【11月28日10時大阪地裁】本紙編集部家宅捜索国賠訴訟の訴状要約

弁護士 大川一夫、橋本太地(要約:編集部)

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訴状 大阪地方裁判所 御中
請求の趣旨:被告は、原告に対し金297万1260円を支払え
被告 兵庫県知事 井戸敏三
原告 株式会社人民新聞代表者代表取締役 山田洋一

《請求理由の要旨》
 2017年11月21日午前7時頃、訴外山田洋一は、尼崎市の自宅において兵庫県警に逮捕された。「第三者に利用させる意図であるのに」「自ら利用するかのように装って」金融機関からキャッシュカードの交付をうけたという「詐欺」である。

 その詐欺容疑の捜査の捜索が、前同日、午前9時頃、訴外山田洋一の勤める原告人民新聞に対して行われ、別紙の目録の物件が押収された。

《違法性》
 (1)本件の捜索、押収が、原告人民新聞になされたこと自体が違法である。

 なぜなら、山田洋一のプライベートエリアを捜索、押収するだけならともかく、仕事先はプライベートエリアではなく、被疑事実とは何ら関係ない。いってみれば、読売新聞社の社員が逮捕されたときに、読売新聞社を捜索、押収するようなものであり、これが違法であることは自明である。

 山田洋一に対する詐欺容疑の争点も限られている。つまり被疑者=山田は「第三者の利用は説明している」と否認しており、争点は、金融機関に「説明しているか、していないか」だけであり、勤務先である人民新聞に対して捜索、押収する理由はどこにもない。しかも、必要性、関連性のないものまで広範囲に捜索・押収している。

 新聞社の管理するデスクトップパソコン、ネットワークHDD、その他電子機器類を、それも全て押収するというのは、証拠としての価値、重要性に比し、被差押者の不利益の程度が大きく、必要性は認められない。特に「(人民新聞の)編集体制の立て直し」等記載のメモや「総合編集会議発足総会」等記載のメモ、「名簿用」記載のUSBは、被疑事実との関連性がない。これは捜索・押収の目的を逸脱して「証拠漁り」ともいうべき探索的な捜索差押えとして行われたものである。

兵庫県は金297万1260円の賠償金を支払え

(2)長期間の押収
 さらに押収は、公判における立証活動に使用されることを予定している。したがって検察官が証拠請求した証拠以外の証拠については、公訴を提起した2017年12月11日以降、留置の必要がなく、還付しなければならない。

 にもかかわらず、検察官はこれを長期にわたり留置し続けたのであり、その違法は明らかである。今回の捜索、押収は、政府批判をくり広げる原告並びにその支持者への規制である。

《結語》

 よって国家賠償法に基づく損害賠償請求として、金297万1260円並びに本訴状送達の翌日から支払い済みまで年5分の割合による金員の支払いを求める。

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