夜回りで出会う人々とそれぞれの理由
「息苦しくなって」 施設を出た女性
7月×日
先月からぼくらの夜回りコースで50歳前後の女性が野宿しており、気になっています。話すとけっこうしっかりしゃべってくれて、お金がなくて、ご飯も食べたり食べなかったりで困ってるって言うんだけど、「オシテルヤでご飯を食べませんか?」と誘っても「うん」とは言わない。
先月まで施設で暮らしていたけど、「息苦しくなって」出てきちゃったという。施設の方に連絡をすると、いつでも戻ってきてくれたらいいと言ってくれたんですが、本人は「帰りたくない」と言ってきかない。生活保護を利用してアパートで暮らしたいと思わないかと尋ねると、「でも、前の部屋では近所の音が気になって出てきちゃった」と言って、乗ってこない。
お風呂も入っていないし着替えもしていないので、蒸し暑い季節だからいろいろ気になるんだけど、本人は気にしていないみたい。
本人が望んでくれたらオシテルヤのシャワーを使ってもらうこともできるし、着替えも用意できるし、仕事をしてもらうこともできるし、アパートで暮らすこともできると思うんだけど、なかなか動きそうにない。アルミ缶集めや炊き出しまわりなどで「食える」労働者と違って、どうもほっとけない。しばらくはゆっくり見守りながら、SOSが出たらキャッチできるよう、声かけを続けたいと思います。
生活保護をやめ 野宿する男性
7月◇日
先日の夜回りで出会った60代の男性からは、仕事があったら回してほしいと相談を受けました。数か月前まで生活保護を利用してたんだけど、理由があって野宿になっているとのこと。もう生活保護を使うつもりはないとのこと。「いまは、何とかその日が食えたらいい」という日々。アルミ缶集めなどの収入もないので、釜ヶ崎の炊き出しに行ってしのぎつつ、土地勘のあるこのあたりに戻って野宿しているとのこと。
ぼくらはときどき不用品処分や除草などの便利屋仕事を請け負っているので、この方ともいっしょに仕事に行って過ごす中で、お互いにもっと知り合っていこう。生きるエネルギーが貯まってきたら、ひょっとしたらまた仕事探しをすることにも意欲が生まれてくるかもしれないし、生保を利用して立て直そうという気にもなるかもしれない。
ネットカフェで 寝泊まりする人
7月▲日
先週、オシテルヤを突然訪ねて来た方は、心斎橋のネットカフェで寝泊まりしているとのこと。「夜回りの集合場所に行ったら、食べるものをもらえるのか?」とのことでした。釜ヶ崎の炊き出しはあまり行きたくないとのこと。以前は梅田周辺でも炊き出しや弁当配りが多かったが、最近は減ってしまったという。夜回りの集合場所と時間を伝え、とりあえずこの日は別れました。
ただ夜回りでの食べ物だけではどうにもならんと思うので、どうにかしたほうがいいんだろうけど、こちらもタイミングをうかがうしかなさそうだ。
家賃を滞納し 蒸発したKさん
7月◆日
お世話になっている不動産の仲介業者から電話。春先にアパートに入居したKさんが、二カ月家賃が入っておらず、連絡が取れないとのこと。釜ヶ崎の施設から生活保護の申請を手伝い、入居後もときどき訪問して見守りを続けていたのですが、何があったのだろう。
これまでも派遣の寮と釜ヶ崎とを行き来し、お金がなくなったら生保を利用して、ふとしたときにまた派遣の仕事に出るという暮らしを続けていたようだ。アパートは解約となり、未払い家賃はオシテルヤが立て替えることになった。
ご近所からの相談 認知症の女性
7月△日
ご近所の方がわざわざオシテルヤに来てくださって相談をいただきました。その方と女性とはたびたび会うんだけど、どうも着ているものがだんだんくたびれて汚れていくし、ひょっとしたら外で寝ているのかもしれない。認知症も進行しているようなので、とても心配しておられました。ぼくらはその女性とは出会っていないので事情はわからなかったのですが、その日以来、そのあたりを通りがかる際には注意してその女性を探すようにしています。
もし野宿しているのなら先の女性の方と同様に長期戦で付き合っていこうと思うし、もし近隣に住居がある方なら、区役所や地域包括支援センターと連携して見守りや声かけを続けていきたいと思います。
オシテルヤでは毎週月曜日の9時~12時のあいだ、相談会を兼ねてサロンを開催しています。 連絡先:info@oshiteruya.com