【青森】模擬弾を六ヶ所村に落とした 米軍三沢基地の戦闘機 なくそう原発・核燃、あおもりネットワーク事務局次長 中道 雅史

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 昨年11月6日、米軍三沢基地所属のF16戦闘機が青森県六ヶ所村の民有地に模擬弾を落とした。


 米軍がこれを日本政府に通告したのは、半日も過ぎてからだった。日米地位協定の壁は、沖縄だけではない。青森にもある。落下地点の東方4・8キロメートルには、冷戦時代、核爆弾投下訓練にも使われていた三沢対地射爆撃場がある。F16は、ここで訓練していたらしい。


 重さ226キログラムの模擬弾は、一部をのぞき本体は年を越しても回収されておらず、落下の原因も明らかになっていない。繰り返すが米軍は、重さ226キログラムの模擬弾を1キロメートル内に小学校、中学校、こども園がある地点に落としたのだ。


 問題はそれだけではない。青森県には、核施設と軍事施設が集中している。主な核施設は以下。(1)建設途上で原子力規制委員会審査中の「大間原発」、(2)建設中断の「東京電力東通原発1号機」、(3)規制委審査中の「東北電力東通原発1号機」、(4)やはり審査の真最中である「むつ使用済み核燃料中間貯蔵施設」、そして(5)再処理工場、高レベル放射性廃棄物一時貯蔵管理センターなどがある「六ヶ所核燃サイクル施設」。


 軍事施設を拾い上げてみると、(1)Xバンドレーダー、ガメラレーダーなどのミサイル防衛施設、(2)米軍の基地と演習場、(3)自衛隊は陸上、海上、航空、3軍とも存在するし、青森から海外に派兵されている。


 米軍は2018年2月20日にも、同型F16がエンジン火災を起こし、今回の落下地点近傍の小川原湖に燃料タンクを投棄している。投下地点のわずか100m先には、シジミ漁の船が群れを成していた。


 米軍横田基地に正式配備(同年10月1日)されたオスプレイ(CV22)が三沢に頻繁に飛来し、三沢対地射爆撃場で訓練をしているのが現認されている。「空飛ぶ棺桶」との異名を持つオスプレイだが、飛来したCV22は空軍仕様の特殊作戦用で、地形追随レーダーなどを搭載しており、低空飛行を得意としているという。


 自衛隊に目を転じると、昨年4月9日、航空自衛隊三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが三沢沖の太平洋上に墜落している。私たちは、核燃サイクル施設の上空を戦闘機が飛び交っているのを何度も目撃している。青森、特に核施設が集中する下北半島の空は、危険がいっぱいなのだ。

再処理工場には高レベル放射性廃液が


 地上にある再処理工場には、アクティブ試験でできた高レベル放射性廃液が溜まっており、原発から出た使用済み核燃料がほぼ満杯で保管されている。付近には、海外返還高レベル放射性廃棄物が一時貯蔵されてもいる。


 今回の模擬弾落下のもうひとつの大きな問題。それは、落下地点からたった10キロメートルの位置に再処理工場があるということなのだ。ちょっと想像力を働かせるだけで、背筋が凍る思いがする。


 「米軍機は学校の上空は飛ばないことになっている」、「米軍も自衛隊も再処理工場上空は飛行禁止」1県も政府もこんな主張をしている。しかし実態が違うことは、住民が一番知っている。


 私たちは、80年代から、「反核・反原発」と「反戦・反基地」を一体のものとして闘ってきた。今こそ、その一体の闘いを、全国・全世界の闘いとして推し進めなければならない。核施設も軍事施設もいらない!

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