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編集一言2005年11月ログ

朝日新聞国家賠償請求訴訟 拘置所内で朝日新聞が読めない!獄中者に対する過剰な制約に歯止めを
 一〇月一八日に「西成署暴行抗議弾圧事件」の公判が結審し、一二月一五日の判決を待つ稲垣浩さん。その稲垣さんが大阪拘置所(以下、「大拘」)で朝日新聞が購読できなかったことに対する国家賠償請求の公判が、大阪地裁で一〇月一二日に始まった。
 昨年一二月二〇日、大阪府警に令状逮捕された稲垣さんは、今年一月一三日に大拘に身柄を移された。その日の夕方、稲垣さんは朝日新聞の自費購読を申し込んだのだが、「朝日新聞は取扱いがない」として拒否された。
 大拘では年一回、勾留されている全員を対象に「取り扱って欲しい新聞」についてのアンケートを行っている。前回のアンケート結果では読売・産経の二紙が上位を占めたために、現状ではそれ以外の新聞は自費購読できないとされている。
 この理由について拘置所側は、二紙しか購読できないのは法務省の通達だとし、「全員の希望を聞いていたら事務が煩雑になる。どうしても読みたかったら差し入れてもらったらよい」と説明している。
 しかし、外部から差し入れた場合、読める日付が遅れる。稲垣さんは、「どの新聞でも本人が読みたいものは購読させるべき」として、国による思想統制・言論弾圧だと指摘する。
 「何人も有罪と宣告されるまでは無罪と推定される」という推定無罪の原則から言っても、未決勾留されている者への行き過ぎた制約は、明らかにおかしい。今回の国家賠償請求は、拘置所・刑務所で収容されている人間に対する日本という国の人権意識の低さを明らかにしていくことだろう。(編集部)
2005年11月27日更新
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鳥取県の「人権救済条例」
 鳥取県で10月12日、「人権救済条例」なるものが成立した。地方分権による「地方の権力化」の幕も開けたということだろうか。詳しい条例の中身は省くとしても、ちゃんと権力者のまずいことは隠しておけるようになっているようだ。権力側にはこの条例による調査・勧告を「公共の安全と秩序の維持」を理由に拒否できる。だから、拘置所や刑務所の人たちは救ってもらえないのだそうだ。
 そもそもこの条例、鳥取県民にとって必要だったのだろうか。出だしは県から条例案が提出され、「市民生活に過度に干渉する」との理由で三度にわたって継続審議になっていたのが、突如、9月議会で県議35人の共同謀議で新条例案をたった1週間で成立させてしまっている。時期的に見て、これは「巨大与党誕生」の余波なのだろうか。
 全国の知事のなかでも「開明派」として名高い片山知事は、条例成立にあたって「どんな条例でも誤れば強権的となる。みなさん、心配し過ぎだ」と言ったという。ならば、何故に権力による人権侵害が起こるのだろうか。お前らが信じられないからだろう、とは負け犬の遠吠えか。とどのつまり、地方分権の行きつく先というのは、せせこましく自分たちの利害を護る輩に利するということなのだろう。(K)
2005年11月26日更新
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背広姿で靖国参拝 「私的参拝」装うも日本の孤立化避けられず
 一〇月一六日午前一〇時、小泉首相は靖国神社を参拝しました。内外からの抗議にもかかわらず、五年連続です。
 韓国政府は直ちに大島駐在大使を呼び、厳重に抗議をしました。王儀中国大使も町村外相に抗議しました。
 当日午前七時から警察も厳重な警備体制を敷き、首相訪問に備えていました。一〇月初旬、飯島秘書官は靖国神社を訪問、事前に綿密な打合せをした上でのことでした。
 前回は和服の着物姿でしたが、今回はスーツ姿。前回は玉ぐし料を奉納しましたが、今回はポケット・マネーのお賽銭でした。小泉首相は「一般の人々の参拝と同じ」と、言いたかったのでしょうが、鎧の上に衣をまとったとしても、隠すことはできません。
 韓国の新聞はこれを一面トップで報道、盧武鉉大統領は訪日延期を発表しました。中国は日中次官級会談をキャンセルしました。
 小泉首相は「私的な参拝」を強調したものの、国民や外国とのズレは避けられません。小泉靖国参拝に対して、大阪高裁は違憲判決を下しており、彼の訪中は五年間途絶えたままです。
 彼は郵政法案成立後、タイミングを計っていたのでしょうが、日本を囲む東アジア地域の秩序作りに困難が生じることは、避けられません。
