南スーダン派兵、沖縄、原発、TPPなどの課題と結合し、改憲阻止本番の攻防へ

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強行採決から1年臨時国会の攻防

反改憲運動通信編集委員会 国富 建治

 9月26日に召集された臨時国会で安倍首相は、環太平洋連携協定(TPP)の承認・関連法案の成立に全力を挙げるとともに、改憲論議を本格化させる意向を表明した。アベノミクスの破綻が明白になっても、あくまで経済成長への幻想を振りまき、軍事国家化を進めるとの所信表明だ。
 同日国会周辺では、総がかり行動実による集会が行われ、各現場から改憲阻止への決意が述べられた。国富さんにレポートをお願いした。(編集部)

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 昨年9月19日、安倍政権は「2015年安保」と言われるほどの広がりを見せた連日連夜の抗議の声を暴力的に押し切って、安保関連法=戦争法を強行成立させた。「デモ・デビュー」の若者たちや若い「ママ」たちが、ある決断を持って国会前にかけつけたことは、確実に消し去ることのできない体験としてその人たちに刻み込まれているに違いない。
 それから1年。7月参院選でなんとか両院で3分の2の改憲勢力を確保した安倍政権は、11月にも予定されている南スーダンPKO派兵を契機に、戦争法の下での「駆けつけ警護」「宿営地の共同防衛」などの実戦訓練を派遣自衛隊員に行っている。南スーダンではさる7月、キール大統領派とマシャル副大統領派の内戦が首都ジュバで再開し、八月にはマシャル副大統領が解任されるという事態が起きた。JICAの現地日本人要員、NGO関係者などは、すでに南スーダンから出国している。
 日本共産党の志位和夫委員長が、9月28日の国会質問で「PKO5原則」が「総崩れになっている」と批判し、そうした状況での自衛隊派兵は「殺し、殺される関係」に入っていくことになる、と質問した。これに対して安倍首相は、「7月の戦闘は『武力紛争』ではない。現地の情勢は落ち着いており、『殺し、殺される』などというおどろおどろしいレッテル貼りは的外れだ」と言い張った。
 安倍政権は、何がなんでも、「戦争法の下での南スーダンPKO派兵の実績づくり」にこだわっている。
 9月12日に首相官邸で「自衛隊高級幹部会同に伴う総理主催懇親会」が行われ、統合幕僚長、陸海空の幕僚長などの幹部に向かって安倍首相自ら「『積極的平和主義』の旗を高く掲げ、世界の平和と安定、繁栄にこれまで以上に貢献していく。今こそ実行の時であります」と檄をとばしたことに、それは示されている。
 安倍のこだわりは、アフリカでの開発援助で先行し、南スーダンにも最多のPKO部隊を送り込んでいる中国への対抗が意識にあることは、間違いないだろう。そのことは、初めてアフリカで開催された第6回アフリカ開発会議(TICAD)の場で、日本と並んでアフリカからも国連常任理事国入りを果たす「国連改革」を打ち出すとともに、「日アフリカ官民経済フォーラム」による総額300億ドルの投資、人材育成、トヨタの「カイゼン方式」で「質の高いアフリカ」をつくる、と安倍が基調演説を行ったことに示されている。自衛隊の南スーダンPKO派兵は、資本の新自由主義的開発戦略で中国に遅れをとることはできないという思惑とセットであると考えるべきだ。

国会正門前に2万3千人

 戦争法成立から1年目の9月19日、全国400カ所で「戦争法廃止」の集会が行われた。東京では激しい雨の中で「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が主催して、国会正門前をメインの演壇として「強行採決から1年!戦争法廃止!国会正門前行動」が行われ、2万3千人が参加した。
 集会では、民進党の岡田克也前代表、共産党の志位和夫委員長、社民党の福島みずほ副党首、生活の党の木戸口英司参院議員が各党を代表して発言したが、その中で注目されたのは、新執行部体制になった民進党から誰が、何を語るかだった。この中で岡田氏は、「民進党は、新しいリーダーが誕生したが、憲法違反の法律は何年たっても憲法違反だ。廃止していくのが国会の仕事だ」と語った。まずは「無難」な発言だった。
 高田健さん(解釈で憲法を壊すな!実行委)は、青森市の陸自第九師団第五普通科連隊が南スーダンに派遣されることに対し、10月30日に青森現地で南スーダンPKO派兵反対の集会を行う、と呼びかけた。
 戦争をさせない1000人委員会の清水雅彦さん、憲法共同センターの小田川義和さん、さらに立憲デモクラシーの会、元シールズの林田光弘さん、安保関連法に反対するママの会、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの発言に続いて、元自衛官の井筒高雄さんが南スーダンへの自衛隊派兵に厳しく抗議するアピールを行った。井筒さんは、自衛隊員の命をもてあそび、憲法改悪の材料にしていこうとする安倍政権の目論見を、厳しく批判した。

社会運動の現場から野党を再教育する

 9・19から1週間後の9月26日には、臨時国会が開かれた。この日、午後1時からは総がかり行動実行委員会による集会が、衆院第1議員会館前に800人が参加して行われた。
 集会では民進党(福山哲郎幹事長代理)、共産党(小池晃書記局長)、社民党(吉田忠智党首)、沖縄の風(糸数慶子参院議員)などが発言した。
 また、TPP批准阻止のテーマでアジア太平洋資料センター(PARC)の内田聖子さん、共謀罪反対で海渡雄一弁護士、沖縄辺野古・高江の闘いで「止めよう辺野古新基地建設国会行動実行委」から野平晋さん(ピースボート)がアピールを行ったが、この中で野平さんは、民進党の新代表となった蓮舫さんが、代表選の中で辺野古新基地建設を容認している立場を取ったことを見過ごすことはできない、と発言した。
 この野平さんの発言に対して、中野晃一さん(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)は、「野党共闘は総がかり行動やSEALDsの闘いが作ったものだ。それを忘れてはならない。私たちはこの難しい局面で、野党を再教育するという姿勢で臨まなければならない」と呼びかけた。
 安倍首相は、臨時国会の、所信表明演説で「憲法審査会での議論を深めていこうではありませんか」と語っている。沖縄・南スーダン派兵・TPP・原発再稼働、そして「働き方改革」などのテーマと結びつけながら、憲法改悪反対の闘いは正念場を迎えている。   (2面下関連記事)

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