宇部三菱・中央大阪生コン協同組合事件 公判
「全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(以下関ナマ)」が連続弾圧を受けている。うち、(1)昨年9月18日に16人逮捕・7人起訴された事件と、(2)10月9日に8人逮捕・2名が起訴された事件の第2回公判が、5月15日、大阪地裁で開かれた。
(1)は、大阪市港区の宇部三菱大阪港サービスステーション前でのストライキ(17年12月12日)を、(2)は、同日の西成区中央大阪生コン工場でのストライキを、ともに「威力業務妨害罪」で弾圧された。15日は、裁判と同時に8時から大阪地裁前公園で「労働組合つぶしの大弾圧を許さない座り込み集会」が夕方まで行われ、150名が参加した。裁判・集会の模様と被弾圧者へのインタビューを掲載する。 (編集部・園)
関ナマは昨年8月からのべ64人逮捕、42名が起訴、9名が今も拘留中という未曾有の弾圧を受けている。
(1)湖東協組事件(大津地裁)、(2)大津協組事件(大津地裁)、(3)宇部三菱・中央大阪生コン事件(大阪地裁)の3つが公安事件として進行中だ。
滋賀も大阪も、県警・地検・地裁がひとつの事件を細切れにして、逮捕~起訴~新たな逮捕~起訴を重ねている。そのため訴訟関係が複雑で、公判が連日行われ、同じ証人が何度も尋問されている状態だ。
15日の公判は証拠調べで、検察は、「全日建の実態は、ストライキと称して出荷妨害をくり返してきた」と過去の事例を延々と読み上げた上で、午前・午後と4時間にわたってスト当日のビデオ(会社側、警察側、監視カメラの3種)を上映した。
検察側の証拠ビデオに映される 警察の不当介入
会社側が「邪魔をするな」と書いたプラカードで関ナマ側のトラックや生コン車の前に群がっている。関ナマ側は、運転席の窓から会社側のドライバーにストライキ協力を呼びかけているだけだ。また警察が関ナマを妨害し、民事不介入の原則を破っていることもわかる。
傍聴席から「これがなぜ証拠にあたるのか」と怒りの声が飛んだ。弁護士は裁判後の集会で「犯罪視されるような事態は起こっていない。裁判長に、公訴事実をありのままに見せるために、あえて検察側映像を説明なしに流した。今後でっち上げだと明らかにさせる」と説明した。
これまでの裁判は訴えてきた「大阪広域協組」側に多数傍聴席を占められてしまったが、今回は3対1で関ナマと支援者が多数を占めた。あふれた傍聴者は、交代しながら傍聴席を埋めた。
屋外では全港湾大阪支部・小林書記長の司会で、炎天下のなかで150名が座り込んだ。連帯発言が続き、東京では4月16日にルポライターの鎌田慧氏らの呼びかけで「関西生コンを支援する会結成総会」が参議院議員会館で行われたことも報告された。宣伝カーが弾圧反対をアナウンスしながら裁判所周辺を周回し、通行人にチラシも配布し続けた。最後に法廷内外が合流して裁判所へコールした。
本件の被弾圧者は全員釈放されており、裁判でも被告人席に陣取った。当事者に思いを聞いた。
弾圧や嫌がらせには負けない釈放された組合員から
私は昨年9月18日に逮捕され、20日後に処分保留で釈放されました。家宅捜索は手荒で、早朝5時に公安警察3名が突然来ました。兄弟の部屋まで入られ、写真を撮られました。車の中まで捜索されました。
警察官には取調べで「組合を辞めないの?」と何度も聞かれました。滋賀県警は、他の組合員の妻にも電話などで「組合員の親や子どもにも会わせろ!」「このままだと出られないよ」「職場の人と連絡を取るな」などと脅しや組合脱退の働きかけをしています。許せません。
大阪の組合員は弾圧で仕事を奪われたため、毎日京都や滋賀まで働きに出ています。私は以前は朝5時起きでしたが3時起きになり、夜まで仕事が続けば、車内やビジネスホテルに泊まって翌朝出勤しなければなりません。これがキツくて、脱退する組合員もいます。それを広域協組側が雇っています。広域協組側に入った仲間からも、「関ナマを辞めてこちらに来なよ」と誘われます。
しかし、私は最後まで関ナマで頑張ると決めました。私は連帯労組に入ったために、会社からさまざまな嫌がらせを受けました。会社の専務が広域協組側だったからです。ボーナスを無くす、作業服を渡さない、飲み会に誘わない。そして18年に「明日仕事ないから」と解雇されたので、もう戻る場所はないからです。だから辞めません。