共謀罪施行2年と関西生コン弾圧 その先に見えるあらゆる社会運動の破壊 永嶋 靖久弁護士 聞き手 編集部・園

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【連載企画】戦争法採決から4年 運動現場からの安倍政権批判(2)

戦争法の強行採決から4年。強権化する安倍政権と対峙してきた社会運動の各分野の方々に、政権の問題と運動を中間総括してもらう連載企画。第2回は、17年6月の「共謀罪」強行採決と、その具体化と言える「連帯労組関西生コン支部」弾圧について永嶋靖久弁護士に聞いた。永嶋さんは、「日本は、完璧な管理・監視社会へ向かっている」と語った。(園)

編―改めて共謀罪の狙いは? 

何かを話し合っただけで逮捕できるため、狙った相手を広範囲に一網打尽にできる、新たな弾圧手法の開発。また「何で逮捕されるかわからないから、お上に逆らうこと自体をやめよう」という萎縮効果。この2点です。  施行1年後に始まった関生弾圧がその現実化です。何年も前の正当な組合争議を犯罪化して、昨年7月から85人逮捕、50名も起訴し、現場にいなかった委員長や副委員長を「争議を指示・共謀」したと再逮捕し続け、1年以上も勾留しているからです。また、戦後最大といえる弾圧を大手メディアは無いことのようにスルーし、市民社会も「彼らには近づかないでおこう」と萎縮しています。

―反対運動を振り返ると? 

共謀罪は15年近く、提出される度に反対運動が頑張って止めてきました。もし10年前に通されていたら、今回の関生弾圧も10年前にやられていたでしょう。2年前も、大衆的な盛り上がりにより、最後に強行採決せざるをえないところまで政権を追い込みました。大阪弁護士会館も、入口に共謀罪反対のスローガンを掲げ続けました。  

しかし、すぐに大弾圧が始まるとは思わず、漠然とした市民運動に留まっていました。実際の救援活動などの話もあまりしていなかった。成立後は、国会に次々出る悪法との闘いへ移っていきました。

―共謀罪施行は社会をどう変えていますか?  

関生弾圧では、委員長や副委員長を外に出さないために、2カ月おきに逮捕・起訴を繰り返し、大津では同じようなコンプライアンス活動を、工事現場ごとに時間をおいて起訴しています。このため同じ被告人の裁判で、同じ証人が同じ内容で少しずつ違う証言をするため何度も出てきます。大津の裁判官は「刑事訴訟規則が想定していなかった事態だ」と言いました。被告人には大きな不利益です。  

委員長ら運動の要を奪い、仕事を奪い、組織を潰すまで弾圧を続けています。共謀罪成立前なら、警察もそこまでやれる自信はなかったでしょうし、権力の弾圧は常に世論の反発などの様子を見ながら試してきます。最初の「恐喝未遂」弾圧で、権力の言うがままの報道やネットの差別的な反応を見て「これなら拡大できる」と思い、2カ月後に「威力業務妨害」弾圧で16人も一斉逮捕したのです。  

権力は、用意周到に大弾圧の準備をしてきました。本音では、沖縄の反基地闘争に大弾圧をかけたかったと思います。突出した闘いから潰したいからです。先に成立した秘密保護法をオスプレイ反対運動に適用することもできたでしょう。しかし、島ぐるみで闘う沖縄に適用すると沖縄全てを敵に回すことになる。そこで関生から弾圧してきたのでしょう。

管理・監視社会への   一里塚としての関生弾圧

―弾圧の特筆すべき特徴は?  

(1)国家権力、(2)協同組合を含む資本、(3)右翼団体が緊密に連携しています。1人の裁判が複数の裁判所に係属し、別々の裁判所が協議し合うことも異例です。近畿の警察も弾圧の競い合いが仕事になり、暴力団対策課まで乗り出し、歯止めが効きません。それが共謀罪成立後の特徴です。   

「共謀」を問題にするため、保釈後も仲間に会えない条件が付けられます。何十人もの組合員と会ってはいけない。破ったら再勾留され、保釈金も没収されます。組合事務所はおろか仕事にも行けないため、抗議をして「就労に必要な時は除く」と変えさせました。関生弾圧も人と人との団結・信頼を壊そうとしています。  

また資本は搾取と収奪の強化を続けていますが、関生は労働者供給事業やストライキなど労組自身の力で雇用や賃上げを勝ち取ってきた数少ない労組です。辺野古など政治運動の現場にもミキサー車で参加し盛り上げてきました。しかし団体行動による賃上げ要求を「金目当ての恐喝」扱いし、政治運動を行う関生弾圧の向こうには、合同労組や地域の労組が狙われ、同時に、日雇手帳を取り上げ、労働者供給事業のシステムをなくし、搾取の邪魔になるような労働組合自体をなくすことが狙われているのです。  

―共謀罪、関生弾圧をはね返すためには?  

大手メディアのスルー、産経新聞や右翼のyoutube宣伝が悪影響し、「自分は関生とは違う」という萎縮・切断が続いています。市民が自分や他者の振る舞いを規制し合い、他者への抑圧を自分の問題にせず、人が人を切っていく、これこそ「完璧な管理・監視社会」です。戦前の治安維持法下以上の専制の完成です。  

共謀罪の時に誰もが危惧していたことが、関生弾圧で現実化していると捉えるべきです。関生弾圧は現代日本の象徴です。関生の人々の孤立感は大きいです。それでも当該の1人は「いくら弾圧しても関生はなくならないことが権力にはわかっていない」と話していました。私も関生への弾圧を自分自身の問題として、皆さんと一緒に関生支援を強めていきたいと思います。

★11月16日(土)、関生弾圧に反対する全国集会開催! 大阪・西梅田公園で14時集会開始、16時~デモ出発。

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