたして解決なのか?」という深い自己矛盾だ。引きこもり当事者のインタビューを行ってきたが、「働いて一人前」という教義に強く縛られて、身動きできなくなっている。勝山さんの生き方・考え方は、生き辛さを抱える全ての人々への価値の転換による解放のメッセージを含んでいる。(山田)

1427号

歴史と差別の構造から「占拠」を捉えねば

「オッパイ東京? ウォール街を占拠せよ!世界同時アクションin東京」というネット記事を見て、どうしても冗談として笑えず、胸が苦しくなった。ジェシカ・イーというアジア系女性が書いた「ウォール街占拠・植民地主義のゲームと左翼」という英文の論説も発見。すでに先住民族の土地を「占拠」してきた歴史をどう捉えるのかと問うていた。歴史と差別の構造から「占拠」を捉えねば。(栗田)

こんな姑息なやり方は、沖縄の怒りの前に立ち往生するのは間違いない

野田政権発足後、初めてとなる閣僚の沖縄訪問ラッシュが始まった。まずは17日、一川防衛相が訪沖、仲井眞県知事や稲嶺名護市長らと会談した。その中で防衛相は、辺野古埋め立ての手続き上必要となる「環境影響評価(アセスメント)評価書」を年内に提出すると知事に伝えた。

こんな姑息なやり方は、沖縄の怒りの前に立ち往生するのは間違いない。沖縄の民意を踏みにじり続ける政治には、「エエかげんにせえ!」と言いたくなる。(一ノ瀬)

金も原発も、なけりゃ、ないでどうにでもなるのになぁ

硬い岩盤まで掘り下げた地下原発とか、外部電源喪失時に重カで水が自動的に落ちる原発とか…。またぞろ「事故に耐え得る原発で再開を!」という声が、堂々と復活する兆しを見せている。一度味わってしまうと虜になってしまう麻薬と同じで、金の魅力は尽きないようだ。金も原発も、なけりゃ、ないでどうにでもなるのになぁ。 (山田)

1426号

ぜひご一報を

最近は、「掲載・取材してほしい」と、イベントの案内が送られてくることが増えました。面白そうな動きなどがあれば、ぜひご一報を。 (一ノ瀬)

逮捕・弾圧へのきっちりした反撃が、次の展開を準備する

ウォールストリート占拠デモが全米に広がり、バンコクや香港などアジアの主要都市でも、呼応したデモが呼びかけられている。ニューヨークのデモ・テント村については、次号で現地活動家のインタビューを掲載する予定なので、乞うご期待。

この日本で「民主化」が叫ばれ始めた。新宿1号は、4日、ようやく釈放されたが、機動隊によるデモへの暴力的介入が日常化していることを問題視し、街頭民主主義の危機を訴える。

東京では、大量の警察官でデモ隊を取り囲み、スキがあれば活動家を拉致し、警察署に連行してしまうという「警備活動」が、日常化している。ニューヨークデモが拡大したきっかけは、100名を越える大量逮捕だったという。逮捕・弾圧へのきっちりした反撃が、次の展開を準備する。 (山田)

1425号

貧困は存在しない?

 少し前まで日本は豊かな国で、「貧困は存在しない」と思われていた。

さて現在、表現や政治結社や集会に関する弾圧というものを、日本の多くの人は 存在しない と思っているはずだ。北朝鮮、中国、ロシアじゃあないから、全体主義じゃないのだから、と。その思い込みが崩壊させられる日が、このままではやってきてしまう。より多くの人が、その恐ろしさに直面させられる日が、このままではそれほど遠くない。(栗田)

スピード違反で捕まった。

爆音轟かせて私のバイクを追い越したポルシェが覆面パトカーに停止を命じられた。「ざまあみろ」と横目で見過ごし、「もう大丈夫」と速度を上げた瞬間、またもやサイレンが鳴り出したのだ。「ウソやろ!」と思っても後の祭り。24`オーバーで切符を切られた。マヌケな様を見せたのは私だった。

