福島在住、宗形さんからの通信で「今世紀最悪の公共事業」と評された除染作業。帰還困難区域を除く地域の面的除染は、2018年3月で終了した。しかし、求人サイトを閲覧していると、「除染アルバイト 時給850円」という求人募集が見つかった。いくらなんでも除染作業で850円/時は、ないだろうと思い、電話取材を試みてみると、「当社は、震災瓦礫処分、除染等各種建設土木に関わる工事に携わっていますが、今回の募集は事務職のパートです」とのことだった。
さらに「除染・福島」で検索すると、「除染作業やフレコン搬入出作業」で「日給9000円~、ただし1~6カ月の試用期間は日給8000円」というのもある。「無料の宿泊施設あり」とはなっているが、1万円の危険手当はどうなっているのか? 採用担当者に電話をかけると「危険手当は出ない」。理由は、「危険区域外だから」との回答だ。
政府は、除染作業の元請けであるゼネコンに対し、1人あたり約3・3万円の賃金(設計労務単価)を支払っている。重層的下請け構造でピンハネされ、労働者に支払われる時点で、4分の1まで下がる。法定福利費や宿舎費等を入れても、半分以上は、ピンハネされていると考えていいだろう。
「今世紀最悪の公共事業」に投入された2兆6千億円ともいわれる税金は、専らゼネコンを肥え太らせた。福島県の空間線量は確かに下がったが、それは放射能の半減期=自然減少によるもので、除染の効果は、誤差の範囲だという。
効果のない除染に使われた税金が、被災者の生活再建や除染労働者の賃金として直接支払われていたら、9年目を迎える福島の現実は、大きく違っていたはずだ。 (山田)