【バリアのない街】介護医療現場を直撃する 地球温暖化と東京オリンピック 遙矢当(はやと)@Hayato_barrier

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高温・人材不足に悩む介護現場

 「なんで!これから台風が来ようとしているときに、デイサービスの営業なんてするんだよ!」―10月11日午後4時、私の会社に怒号が響いた。台風19号が間もなく関東地方に上陸しようとしている最中、埼玉県内のデイサービスの拠点が営業を諦められないでいた。それに対する社内からの強い反発だったのだ。もちろん、12日の営業は中止になり、私も自宅待機で過ごした。  

放漫な暮らしの限界が

ここ数年、日本を直撃する台風が増えた。私が住む関東も多大な影響を受けている。地球温暖化に起因するとしても、急激な気候の変化を感じる。それは、医療や介護といった、生活の根幹に関わる事業の継続にまで影響を与え始めている。  

にもかかわらず、今までどおりの不自由が少ない放漫な暮らしを、これからも周囲を省みず続けようとしている人たちが何と多いことか。  

ここで一つハッキリと書くなら、医療や介護といった事業は、湧き出る水のような存在ではないということだ。  

特に関東の医療や介護は、ここ数年、気温上昇と自然災害に加えて、来年に迫る東京オリンピックが、運営の日常に影響を与え始めている。  

東京オリンピックは、浅はかな「お・も・て・な・し」のために人的資源を巻き上げる。例えば、人材不足に悩む介護に関わろうとする人を、競技の運営や観客の介助のために取り上げ、介護人材不足に拍車をかけている。こうして、見方を変えると、違った姿で安倍政権の弊害が見えてくるのだ。  

加えて言うなら、オリンピックは競技会場の新設を伴うので、今回もゼネコンの独壇場になっている。一方で、経年劣化した介護施設の修繕や、地域の要請が強い新規の介護施設の工事が滞り始めている。オリンピックが貴重な人的資源や予算をすべて横からさらっていく。  

そして、医療や介護にとっての地球温暖化は、建物(ハード面)の見直し政策が不可欠なのに、オリンピックの準備が優先され、夏の高温対策もままならなくなってきた。  

高齢者にとっての地球温暖化を課題にするなら、まずは1にも2にも自宅の生活習慣の見直しが必要になる。涼しく、室温が安定した空間で暮らすのが至上だからだ。  

その改善のために、冒頭のデイサービスの活用が、高齢者の生活の伴走者として極めて有効なのだ。ところが、デイサービス施設自身もスタッフの確保に苦戦し、建物の見直しができないため、人員に悩み室温の高いデイサービスの提供を余儀なくされてしまいつつある。  

私は今でも、医療や介護の立場としても、東京オリンピックの開催は今すぐ止めるべきだと思う。それは、年々激しくなる台風の襲来に対応できない現状はあるし、既存でも新築でも、現地物件の補修やメンテナンスが講じられないままだからだ。  

自然には逆らえない。だからこそ、自然を軽視し、オリンピックのために不要不急の開発を進めようとする現状に、私は引き続き異議を唱えたい。不要不急の工事より、地球温暖化により変わりゆく自然に向き合い適応することこそ、私たちに求められている。

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