機能していない 国・環境省の環境保護対策
3月25日、辺野古海域の区域に土砂投入が始まった。キャンプシュワブのフェンスを隔てて辺野古・松田の浜から一番近い場所から始められた。当日は、朝5時からキャンプ・シュワブゲート前で抗議行動が行われ、女性が一人不当逮捕された。
名護署内での顔写真撮影を拒否し、男性警察官10人に腕や身体を拘束・暴行され全治1週間の傷害を負った。移送された沖縄署では食事が配給されなかったという。
こうした不当逮捕と長期拘留そして起訴前からの人権侵害は、国連人権規約委員会から日本政府に勧告が出され、沖縄の基地問題は世界に広がり始めている。
3月19日には、本島北部・今帰仁村の運天漁港にジュゴンの変わり果てた姿が発見された。本部半島の西側には本部塩川港や琉球セメントの桟橋があり、ガット船と呼ばれる巨大な土砂運搬船が辺野古海域の護岸建設や埋め立てのため2017年末から航行し、大浦湾や台風時には工事関連の台船が古宇利島近くの羽地で停泊している。工事の影響が全くないとは言い切れない。
国際プラスチック憲章に日本が国内の産業保護のため批准しなかったことや、世界中の国、環境NGOや研究者の集まりであるIUCN(世界自然連合)から3度にわたってジュゴンやサンゴ保護の観点から、辺野古新基地建設の中止が勧告されている。アメリカで控訴審中のジュゴン訴訟でも、「地域住民や地元自治体、環境学者らと協議するように」、との判決が過去に出されている。
国・環境省の環境保護対策が機能していないことが、ジュゴンを死に追いやったのである。地盤改良のための7万7千本の杭を打ち込む工事は、ジュゴン絶滅計画と言ってよい。世界稀に見る環境破壊であり人類史に残る犯罪だ。
県民大会で 沖縄の若者が発言
3月16日、オール沖縄会議主催の県民大会が那覇市の新都心公園で開かれ、1万人以上が参加し、3人の若者が発言した。1人は名桜大の学生。もう1人は、「琉球併合=植民地化から140年たっても何も変わっていない、独立しかない」と発言し、「野蛮おし付きや 見事はねのけて美ら海の辺野古 守てみしら」と琉歌を披露した。
新たな土砂投入を目前に控えた県民大会にしては物足りないが、参加者に多数の若い人が見受けられたのは新しい。県民投票に向けて、主体的に動いたのは沖縄の若者であった。
問われるべきは、日本政府=安倍・菅体制であるが、その体制を許している日本人でもある。宮古・八重山・奄美の自衛隊配備を含む沖縄・琉球弧の軍事要塞化・日米安保=軍事安全保障政策によって、「戦後」の「平和国家」が成り立っている。
「戦後」の形式的民主主義や市民運動が、誰を犠牲にし、沈黙を強いてきたのか? 日本が実現したことのない民主化=脱植民地化の実践と運動が試されている。