「ありがとう!」「メリークリスマス!」という声が大阪入管の中から夜空に響いた。抗議行動のコール「大阪入管は仮放免だせ!」「長期収容をやめろ!」に対する被収容者の応答だ。12月25日、クリスマスに「大阪入管前キャンドルアクション」が取り組まれた。主催・共催はTRY(外国人労働者・難民と共に歩む会)、WITH(西日本入管センターを考える会)、難民支援コーディネーターズ関西、仮放免者の会だ。
大阪入管では、「不法残留」など入管法が定める「退去強制事由」に該当する容疑で取り調べを受けている、もしくは、退去強制(強制送還)処分が決定した外国人が収容されている。収容は1年を超えるなど長期化しており、拘束を解放する「仮放免」の措置すら出にくい。被収容者たちは、裁判を受けた刑法犯ですらなく、在留するための書類不所持の人たちが中心だ。
日中に行われた大阪入管への申入書では、以下の拷問の実態が記されている。(1)制圧と称して骨折させ、12時間、手錠を嵌めたまま懲罰房に拘禁する、(2)6人部屋に17人の被収容者を空調電源を切ったうえですし詰めにし、その後は各居室に戻すも33日間、部屋を施錠拘禁のうえ、シャワー・運動時間各15分しか与えない、(3)医療については「我慢していれば治る」と専門医に受診させない、(4)食事を異常に減量する、食品の差し入れを一切不許可とする、などだ。
「帰るか、収容され続けるか」の二者択一を突きつけられる日々。まともな医療・食事も提供されないなか、人間関係を遮断され、精神的に追いこまれる日々が続く。
被収容者のなかには長年、日本社会を支えてきた労働者が多くいる。生活基盤も人間関係も、過ごしてきた日本社会の地域にあるのかもしれない。入管から「母国に帰れ」と言われても、知る人もいない土地に送り込まれるような感覚なのかもしれない。あるいは、「母国」とされている所が、政治的迫害や紛争から、自身の生命すら奪われかねない場所なのかもしれない。
この日にコールをあげていた人は、元当事者だ。抗議行動後の参加者報告会では、「入管に1年間入っていた。収容されている友人たちの気持ちがよくわかる」と話した。また、別の参加者は「私の彼氏を返してほしい」と話した。パートナーが長期収容され、他県から月に数回、夜行バスに乗って大阪入管を訪れている。
抗議行動参加者の大学生は、インタビューに以下のように応じてくれた。
―TRYという難民に直接支援するサークルに関わっています。高校生の頃に初めて難民問題を知り、大学で国際関係を学んでいます。(入管問題について)人間として許せない。最初はTRYのメンバーから実状を聞き、関心を持ちましたが、実際に面会活動をするなかで、なぜこんなことがまかりとおるのだろうという気持ちを覚えています。当たり前のように人権侵害が行われていることを、みんなに知ってほしいです。(Aさん)
―収容されている人と面会活動をする前、最初は怖い気持ちもありましたが、「来てくれてありがとう」という姿勢で話してくれました。面会活動が、収容場の実態を外に知らせる唯一の方法です。収容されている人を励ましながら、今後も活動を続けていきたいです。(Bさん)
「労働力不足」が謳われるなかで 日本社会の底辺でこの社会を支えてきた人たちや、「ふつうに日常を送りたい」と願う人たちが、自由を奪われたまま、新年を迎えている。*文中の申入書の詳細や今後の取り組みについては、上記各団体のWEBページに掲載。