ネットが普及し、もはや「隠せない」部落差別
6月19日、公開講座「インターネット上の部落差別との向き合い方」が、小田地区人権啓発推進委員会の主催で行われた。講師は、尼崎市「インターネットによる差別書込みモニタリング事業」 ファシリテーター・細見義博さん。尼崎市は、現在の部落差別に対し、全国に先がけ、インターネット上の差別書込みに対するモニタリング事業を実施し、注目されている。細見さんの講演を要約して紹介する。
2016年「部落差別解消推進法」が成立しましたが、罰則規定はありません。都落差別に対して、「そっとしておけば自然になくなる」という考え方があります。「せっかくおさまっているものを、余計なことをして問題を起こさないほうがいい」という、いわゆる「寝た子を起こすな」論です。
ではこの間、部落差別はなくなってきたのでしょうか。いくら隠そうとしても、インターネット社会では、寝た子はネットで起こされるのです。また、そこには間違った情報があふれています。
大学生に「部落の存在を知った経緯」についてアンケートを取りましたが、「こわい、近寄るな、結婚するな」などの差別的な認識は親から子へと伝わる事例が見受けられました。学校が教えなくても親が教えるわけです。しかも差別的な情報を。だからこそ、教育として正しい知識を教えることの意義を訴えたいのです。部落差別を知って差別する人は教育の次元で対処できませんが、家庭での誤った情報の連鎖は、「よく知らないけど怖い」という無知からくる偏見です。
そこで「地域交流事業」の一環として、実際に被差別部落の地域で開かれたイベントを開き、研修で来た子どもたちに楽しい思い出を作ってもらうことで「無知からくる恐怖」を払拭しようとしています。 (編集部・村上)