3・11福島 子どもの健康不安・いじめ、見えない放射能 福島の現実を見て、伝えてほしい

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第6回 原発いらない地球のつどい

(主催: 原発いらない福島の女たち)

 「3・11」から6年。いま福島では、「帰還政策」が進められている。これまで「帰還困難区域」とされていた地域が、次々と避難指示が解除される予定になっている。3月31日には浪江町・飯舘村の一部と川俣町山木屋地区が、4月1日には富岡町の一部が避難指示を解除される予定だ。
 安倍首相は政府主催の追悼式で、「被災地に足を運ぶたび、震災から6年を経て、復興は着実に進展していることを実感します」と「復興」を謳ったが、その一方で原発事故には触れなかった。また、「避難指示区域」以外から県外へ避難した「自主避難者」への住宅無償提供も今月いっぱいで打ち切られる。
 「復興」の名の下で進められる被災者切り捨て。福島市内で行われた「第6回原発いらない地球(いのち)のつどい」(主催・原発いらない福島の女たち)の様子を報告してもらった。
 翌12日に「ストップ川内原発!3.12かごしまパレード」がおこなわれた鹿児島現地から、そして東京・大阪でおこなわれた集会の報告と合わせて紹介する。(編集部)

「お子様連れはご遠慮ください」

 「あの時、子どもたちがどうしていたか。避難させたかどうかは、親しい母親同士でも、禁句になっています。仕事や家庭の都合で子どもを避難させられず、甲状腺検査で『精密検査が必要』と言われたお母さんもいます。みんな将来の不安を抱えています」──福島県外からの参加者から「福島の方の声が聞きたい」との質問が出たときに、霊山町(伊達市)の女性は、静かな口調でこう答えた。
 昨年6月に福島に移住した私は、福島での集会に参加するのは初めてだった。集会で感じたのは、「3・11」がもたらした傷がいまだに癒えていない現実だった。集会では、報告やアピールを読み上げる女性がこの6年間の出来事を思い出して、声を詰まらせる場面も何度かあった。
 「全国各地で福島からの自主避難者の子どもに対するいじめが明らかになってきています。菌扱いされたとか、『放射能がうつる』と言われたとか、ただでさえ辛い思いをしている子どもたちへの理不尽ないじめが収まらないことに、強い怒りを覚えます。親や学校の先生からの影響があるのでしょう。どうか皆さん、本当のことを伝えてください」。
 「私たち福島の人間は、いまだに見えない放射線の中での暮らしを強いられています。街頭は放射線量計だらけで、TV・ラジオでも『本日の放射線量』が伝えられています。また、この会場(福島市民会館)の1階には『さんどパーク』という、子どもたちに被ばくをさせずに砂遊びさせるための屋内施設があります。そうした福島の現実をぜひ見てください」(いずれも福島の女性からの発言)。
 3月11日、福島市民会館で「第6回 原発いらない地球(いのち)のつどい」(主催・原発いらない福島の女たち)がおこなわれた。福島だけではなく、全国から約120人が参加した。
 会場となった福島市民会館は、福島第一原発から西北西の方向、約62㎞の距離にある。南側にある福島大学附属小学校には、リアルタイムの線量測定システムが設置されており、原子力規制庁が線量を公表している。集会が始まった午後1時の線量は、0・10μSv/h。この数値は、原発からの距離にしては比較的線量が高い。30㎞圏内でもこれより線量が低いところはあり(たとえば同時間帯の川内村立川内小学校〔原発から西南西の方向に22・1㎞〕では0・095μSv/h、浪江町公民館幾世橋分館〔原発から北北西の方向に8・5㎞〕は0・080μSv/h、道の駅ならは〔原発から南南西の方向に19・4㎞〕は0・095μSv/hとなっている)、やはり放射性物質は福島第一原発から北西方向に流れ(福島市もその延長線上にある)、線量が高くなっていることがうかがえる。集会の案内ビラにも、「放射線量の高い場所があります。各自可能な防御のうえ、お子様連れはご遠慮ください」との注意書きが記されていた。

