編集部が、リレー形式で時事問題を斬る!
9月11日、内閣改造が行われ、10月から消費税が上がる。朝日新聞の声の欄に興味深い意見が載っていた。70歳の方の投稿だ。「安倍首相の企業優先の経済政策の結果、企業の「内部留保」=利益剰余金が2018年度前年より約16兆円多い463兆1308億円となり、7年連続で過去最高を更新した。一方、7月の実質賃金は前年同月比0.9%減で7カ月連続マイナスであり、利益が労働者に還元されていない。
こんな状況下で、低所得者ほど負担が重い消費税を上げるという。この5年半で5%から10%と引き上げられることになるが、反対に法人税は7年で約7%引き下げられた。法人税を元に戻せば消費増税は必要ないのではないか。利益を上げている企業にも応分の負担を望む」(筆者要約)―。もっともな意見ではないかと思う。
法人税は89年度19兆円の税収だったものが、16年度は10.3兆円まで落ち込んでいるのに、大企業の内部留保は7年連続で更新している。1989年の消費税導入から2018年度までの消費税収は372兆円程だそうだが、法人税の減収が291兆円。消費税収の約8割が法人税の穴埋めに使われているとしか言えない。
消費税は「社会保障を充実させるため、全額社会保障費用に使われる」目的税で、「社会保障の財源を確保するため」とされていた。しかし実態は、生活保護費の削減や介護報酬の減額、医療・介護費の自己負担額の引き上げ、介護保険要支援1・2の者の保険からの除外、年金支給額の減額等々、第2次安倍政権発足以来の7年間で4兆2770億円も減額されている。これのどこが「社会保障の充実」なのか。さらに、来年の介護保険法の改正では、(1)介護サービス利用時の自己負担増、(2)現在無料の「ケアプラン」作成費の自己負担の導入、(3)要介護1・2の人の介護保険からの除外、が謀られている。安倍政権は消費税10%引き上げについて「社会保障の充実のため」と言っておきながら、これでは更なる「社会保障費削減」でしかない。
今回の増税分は、米国に言われるままに引き取り先も決まっていないトウモロコシの購入を約束したような爆買いや、高額兵器のローン返済に充てられるのか。無駄使いに充てられるのか。よくもまあずうずうしくできるものだ。