安倍政権下、原発再稼働が強行されている。関西電力は福井県の大飯・高浜原発計3基を動かし、九州電力は佐賀県の玄海2基と鹿児島県の川内原発2基を動かしている。10月27日には不当判決の出た愛媛県の伊方3号機、11月6日頃には高浜3号機も再々稼働予定だ。原子力規制委は福井の美浜、青森県の大間、新潟県の柏崎原発に「適合」審査結果を出した。合格ありきの審査だ。
だが福島原発事故は半永久的に続き、9月の北海道地震では全道停電で泊原発が大事故寸前に陥った。停止期間が長く、燃料棒が冷えていたことが事故に至らなかった主な理由だ。地震大国における原発の危険性はまたも明確となった。
首都圏では、茨城県の東海第二原発の20年運転延長が11月末にも決まる。40年間運転し続け、東日本大震災で被災もした。30キロ圏内に96万人もの住民が、その外には数千万人もの首都圏住民が住んでいる。危険すぎる老朽原発だ。22日に那珂市市長が事前了解の必要な周辺6自治体で初めて反対を表明した。30キロ圏内外の多くの市町村が反対決議や意見書を採択した。
全国の再稼働反対運動をつなぎながら、新たに東海原発反対の連絡会も結成した東京「たんぽぽ舎」の柳田真さんに、状況と思いを聞いた。(編集部・園)
核武装をしたいがための再稼働阻止して沖縄に続く勝利を
10月20日、「東海第二原発運転延長STOP!首都圏大集会」には730名が参加し、大成功でした。首都圏で結集軸を作るのが目的です。26日の「原子力の日」には東海原発を管理する日本原電を「人間の鎖」で包囲します。 10月26日は、日本に原子力の火が灯った日です。これを祝う「原子力の日」は東海村の原電から始まりました。その日を「反原子力の日」として原電を囲むのです。
日本原電は一般市民に電気を売らず、電力会社だけに電気を卸しています。だから市民の声を聞かない体質が強く、申し入れ書も一切受け取りません。弱い会社の自己防衛でしょう。
しかし、東海原発再稼働は止められると思っています。この再稼働はかなり無理をしているからです。原発はボロボロで古い。最も小さい電力会社で、借金だらけで現金がなく、担保もないから銀行の融資も断られています。このため東京電力が8割、東北電力が2割も債務保証しています。東電前で「賠償を抱える東電が他社に債務保証する(借金の保証人になる)などおかしいじゃないですか!」と訴えると、通行人もうなずきます。
それでも再稼働するのが、原発推進勢力の根深さです。原発がないと核武装できないので、核武装したいという意志が日本の支配層にあるからでしょう。安倍首相だけではなく、自民党総裁選に出た石破茂も核武装を主張しています。それが市民運動で止まれば、時代の転換点になります。
沖縄県知事選で玉城デニーさんが勝利し、とても喜んでいます。同様に、東海原発を止めることで第二の勝利を創りたいのです。首都圏に最も近い東海原発を止めれば、安倍政権にも大打撃になります。
実際に再稼働するまで、約2年余りの工事期間があります。その間、闘い続けます。「首都圏連絡会」は関東中全体の市民や30もの団体が集まり、「再稼働阻止全国ネットワーク」も一翼を担っています。
原発で顧客が離れる北海道電力太陽光を抑制し批判浴びる九電
泊原発を抱える北海道電力は、火力偏重で無理があり、地震で停電しました。原発を動かそうとしたことで、顧客も離れています。再稼働は許されません。
原子力規制委員会が次々再稼働を認めています。前身の原子力保安院が3・11後に市民の信用を失ったので、市民をだます次の機関として作ったのが規制委員会です。保安院が酷すぎたので、最初は規制委への期待の声もありました。でも、今や合格ありきの審査をしています。本質が出てきたからです。そんな審査をやめよ!と声を高めるべきです。
ただ、再稼働自体はそんなには進んでいません。経産省や安倍内閣は全電力の22%を原発にしたいと言っていますが、そのためには約30基も動かす必要があります。今動いてるのは数基だけです。私たちは彼らの思うようにはさせていないのです。6~7割の市民が反対しているからです。
4基を動かす九州電力も、今批判を浴びています。原発の必要性をすり込むために、太陽光発電の抑制を全国で初めて強行したからです。
鹿児島の住民が九電に抗議したら、担当者は「国のルールで、火力・揚水・太陽光・風力などの順で抑制を行い、原発は最後になっています」と応答。「原発はCO2削減の効果もあります」などと、ウンザリするようなことも言っています。「原発の電気は使いたくない」という思いを踏みにじった九電に怒っています。
関西電力も、焦って再稼働に突進しています。しかし、12年に大飯の再稼働反対が大きく高揚した場所なので、今も続く現地の反対運動への注目と支援が拡がれば、止められると思います。ともに頑張りましょう。