福島と沖縄はともに「国策の犠牲」

 集会の前半は、(1)帰還政策と放射能安全キャンペーン、(2)福島と沖縄の人権蹂躙、(3)被ばく労働問題、(4)脱原発/再稼働反対、の4つの分科会がおこなわれた。
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【帰還政策と 放射能安全キャンペーン】
 今月3月31日に、「帰還困難区域」を除く地域の避難指示が解除される。除染で線量が50mSv/hを下回るようになったから帰れというのは、とんでもない話。また、県外への自主避難者に対する、災害救助法による借上住宅制度が3月で打ち切りになる。そんな中で独自支援策をとる自治体も出てきているが、孤立・困窮する避難者にとっては、不十分な面も多い。そもそもこうした支援は、本来、国がやるべきこと。
 いまも国は20mSv/hでも健康被害はないという立場だが、累積すればとんでもない高線量になる。子どもたちの健康が脅かされている。
【福島と沖縄の人権蹂躙】
 昨年沖縄に移住した垣内成子さんからの報告。「基地の負担軽減」というマヤカシの下に新基地建設や基地機能強化が強行されている沖縄と、東京オリンピック開催を念頭に帰還強制政策が強行されている福島は、ともに「国策の犠牲」となっている。
 沖縄では、辺野古・高江での非暴力直接行動が続いている。厳しい状況の中でも、明るく楽しみながら闘い続ける沖縄のやり方を、福島でも見習っていきたい。
【被ばく労働問題】
 福島第一原発で作業する作業員は、常に死と隣り合わせ。原発は「被ばく」という労災が起きることが前提の職場だが、現行法は労働者を保護する内容にはなっていない。また原発で働く人は、除染労働者と違って危険手当が出ない。多重請負の構造でピンハネされ、労働者の手に渡らないようになっている。除染・廃炉バブルを当て込んで、自己資金がないような零細会社も多く、賃金未払い・倒産が横行している。
 安倍政権は「2020年までに避難民ゼロ」を打ち上げている。これは労働者がどんどん高線量区域で作業させられることであり、限られた予算で除染するため、ポイントを絞った「手抜き除染」となる恐れが大きい。
 被ばく労働の現場を透明化し、労働者の人権を守っていくために、労働者がどうしたら声をあげていけるのか、私たちは彼らとどうつながっていけるのか、が問われている。
【脱原発/再稼働反対】
 安倍政権が進める原発輸出の状況について。また、川内・伊方と強行されていく原発再稼働反対の取り組みの報告や意見交換。
 まず、アジアの原発地図(手書き)が示された。国内だけではなく、隣の国でも原発が稼働し、増設計画も多くある。安倍政権がもくろむ原発輸出は恥知らずだとの強い発言があった。台湾の脱原発決議はすばらしい。新潟や愛媛からも参加があって、これから共に力を合せてやっていこうとの意見交換がなされた。
デモを見つめる人々の思いは…
 続いて集会では、「朝露」「光の方へ」の合唱、「スリー・ノンの女たち」による福島の詩人による3編の詩の朗読もおこなわれた。集会アピール(左参照)の確認、そして東日本大震災が起こった午後2時46分に黙祷をおこなった。
 集会終了後は、チャンゴ隊「セットンの風」・サックスのMASAを先頭に、JR福島駅までの2キロをデモ行進した。目立った反応はなかったが、多くの人がデモを静かに見つめていた。少なくとも無視や拒絶ではないように見えた。何を思っていたのだろう。
 福島の人たちは、所や状況は違っても、皆「3・11」を体験し、翻弄された。福島原発は、廃炉に向けた調査作業もまだ終わっていない。「この6年で東電は、4号機の使用済み燃料プールにあった燃料を取り出しただけ」という一方で、進められる帰還政策。いまもなお福島の人たちの中にある怒りや悲しみと、「原発のない社会」の実現をどう結びつけていけるのか、と考えながら帰途に着いた。
  (福島在住 一ノ瀬輝博)

【第6回原発いらない地球のつどい 集会アピール】

 あれから6年。2011年に産まれた赤ちゃんは小学生や年長児になります。私たち大人は右往左往しながらも固く「原発いらない」と訴え続け、今なお揺らぐことはありません。原発事故を起こした東京電力は何事もなかったように、責任を取ることもなく、黒字決算を大きく報道しています。安倍首相はへらへらしながら、福島の魚や野菜を食み「安全安心」「福島の復興は確実に進んでいる」と国会や海外で偉そうに言っています。それを取り巻く報道機関にも何とも不快な思いでいっぱいです。こんな気持ちを抱えながら、とてもオリンピック招致を歓迎できるはずがありません。
 私たちが何故ここ福島で「原発はいらないんだ」と言い続けているのか。それは、多くの犠牲を強いられ、健康被害を受け、世界に対しても申し訳ない程の放射能汚染を拡散し続けているからです。この現場から悲痛な声を出さずにいられるでしょうか?
 住宅無償提供の延長も無視され続けています。3月初めの発表では避難者数約8万人。ここには6年前に強制避難させられ、今では強制帰還させられようとしている人が含まれています。「自主避難者は勝手に避難したのだ」とあからさまに県は言いますが、誰が責められようか。地図や定規で測ったようには切れない原発事故被害。「原発さえなかったら」と大勢の人から異口同音何十回も聞き、私たちも何度も何度も言い続けています。
 結論ありきの国の政策に、意見するどころか同調しかしていない福島県。私たちはこの現状を、原発による人権無視や分断のありさまを、日本全国、世界各国に訴え続けます。そして世界中の原発が一刻も早く撤廃されることを望みます。それにはここに参加されている方々の力が必要です。力を合わせて進んでいきましょう。     2017年3月11日 参加者一同

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