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編集一言2010年11月ログ

死刑、イスラエル、寛容と愛
 「イスラエルがますます非寛容なユダヤ人国家になっている」と朝日新聞が書いている。犯罪被害者の人たちの多くが、加害者に厳罰を要求している。「憎しみ」が増殖していく。
 映画『ヘヴンズ・ストーリー』(瀬々敬久監督作品)は、そんな憎しみの連鎖に疑問を投げかけている。妻と子を殺された男が、「犯人を絶対に殺す」と宣言し、実行していく物語だが、復讐の先に何があるのか、見る者に問いかけてくる。4時間半の大作だが、観るものを飽きさせない
 『死刑でいいです』(共同通信社発行)は、母親と2人の女性を殺した若い男のドキュメンタリーだが、彼がなぜそんな事件を犯したのか、いろんな人の証言で追いかけていく。しかし、当の本人は「死刑でいいです」と言い続けて、ほとんど弁明もせず、すぐ死刑になった。
 残忍な行動をする人たちの背景には何があるのか。それを見ずして残忍な行為をいくら責めても、何の問題解決にもならない。死刑を増やしても、犯罪の抑止力にはならない。「死刑でいいです」「早く死刑にしてくれ」という人たちは、「死刑」を望んで犯罪を犯しているのだから。
 非寛容な人たちは、「怒り」に支配されているようだが、実は「不安」や「恐怖」に支配されているのではないだろうか。自分に「愛」をくれていた人を失った時、新しい「愛」を誰かからもらわないと、人は「寛容」になれない。(A)
2010年11月19日更新
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尖閣諸島問題と近代主義からの転換
 尖閣列島での中国漁船拿捕、船長起訴で日中政府間の緊張が高まった。この問題で思い起こすのは、70年代初頭に中国領土論を展開した井上清氏のことである。全共闘の学生にも影響力があり、その説を支持した学生グループが日本の略奪を批判する見解を出していた。
 井上氏とは華国鋒の時代に、中国共産党の長征の道をたどる旅をともにした。中国派と言われた人々のなかで歴史学者として中国問題への見識が高く、学ぶことが多かったが、この領土問題だけは違和感がつきまとった。<世界革命>という概念から物事を説き起こせば、国境はもともと問題にならない。帰属の論戦より相互に並行した革命への共同作業こそ、との思いがあった。
 領土問題は、日本の民族主義が台頭しない対処が必要であるとの考え方は、今も変わらない。しかし現在では、中国政府が民族主義教育によって反日感情を煽る、という堕落がある。
 「社会主義」市場経済は、いまや世界の主流である。オバマ米国「社会主義」合衆国は、倒産企業に国税をつぎこみ救済している。ギリシャの財政破たんで、EUが「社会主義」福祉国家連合であり続けていることが明らかになった。原理的にみれば、米・中・EUは同じ道を歩んでいる。中国脅威論で民族感情を煽ることはやめた方が良い。近代主義からの転換、それがいま世界の共通課題だろう。(I)
2010年11月16日更新
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おせっかいが溢れる国
 小学校の壁にかかった看板に大書された標語「あいさつは/むこうからより/こちらから」。バス車内で放送される「お年寄りや体の不自由な人には席を譲りましょう」のアナウンス。日本は街中に言葉の溢れる国だ。どれもがお節介で人を馬鹿にしている。
 人と人との水平のコミュニケーションが希薄なかわりに、大企業や公的組織から大衆への一方通行の司令がまかり通っている。普段「お客様」や「市民」として腰の低い連中を相手にすることが多い私たちも、看板やアナウンスで緩やかに復讐されている。
 また、たとえば道路で前を走っている車の後部に「赤ちゃんが乗っています」と書いたステッカーが貼ってある。時には「Baby in the Car」などと英訳まである。一体どうしろというのか。出産祝いでも持参しろというのか。通説によれば、この種のステッカーは、「赤ちゃんが乗っている=安全運転を心がける=スピードが遅くても苛々こないでね」ということらしい。
 そんなことをいちいちステッカーにすることで何か効果があるのならば、私も愛車(自転車)に何か貼ってみようか。「昨日派遣切りされました」とでも書いておけば、周りの車はビクビクして、私のセキュリティもいくぶんか改善されるだろうか。(O)
2010年11月12日更新
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尖閣諸島とナショナリズム、そして民謡
 尖閣諸島沖での中国人船長の逮捕と釈放に批判が出ている。私の立場は、領土問題でナショナリズムを煽ることに反対というものなので、緊張緩和の態度をとるべきだというものだ。基本的に世界中の領土問題に対しては、国益視点で争うのではなく、「共有していく」「皆のものにする」という発想こそが必要なのではないか。

