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編集一言2007年11月ログ

警察と連携深める大阪府 府営住宅入居者管理で、入居者名簿を警察に
 「新規入居者や、迷惑行為等を行う既存入居者について、大阪府警本部に暴力団員に該当するか照会し、必要な情報の提供を受ける」。大阪府議会に太田房江知事が提出している「大阪府営住宅条例一部改正案」だ。
 「入居の際は『暴力団員ではない』旨の誓約書を提出すること」「既存入居者が暴力団員と判明した場合、不正入居として明渡し請求を行う」とする内容で、府営住宅から暴力団員を排除する目的の条例案である。
 しかし問題は、@法を犯していない人間を公共空間から排除すること、A「暴力団員排除」を口実に、またもや自治体が警察と連携し、入居者を監視することが、許されるのかという点だ。
 この改正案は、今年六月一日に国土交通省住宅局長名で出された「公営住宅における暴力団排除について」という通知を受けたもの。四月に東京都町田市の都営住宅で起きた、暴力団員の発砲・立てこもり事件を契機に、国が各地方自治体に対応策を指示したものだ。
 通知の中で国交省は、公営住宅からの暴力団員の排除のため、情報提供などで警察との連携を強化するよう強調している。
 厚労省が五月に公表した調査結果では、条例等で暴力団員の入居を制限している地方公共団体は、四六(三県、一政令指定都市、四二市町村)。また、暴力団員だと判明した際に明渡しを求める、とする地方公共団体は、三五(二県、一政令指定都市、三二市町村)あるという。
 大阪市は、現在も市営住宅において、暴力団員排除を府警と連携しながら進めているが、今後は条例の改正も検討しているという。
 殺人・傷害事件や、恫喝などは、暴力団員であろうとなかろうと、許されることではない。同様に法を犯していない限りは、暴力団員であることを理由に、市民的権利が制限されてはならない。「暴力団員に人権なし」がまかり通ってしまえば、いずれその矛先は労働組合・市民団体に向けられることは歴史が語っている。
 かつて「小沢一郎の知恵袋」と呼ばれた民主党の元参議院議員・平野貞夫氏は、宮崎学編著『警察はここまで腐食していたのか』(洋泉社、二〇〇四年)の中で、「警察に強い権力を与えることは、必ずしも効果的な暴力団対策にはつながらない。…(中略)暴力団対策として第一に必要なことは、政治家が暴力団との関係を断ち切ることである」と語る。
 自治体が警察を頼り、公営住宅から暴力団員を排除する。これは自治体が率先して人権侵害を行うことであり、自治を放棄する行為だ。野宿者排除と根っこが繋がっている。(編集部 小比類巻)
2007年11月24日更新
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不平等が健康を損なう
 『不平等が健康を損なう』(イチロー・カワチ、ブルース・P・ケネディ共著、日本評論社刊)によると、GNPがアメリカの半分の日本の平均寿命がアメリカ人よりも3〜4年も長生きしてるのは何故か、といった疑問から始まった意外な結論が「不平等」だったという。
 マイケル・ムーアの映画「シッコ」でも指摘されていたが、アメリカには国民健康保健制度がなく、社会保険や民間保険に入れない人が5千万人近くもいるため、金がなくて短命になる人が多いという。社会保険に入ってる人でも、長時間労働で家族と過ごす時間の少ない人が心臓病や自殺で死ぬ率の高いことを、数字で証明している。
 消費を煽られて借金漬けになっていることや、「早く!早く!」とせかされることがストレスになり、やけ食いを招いた人が多い。──結果、肥満や糖尿病といった生活習慣病も短命の理由としている。それに対して、収入は少なくても、家族とすごす時間の多い人達や、消費を煽られない人達が長生きする例としてコスタリカやスリランカを挙げている。
 最初に日本の平均寿命の長さを挙げていたが、格差の拡大と消費の煽り立てを見ると、日本の男性の平均寿命は、近い将来ガクンと落ちることは間違いない。この本は結論として、資本主義の競争社会が人々の寿命を縮めていると言っている。(A)
2007年11月18日更新
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中小業者糾弾のあとには公権力の肥大が
 食品の偽装表示「事件」が刑事事件にまで進んだ。豚を牛と偽って販売し「詐欺だ」との権力者の言い分らしい。鳥の品種を偽って販売した「事件」もマスコミの袋叩きに会い、倒産の憂き目にあった。同じ日に厚生省とミドリ十字が結託して重大な薬害事件の証拠を隠蔽していたことが報道された。中小業者は平身低頭、かたや厚生官僚は堂々と居直りの態度である。豚だろうが牛だろうが、鳥にしても、袋叩きに会い、逮捕されるような大した問題か!?。
 問題の大きさは後者にあるのは言うまでも無いことなのに、マスコミは弱い方を徹底して面白おかしくいじめ抜く。業者を「糾弾」した後の行き着く先は公権力の肥大化(もっと監視を規制を強化せよ、という世論操作を通して)に帰結していく。そして、公権力の犯罪に対してはマスコミは随分とやさしい。
 食品偽装にしても、細かいどうでもいいようなことばかり規制(規制法があるから事件になる)し、人の健康に重大な影響を及ぼす事柄、大企業が関る不正について、率先して規制することなどあった例はない。人々の怒り、不正の根絶を求める長い運動があって、渋々やる、という程度である。
 中小業者がやった程度のことは今後もなくなることはない。待ってましたとばかり、喜ぶのは取り締まる側の公権力である。マスコミを踊らせ、公権力の肥大化に帰結させられていくことのほうが私たち庶民には怖いことなのである。(S)
2007年11月16日更新
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保守分裂
 今回参議院選の政変劇は、地方の農民反乱による「保守分裂」と考えた方が分かりやすい。本質的にはグローバリズムの痛みを負った怒りである。安倍政権は「戦後レジームからの脱却」を唱えたが、皮肉にも「55年体制」の「保守合同」をぶっ潰す結果になった。もはや彼の手では祖父・岸信介の悲願とした「改憲」の夢は果たせないだろう。
 「55年体制」とは、「自由」と「民主」の「保守合同」であり、同時に中間の社会党の左・右合同、日本共産党「50年分裂」の統一をもたらした。(「公明」はまだ存在しなかった)グローバリズムは「55年体制」をも一掃したのである。
 いまや政治のリアリティーは衆院(自公)対参院(民主・野党連合)の抗争に移行するが、よしんば民主勝利で小沢政権が実現したとしても、保守の価値観や政策ではグローバリズムの格差矛盾が解消するわけではない。「反乱」を起こした農民の側から見れば、反グローバリズムの受け皿に「民主」を利用したにすぎない。
 格差矛盾に対する「反乱」はさらに「保守分裂」を拡大していく。議会主義から脱せない「社民」「共産」に切り込む余地はない。これは世界的潮流である。われわれが目指す道は国内的、国際的反グローバリズム同盟の組織化と民衆反乱しかない。(F)
2007年11月14日更新
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