「売り手市場」の評価の裏側で企業・大学に翻弄される就活生

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理不尽なのは「圧迫面接」だけじゃない

関西の大学4年生 ムー(仮名)

 こんにちは! 私、関西の某大学に通う4年生のムー(仮名)です。今年の3月から6月半ばまで就職活動をしておりました。今年の就職活動は学生に有利な売り手市場で、内閣府の調査によれば就職活動が短期間で済んだと答える学生が53%といわれています。では実際はどうなのでしょうか? 私の経験した就活は「おかしいな」と思う場面が多々ありました。以下では、周囲の学生や自身の体験を通じて感じた就職活動への 〝違和感〟 をトピックごとに書かせていただきます!

学生を傷つける圧迫面接

 面接の中には、就活生を威圧するような〝圧迫面接〟が存在します。私が遭遇した圧迫面接は、徹底的に人格を否定されるパターンでした。面接中、履歴書に書いた自分の性格、付随するエピソードについて、面接官に30分間徹底的に罵られたのです。
 初めは我慢していましたが、これまで頑張ってきたことや自分の信念までも否定され、ついに怒りがこみ上げてきました。21歳の若造が考えることなど大したことではないのでしょうが、今の自分を形作った出会いや経験を否定されることは許せませんでした。しかし、面接の場で逆上するわけにはいかず…。
 結局、「そんな甘い考えじゃ社会でやっていけない」と説教される形で面接は終わりました。おそらく就活生のストレス耐性や対応力を見ているのでしょうが、「反論すれば落とされるのではないか?」と考える就活生の弱みに付け込んで行われる圧迫面接は、とても理不尽なものでした。友人の中には、親の職業など家族関係に関するものや、セクハラと受け止められる質問をされた人もいたそうです。

学生を混乱させる「サイレントお祈り」

 就活生は、企業選考の不合格通知のことを「お祈りメール」と呼びます。不合格通知のメールの文面に「今後のご活躍をお祈り申し上げます」といった文が記述されているためです。
 しかし今年は、「サイレントお祈り」をする企業が多発しました。サイレントお祈りとは、企業が就活生に選考の合否連絡を一切行わないことを指します。僕自身、面接後数カ月間、何の連絡も来ず、不合格扱いで放置された企業は10社以上です。いつまで結果を待てばいいかわからず、他社の選考に切り替えができない時期もありました。
 また、あこがれの企業からサイレントお祈りの仕打ちを受け、深く落ち込んで就活を中断してしまった友人もいました。いま、大企業の4割は面接にきた学生に不採用通知すら送らなくなっています。

「オワハラ」について

 オワハラとは、「就活終われハラスメント」の略称です。就活生に内々定を出す際、就職活動を終わらせようとする企業側の行為を指します。
 私も就活中にこのオワハラを経験しました。内々定が一つもなく焦っていた6月上旬、数日前に最終面接を受けた企業から、「君に内々定を出したい」という電話がかかってきました。とても嬉しかったのですが、次の言葉に耳を疑いました。「条件として、他社の選考の一切を辞退していただきます。もちろんよろしいですよね?」。しかし、正直この企業は第一志望ではなく、他の企業も受けていました。ここで「いいえ」と答えると、内々定を失ってしまいます。悩んだ末、数日待ってほしいと頼んだのですが、「今すぐ返答してください」。結局、他社の選考を続けることに決め、その企業は辞退しました。幸い、その後他社から内定をもらえましたが、当時は「今後内定がもらえなかったらどうしよう」と不安に駆られました。

就活で困窮する生活

 就活にはお金がかかります。就活生はまずリクルートスーツ、革靴、ビジネスバッグを買い揃えます。それだけで数万円が必要です。誰かに指示されたわけではありませんが、周囲が買っているから自分も買わなければと思い込み、高いスーツを新調します。
 また、毎日のように説明会や面接があり、交通費も多くかかります。私は在阪のため交通費は低く抑えられましたが、地方学生の多くは「交通費がかかりすぎて辛い」と嘆いていました。説明会や一次面接は、自費負担で大阪や東京に出る必要があるのです。
 4年生の春学期には、多くの学生が就活のために学校に行かなくなります。説明会や面接が平日に集中するからです。私は授業を取りたかったのですが、いつ企業に呼び出されるかが分からず、ゼミしか履修できませんでした。ほとんど学校に行けないそんな期間でも、高額な授業料は請求されるのです…。バイトもあまり入ることができず、就活中は使えるお金が少なくなって、非常に困りました。

学生の将来観と「大手病」

 周囲には「少しでもいい『大企業』に就職しなければならない」と焦る学生が多かったのです。中には「企業の大きさで人生の勝ち負けが決まる」という友人までいました。
 しかし現実は甘くなく、大手企業には面接にすら呼ばれないのが普通です。それでもなお、大手企業を受け続ける就活生が多かったのです。これが『大手病』です。大手にこだわる理由はさまざまですが、共通して皆「大企業に就職する=安定した幸せな未来」と考えているようでした。
 また、学校も説明会には大手企業ばかりをピックアップし、企業も学歴フィルターが存在しないような素振りをするため、大手病に拍車をかけていました。その結果、選考で落ち続け、「自分は社会から必要とされていないのか?」と精神的に病んでしまう就活生が多くいました。

まとめ

 それぞれの項で共通している問題は、学生がこれらの違和感に対し、「おかしい」と声を上げられないか、「おかしい」とすら思っていないことです。私自身も「社会の厳しさ・理不尽とはこういうもので、受け入れなければならない」と思い込んで、理不尽に耐えていました。
 「今年は売り手市場で、就活生に有利だった」と言われています。しかしその裏側で、こんな理不尽な思いをした就活生が大勢いることを皆さんに知ってほしいと思います。

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