 これは、日本にとって大変なマイナスです。
 懸案の郵政法案成立、総選挙も大勝。彼は「順風満帆の勢い」と思っているでしょうが、その足元では、既に劣化が始まっています。「平家物語」に言う、「奢れる者 久しからず」でしょうか。(渡辺)
2005年11月24日更新
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『アマゾンの畑で採れるメルセデス・ベンツ』
 『アマゾンの畑で採れるメルセデス・ベンツ』(泊みゆき+原後雄太著、築地書館発行)を読んだ。題だけを見ると何のことかさっぱりわからない。
 目次を見ると納得がいく。「ココナッツ繊維がメルセデス・ベンツの部品に」/「プラスチックから天然素材へ」/「ドイツ本国でも…」/「ベンツの組み立て工から『緑の党』の議員になってアマゾンへ」/「『画一的で大規模』の発想を変える」/「昔の知恵をとりもどす」などなど。刺激的な題だが、中身はきわめてわかりやすい。ドイツで労働運動をやっていた男たちが、アマゾンで先住民たちと出会う中で、新しい運動をつくり出した。
 「権力がなければ全てはない」と発想する人たちは、権力奪取に全力を注ぐ。個人の生活を犠牲にしても悔いはない。しかし、日々の生活すらも困っている人たちに、「権力奪取まで我慢しろ」と言っても、人々はついてこない。権力奪取後にどんな社会をつくるのかイメージできない人は、結局ソ連と同じ運命をたどる。
 主人公は誰なのか。ドイツの人々は「アマゾンの人々だ」と考えた。彼らにできる「適正技術」を環境破壊の最たる自動車産業にマッチさせ、少しでも循環型社会に近づけようとした。こうした試みがあってこそ、権力を奪取した後の未来に希望を見出せるように思う。(A)
2005年11月12日更新
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住民の思い 踏みつけてはならない かねはぎあつし
 京都の宇治市にウトロ地区がある。ここは戦中、日産による飛行場建設のために飯場がつくられ、強制連行された朝鮮人労働者が一九四五年以降、六〇年間も日本社会が放置してきた地区だ。
 『敗戦後』、彼/彼女たちは飯場の跡にバラックを建て共同体を築いた。そしてGHQの土地接収との闘い、民族学校を守る闘い、五〇年代の反戦平和を勝ち取る闘い…。彼、彼女たちがここで生きるということは闘いそのものだった。日本社会が歴史を捏造し、そこにいる者をいない者としていくら時代の外に追いやろうとしても、鏡が乱反射するように、彼/彼女たちは自らの存在を日本社会に乱反射させてきたと言えるだろう。
 一九八七年、ウトロ住民に立ち退き通告書が送られてきた。八九年には建物収去土地明渡訴訟が起こされる。裁判を起こしたのは西日本殖産。戦後、日産が土地の登記簿上の所有者となったが、ウトロ住民には何も知らされないまま、ウトロの土地が地上げ屋=西日本殖産に売られたのである。
 ウトロ住民のことを我がこととして受け止めた学生、労働者、市民の広範な連帯と闘いにもかかわらず、地裁、控訴審ともに住民側が敗訴。最高裁は上告棄却した。
 今年、八月二二日『現土地所有者・井上正美』なる者によって、京都地裁にウトロ地区の空き家に対する強制執行が申立られた。九月二七日に執行予定となったが、西日本殖産が大阪地裁に登記無効の訴えを起こし受理されたために執行中止となった。しかし、一一月九日にはこの裁判の判決が予定されている。判決後に強制執行が行われることも予想されており、楽観できない。
 九月二五日の『九・二五強制執行阻止!緊急抗議集会』には、ウトロ住民、在日、日本の学生、労働者、野宿者、市民、そして韓国からも参加者があり、約三〇〇名が結集した。集会参加者は、この『戦後六〇年』にあたっても戦争責任、戦後責任にまともに取り組むこともせず、挙げ句の果てにはこのような形で叩き出すことを許そうとする日本政府を弾劾した。ハルモニやオモニ―もし、わたしがおこがましくもこのように呼ぶことが許されるなら―たちがマイクをにぎり「ここはわたしたちの故郷だ!ここを追われたら行く所はない!」その歯ぎしりするような思いを訴える。およそ、ここでは『韓流ブーム』のような『友情ごっこ』などありはしない。『地獄への道は優しさに敷き詰められている』と、意識するしかない。わたしたちはスポットライトの光に目くらましになり、踏みつけてはならない者たちをまたしても踏みつけていないか。ウトロ住民の闘いに注目と圧倒的連帯を!!