腹が立つのは、制限時速=40`だ。通勤道なのだが、高速道路につながる高架道路で車の流れに乗ると80`。制限時速で走ると、クラクションを鳴らされる。制限時速が、故意に低く抑えられている意味がわかった。あれは、警察が罰金を稼ぐために設定されたのだ。この日、往復で4台の車とバイクが覆面パトカーの餌食となったのを現認した。覆面パトカーにすれば「入れ食い大豊漁」。楽な仕事だ!交通安全週間は、警察の罰金の稼ぎ時。ご注意を!(山田)

1424号

10年前の9・11。

国際政治に無知な学生だったが、米国へのテロに関する報道の大きさに違和感を覚えていた。他国で大量殺戮があっても、ベタ記事にしかしない場合もあるのに、と。10年後の9・11。ビンラディンは既に殺害された。

東京の反原発デモでは、12人が不当逮捕。マスコミは写真もなく、「逮捕はデモ隊が隊列を広げたため」と報じた。アメリカと日本こそ、民主化運動が必要だ。(栗田)

マスコミ、「第4の権力」

真実を言うとマスコミが袋だたきにするという政治的攻撃がまかり通っている。菅総理が「数十年帰れない」と言うと「配慮が足りない」と責め立て、鉢呂経産相の「死の街」発言には「被災地住民の心情を踏みにじる」と批判する。両氏とも、これに関してはほぼ真実を言っている。配慮不足は批判されたとしても、辞任に追い込むのは、行き過ぎというより、政治的意図を感じてしまう。マスコミと「専門家」が、よってたかって深刻な放射能汚染の現実を美談とタテマエで覆い隠し、うっかり事実を言ってしまったKY政治家を袋だたきにしているだけではないのか。マスコミと専門家が「中立」というタテマエを捨てて、政治的に振る舞い始めた。

前原政調会長の右翼タカ派発言が全開だ。これに比べたら、鉢呂元経産相の失言など、取るに足らない。前原の反憲法発言とウソを容認するメディアは、質の劣化と共に、「第4の権力」としての実態を露呈している。(山田)

1423号

よろしくお願いします

◆『「運動入門」一歩前』のはずが、いつのまにか運動ど真ん中にいる運命の不思議。私にとっては運動で食べていくより、いわゆる一般社会で食べていくほうが難しいという微妙な現状…この事態がまさに社会の歪さそのものではないかという危機感も覚えつつ、8月15日から人民新聞に勤めはじめました。

さて、「おじさんパラダイス(年配の男性が多数派でかつ場を仕切っている状況。多くの団体で見られる)」の人民新聞で、私は間違いなく「よそ者」。しかし「よそ者」が「よそ者」として共に働くことができるなら、それは運動の内外を問わず稀で、凄いこと。紙面の上でも、現場においても、その可能性を具現化してゆきたいと思ってます。それではよろしくお願いします。(栗田隆子)

親切な「友人」

◆「あんた今どこに居るん?―突然、実家からの電話。「友達」を名乗る男が「洋一さん(私の名前)は、実家に帰っていますか?」と訊いてきたという。その友人は、「松山で会う約束なので、携帯番号を教えて欲しい」と請うた。実家の電話番号は知っていても、携帯番号は知らないという不思議。

そもそも実家に帰る予定などない。8月後半から福島取材で10日間、大阪に帰って直ぐに、私用で旅に出た。合わせると3週間近く自室に灯りが灯らない日々が続いた。親切な「友人」は、長期間自室に帰っていない私を心配して、実家に問い合わせまでしてくれた。私とはおそらく面識もないその「友人」は、私が毎日家に帰っているか?時々チェックしてくれているようだ。

「携帯番号教えた?」と聞くと、「適当な番号、言うといた」。「なんで?」―「上から押さえつけるようなものの言い方やったけん」。敵か味方かは嗅ぎ分けたようだ。我が親ながら、上出来!上出来!

