人民新聞国賠訴訟 第2回裁判報告 編集部・山田洋一

県警と検察の違法捜査を告発する

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 2月6日、大阪地裁201号法廷で、違法な人民新聞へのガサイレ(捜索差押え)に対する損害賠償を求める第2回裁判が行われた。この日は、被告=兵庫県警の「捜査は適法」との主張に対する原告=人民新聞社からの批判が展開され、大川一夫弁護士が弁論を行った。

 裁判の争点は2点。第1は、新聞社への捜索自体の違法性だ。海外送金のために銀行口座を開設しキャッシュカードを申し込むという、日常ありふれた行為を「犯罪」化することは、人権侵害以外の何物でもない。

 仮にキャッシュカード取得が銀行の約款に違反したとしても、人民新聞社とは無関係な事件についてガサイレ(捜索)を行った以上、被告=兵庫県警は、どのような事実と証拠を認定し、「関連性」があったと判断したのか、立証すべき義務がある。

 被告=兵庫県警は神戸地裁が捜索差押許可状を発付したことをもって適法としているが、これは責任逃れでしかない。

 第2の争点は、押収物が長期にわたって返却されなかったことの違法性だ。押収物は、「…公判審理の推移からみて、返還をしても審判に支障を生じない場合は、事件の終結前にこれを返還するのが適当」(『条解刑事訴訟法第4版』より)とされている。つまり、起訴した段階で押収物は返却されなければならないのである。にもかかわらず、兵庫県警と検察は、押収物を1~4カ月間も保管し、読者名簿と山田個人のスマホについては、1年3カ月以上保管し、返さなかったのである。1審判決の後も押収物を返却しない理由など、どこにもない。被告=兵庫県警は、4月12日の次回裁判で、いったいどのような反論・主張をするのだろうか?

証拠物は起訴の判断材料にさえされていなかった

 この日の裁判では、兵庫県警が起訴した後で証拠物を検察に送致したことも批判された。証拠物は、起訴の判断材料にすら用いられていなかったことになる。

 こうした証拠物の扱いは、「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、…速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない」と定める刑訴法246条に違反している。

 裁判後、傍聴支援者は、弁護団とともに弁護士会館に移動。報告交流会では、(1)天皇代替わりイベント、G20大阪開催に向けて、なりふり構わぬ警察権力の事前弾圧が始まっていること、(2)関西生コンへの弾圧をはじめ、各種弾圧の事例が報告され、連帯して反撃することが確認された。

 最後まで返却されていなかった人民新聞の読者名簿と山田個人のスマホは、弁護団の抗議・返却要請によって、2月中旬までに返却されたことも併せて報告しておく。

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