2005年11月09日更新
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野宿者への調査に警察官を動員
 「住所不定者調査」と呼ばれる調査がある。読んで字のごとく、テントや小屋がけで暮らす野宿生活者だけではなく、駅や路上・ベンチで寝ている(露宿と呼ばれる)人たちをも対象に行われるもので、「住所不定者」への国勢調査である。
 各自治体は「特別調査班」を編成して、(原則的には)九月三〇日午後一〇時〜一〇月一日午前二時の間に一斉に調査した。
 自治体は「住居不定者調査事務取扱要項」(国の要項とほぼ同じ)を作成して調査している。大阪市の要項には、調査にあたっては「特別調査班においても、国勢調査調査票を使用する」とあるのだが、市内各地で取材した限りでは調査票を使用した例はなかった。いずれも「指導員」が聞き取り調査をおこなっている。
 聞き取り調査については、プライバシー保護の点から「問題あり」という批判の声が高まっている。しかし、野宿生活者に対しては密封用封筒の配布など、プライバシーについて一切配慮がない。この点を大阪市計画調整局統計調査課に問いただしたが、「配慮が必要かもしれませんね」「現場からの意見がまだ出てきていないので分からない」という答えしか返ってこなかった。普段からの野宿者差別がここにも出ている。
 さらに注目すべきは、「住居不定者の調査は、警察官等の協力を求めて行う」という項目だ。この後に「警察官等が直接調査に携わらないように注意すること」との文が続くのであるが、JR大阪駅の南側にある大阪駅前第一・第二ビル(大阪市北区)で野宿している人たちに対して警察官が「国勢調査だから」といって人数を数えていった事実が確認されている。大阪市計画調整局統計調査課は、「住所不定者調査をどう行うか、は現場の判断・各区の裁量に任せている」と語っている。
 警察官の同行・調査が、野宿生活者のプライベートや人権を無視した強制的な調査につながることは容易に想像できる。そもそもなぜ警察官が同行する必要があるのか?行政はいつも野宿生活者に対して高圧的な態度に出てくる。
 いま各地の自治体で、野宿することを条例で禁止する動きが出てきつつある。愛知県蒲郡市では、「蒲郡市公共施設の適正な利用の確保に関する条例」が九月二七日に可決され、市内の公共施設での野宿者に対して強制排除が容易にできるようになる内容だ。
 野宿生活者へのプライバシー無視の聞き取り調査や警察官同行などに見られる差別的・高圧的な姿勢は、こうした排除の動きの中で、今後、よりエスカレートすることが考えられる。厳しく追及されなければならない。(編集部 小比類巻新)
2005年11月06日更新
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どうなる郵政 混乱必至の祭りの後「お手並み拝見」
 九月一一日の総選挙で、「郵政民営化」を唯一のスローガンに掲げた小泉自民党が、圧勝した。
 しかし、選挙前に、その中身が明らかにされたわけではなかった。「官」が悪くて「民」が良いという、単純な二分法で世論を引きつけたに過ぎなかった。
 彼は、国会でも選挙中でも、「郵政民営化」について、自分の信念を選挙民に対して、説明したわけではなかった。その点については、マスコミも同罪だ。
 彼は、「言葉の魔術」によって、有権者を陶酔させたに過ぎなかった。祭りの後に何が起きるか、「お手並み拝見」だ。
 「郵貯・簡保の民営化」の理由は明快だ。340兆円という巨額の資金を民間市場へ放出し、そこでの運用に任すべきだ、という議論には、私も賛成だ。
 そして、郵貯・簡保資金の運用先であった特殊法人の改革は進行中で、資金は既に行き場を失っている。
 しかし、郵便はそうはいかない。郵便の配達費用が幾らになるのか、都会と過疎地では大きな開きがあるからだ。民営化した郵便局が、手紙の配達料に格差をつければ、混乱は避けられない。
 小泉はこうした問題に触れることなく、選挙中、だだひたすら「郵政民営化」のスローガンを叫び続けただけだった。
 この選挙結果を受けて、郵政民営化法案は国会で成立するだろうが、有権者は「お手並み拝見」と、いこうではないか。(渡辺)
2005年11月03日更新
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