 夢物語ではない。戦争は「攻撃された」といったウソから始まることを知っているなら、論争の土俵に乗らないことが必要だ。日本のナショナリストと中国のナショナリストは、実は手を取り合っている。「外交は闘いだ」等とわかったような口ぶりは、左右・日本・中国問わず非暴力主義をわかっていない。私(日本)から「従来の強者(政治)と違う発想で生きていく」という実践を。

 坂本竜馬の物語も、《日本国のため》というように消費されているが、薩摩と長州が手を結ぶというのは、平和と地球環境のために国境をなくすぐらいのもののはずだ。茨木のり子は、侵略の血でよごれ腹黒の過去がある国歌を、どうして口を拭って起立して、直立不動でうたわなければならないか、そうではなく、民衆が愛し続けてきた、土から陽炎のようにふっと匂い立っている旋律の民謡を歌おう、と言っている(「ぶりの唄」)。
 国歌でなく、「さくらさくら」「ヴォルガの舟歌」「アリラン峠」など民謡を中国と歌おうと提起する政治を。
2010年11月05日更新
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なぜ船長の勾留を続けてきたのか
 9月21日付産経新聞「単刀直言」での田中秀征の言葉。「自民党は老朽住宅。民主党は仮設住宅」。
 上杉隆著『40字で答えなさい』での民主党と自民党の違い。「小沢一郎がいる自民党が民主党で、小沢一郎がいない自民党が自民党」。ウン、確かに。どちらも言い得て妙。
 民主党の代表選は、菅の圧勝に終わった。自民党と小沢一郎の不人気に支えられての続投。日本の代議制の混迷は、一層深まると見て間違いない。
 大阪地検特捜部の証拠ねつ造事件発覚。組織を挙げて、「悪徳官僚を糾す正義の検察」を演じて見せる手口が暴かれた。意図的でない改ざんなんて、ありえないでしょうに。
 幼稚で思い上がった1人の検事の犯罪では断じてなく、検察という、どこからもチェックされない権力組織の本質だという点を見落としてはなるまい。
 ここまで引っぱっといて、何で今日? 尖閣諸島沖での中国人船長を処分保留のまま釈放。これじゃあ、「粛々と」という日本語の使い方を知らないとしか思えない。
 それにしても、どんな意図で船長の拘留を続けてきたのか。中国側の対応は予測されていただろうに。
 どこかおかしい。何かがおかしい。判断したのは誰なのか。いや、そもそも誰か判断した人物はいたのだろうか。菅が判断したのでないことだけは判るけど。
 代表たらんと前に出る者の覚悟の喪失。日本の政治の混迷を突き詰めると、そこに行きつく。道は遠くても、そこから変えていかなければ。(M)
2010年11月02日更新
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打たれ強い子供を作るプレイパーク
 8月末、小学生18人と淡路島の「冒険の森」に、1泊2日のキャンプに行った。小高い丘の上にある施設は民家を改造したもので、フィールドアスレチックと木工所とキャンプ場を合わせたようなところ。「プレイパーク」冒険遊び場造りという運動の中から生まれたもので、山の中は危険がいっぱいの作りになっている。木と木の間にロープをいっぱい張って、綱渡りを体験したり、木の上の竹製の小屋や竹のすべり台などがある一方で、海の貝や石や流木で工作するスペースもある。
 プレイパーク運動は、子どもに自然体験させるだけでなく、あえて危険なところに挑戦させて、小さな失敗をくり返しながら成功していく遊び場だそうで、大人は見守るだけである。子どもたちに包丁を渡し、使い方は教えるが、手伝わない。火をおこし、火の管理もさせる。小さな切り傷やヤケドも辞さない。パンをこね、竹にさして、たき火で焼いたパンを食べ、自分たちでとった魚を食べた。
 子どもに小さな失敗をさせて、それを乗り越える力をつけるプレイパークの考えは、今日の日本の子育ての主流と正反対だ。過保護で育てられた子どもは「打たれ弱く」失敗を恐れる。今、引きこもりになっている多くの人は子ども時代にこんな体験をしてこなかったのだろうと思った。
 やかましく言わずに、じっと見守るというのがけっこう難しい。(A)
2010年11月01日更新
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