ついでに「友人」に告ぐ。公務中の警察官は、身分を明らかにしなければならない。ましてやウソをつくなど法律違反だ。老人を騙して金をだまし取るのが「オレオレ詐欺」だが、今回のは情報を盗もうとした。卑劣さは同様だ。コソコソと動向を探ったり、「友人」を語ったりせず、正々堂々と仕事をしろ!(山田)

1421号

ゴーヤ問題(結末)

◆ ベランダのゴーヤ問題が解決した。実は諦め、摘花することで実がつがないようにして、葉っぱは残すという方針を持って、1階住人との交渉に臨んだ。妥協案を示し、伏して了解をお願いすると、「ゴーヤの実がどうこう言っているのではない。他の住人への配慮が欲しいということだ」と言う。「私の勘違い?」と思って聞いていると、「昔と違って今は、近所に誰が住んで、どんな生活をしているのか全く判らない。そんな不安もあって、一度話がしたかった」とも言う。

 聞くと、このマンションに引っ越して16年になるが、9戸の極小マンションなのに、他の住民とは、「挨拶程度しか会話したことがない」という。意外だった。入口や通路で奥さん方が、世間話をしているのをよく見ていたからだ。私も、何軒かの人を自宅に招いて酒を飲んだこともある。

 相手から「配慮」という言葉が出た以上、こちらが折れるしかない。「事前了解なしに、外壁にネットを張ったのはルール違反なので、撤去します」と言うと、「その必要はない。配慮さえ見えればそれでいい」と、急転直下解決に至った。

 それにしても、男って仕事を離れると、会話する相手が本当にいないんだなぁ。「今度、酒でも飲みましょうよ」と誘うと、「俺、酒飲めないんだよね」と返されたが、笑顔だったので、まぁいいか。 (山田)

1420号

沖縄取材

◆ 事後報告になりましたが、沖縄取材に行って来ました。行くたびに新たな人との出会いがあり、それが何よりもうれしいことでした。感謝感激です。また同時に沖縄に対する、自分の勉強不足も実感した次第です。 (一ノ瀬)

ゴーヤ問題(続)

◆前号の編集一言でベランダのゴーヤの件を書いたら、読者から助がいくつか返ってきた。謝意を表したい。「撤去する必要はない」という意見が多かったが、「実は諦めて、葉を楽しむのも一案です

ね」という大人な助言があった。この方針を採用させて頂きたいと思う。可哀想だが花の段階で摘花し、それでも見逃して付く実も、小さいうちに摘み取れば、実が下に落ちる確率は、限りなくゼロに近づくだろう。これを1階の住民に提案する。それでも「撤去せよ」というなら、ケツをまくるしかないな。(山田)

1419号

ゴーヤ問題

◆ 3階建てボロマンションの最上階に住んでいるので、夏はメチャクチャ暑い。屋根がトタンの様な材質で、太陽のエネルギーをたっぷり取り込んで、とんでもない高温となる。夕方になってもギラギラした夕日がまともに部屋を直撃する。新聞社から帰ってドアを開けると、中から熱気が吹き出してくるという始末。

 でも、今年はクーラーに頼ってばかりもいられない。少しでも暑さ対策をと、ベランダにゴーヤを2株だけ植えた。外壁にネットを張り、ツルが這うようにしつらえた。見た目も悪くない。グリーン の葉が茂り、黄色い小さい花がいくつも咲いた。

 「いい感じ」と思っていたら、1階の住人が「撤去しろ」と言う。「実が落ちて、当たったらどうする。迷惑だ」というのだ。ゴーヤの実が落ちる可能性はある。でも頭に当たる確率って、どれ程よ? 石が落ちるわけじゃないし、「どうせ私が育てるんだから、スカスカの小さなゴーヤですよ」って説得したけど、頑として聞き入れてもらえない。

 「エエかげんにせえ、このボケ!」という言葉が、頭の中を駆けめぐったが、ニコっと笑い、「対処します」と答えてお帰り願った。ケツをまくって喧嘩するか? 黙って撤去して、クソ暑さに加えて、1階住人への恨みを持ち続けるか? 皆さんならどうする? (山田)

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