東京五輪の暴力性 関西からも声を 西成・長居・大阪城でも野宿者排除

宮下公園を返せ! オリンピック弾圧に抗議! 支援連帯集会

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渋谷区長の「多様性尊重」は偽り粘り強く抵抗した野宿者と支援者

 前号1面で、神戸大の原口剛さんが、箱物建設で利益追求する国家政策が進み、全国の都市が暴力的に再開発されていることを批判した。その代表例が、東京渋谷の宮下公園の野宿者排除だ。5月2日に大阪の大淀コミュニティセンターで支援連帯集会が開催され、大阪の問題とつなげて多彩な人々が集まった。
 司会の「長居公園仲間の会」の中桐康介さんが趣旨説明。
 東京五輪に向けた渋谷駅再開発の要として、3月末に突然強制封鎖され、野宿者を排除し2名不当逮捕された。うち1名は4月17日に満期釈放されたが、昨年末の越年越冬闘争(日雇い労働がなくなる年末年始に、集団炊事や野営を行うこと)時の出来事を持ち出されて不当に再逮捕された(19日に釈放)。各地の現場の闘いをつなげ続けるべく、集会を開催した。
 次にゲストとして渋谷から
小川てつオさんが報告。―代々木公園で10年以上野宿生活をしながら創作活動を行い、宮下公園にも関わってきた。宮下公園は2010年の渋谷区の強制封鎖により「ナイキ公園」に変えられたが、野宿者と支援者は粘り強く炊き出しや公園を開けさせる取り組みを続けてきた。近年は東京五輪の無駄遣いも次々発覚したため、強制封鎖の国賠訴訟でも原告の運動側が勝利し、渋谷区は押されていた。
 だが区は、五輪に向けて公園を三井不動産に売り渡し、渋谷駅から公園までつながった商業施設や17階建てのホテルを建設しようとした。
 3月27日朝、一切の事前説明もなく約3メートルの鋼板と大量の警察・警備員で全面封鎖した。園内にいた複数の野宿者は、みぞれが降る中追い出された。園内にいた支援者を職員や警備員で取り囲み続けた。公園内の人たちに会うことを求めた支援者には、警察を動員し1名を逮捕するという形で排除した。
 自分たちは園内・園外と一体で、区長への面会と雨がしのげる継続的な寝場所を求める交渉を深夜まで続けた。最終的に、「区に責任をもって交渉する約束」をマイクで公言させた。今も公園開放を求める毎晩の「よなよな阻止行動」、近隣公園での炊き出し、寝る場所の要求を続けている。
 現在、長谷部渋谷区長は「100年の計」という駅前再開発を進めている。「多様性」「包摂」の名の下に性的少数者の尊重もうたっている。だが今回の排除で、実態を隠蔽し人々を分断する題目にすぎないことが明らかになった。
 再逮捕されたDさんも、裁判で「野宿者への差別を消費欲で塗り隠そうとする独占資本・三井の企みを、私たち労働者は、正規・非正規の違い、就業・失業の違い、生活水準の違いを超えて連帯することによって、必ずやうち砕くことができると信じています」と訴えた。小川さんは集会翌日、07年の長居公園の強制排除時に書いた絵を公園で展示して、連帯を深めた。

カネまみれの大阪「にぎわい創出」「パークマネジメント」の実態

 次に、大阪各地からの報告。神戸大の原口剛さんが大阪の釜ヶ崎の状況を報告。―大阪維新の「西成特区構想」により、労働センターの解体、日雇い労働者の街を企業に売り渡す計画が進んでいる。「星野リゾート」がJR新今宮駅北側の広大な公有地を買い取り、高級ホテル建設を計画し、地価も急上昇している。この開発を許せば、現在労働者が生活する地域を丸ごと開発が包み込む状況になる。そうなる前に反対の声を強めよう―と訴えた。
 「大阪城公園よろず相談」で夜回りや炊き出しを続ける渡辺拓也さんは、大阪城公園で「パークマネジメント事業」が進み、野宿者が住めなくなっている現状を説明した。
 森ノ宮駅前や大阪城を、企業が外国人観光客向けに再開発する。桜の花見のバーベキューセットまで企業が独占的に貸し出していた。このような公共空間の商業化は、現在の大阪市で「にぎわい創出」の名の下に一斉に仕掛けられている。だがそれは、商業施設の魅力向上に公園が利用されているだけで、公園本来の魅力は毀損され、排除が進む。現実を見通す想像力を鍛えなければ、いずれ私たちはきらびやかな廃墟に立ち尽くすことになると話した。
 さらに「3・11関東からの避難者たち」は、「東京での五輪を決められた最大の目的は、福島原発事故の被害を国際的に隠すこと。だから、避難者も福島に残る住民も『自己責任』と切り捨てられ、野宿者と同様に見えない・殺される存在にされてきている。また『帰還・復興政策』も、東京や大阪同様にゼネコンの箱物建設利権にされている。避難者も野宿者の運動とつながり、共に隠された存在と問題を表に出していきたい」と話した。

野宿者排除と死刑の執行

 宮下公園封鎖の前に、昨年新国立競技場を作るために明治公園も強制封鎖され、計3名が不当逮捕された。国は国策の東京五輪のためなら、問答無用の暴力的手法を取る。この理由と全体の構造を、大阪で長年夜回りを続ける「釜ヶ崎パトロールの会」の金羽木さんが話した。
 「五輪は国をあげたナショナリズムのイベント。その核心は、『国民』とされる者とされない者とに線引きし、『国民』でない者を殺していくことだ。東京五輪決定直後、東京拘置所で死刑執行がされた。この年、谷垣法務大臣は8人もの死刑を執行し、『死刑制度は必要なものと国民の認知を得ている』と会見した。
 大阪では1997年国体、02年W杯、07年の世界陸上などで、野宿者たちが排除されてきた。『どんな形であれここからいなくなってほしい。生活保護でも自立支援センターでもシェルターでも構わない』と求められた。その帰結が『死んでも構わない』という暴力排除や死刑執行になるのは、明らかだ。そして、2012年10月に大阪駅のガード下で野宿者が若者に殺され、10日後に阪急百貨店がリニューアルオープンした。
 いま朝鮮に対して米日韓が戦争挑発を繰り返しており、戦争は国をあげた総力戦となるため、こうした論理はより強烈に働く。いま天王寺周辺の再開発で野宿者が排除されていることは、国会で審議中の共謀罪―非国民狩り―を先取りしたものとして捉える必要がある」と熱く訴えた。
 最後に再び司会の中桐さんが「こうした各地・全国がつながる場を今後も続けていこう」と話し、そのために参加者を会場裏の淀川河川敷での交流会に案内した。小川さんや参加者との交流は夜遅くまで続き、今後に希望が持てる集まりとなった。(編集部・園)

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