難民によるシリア料理レスト  ラン「Nazem」盛況 フリーライター 谷町邦子

料理で異文化理解深め 尊厳ある支援につなげたい

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 シリアでは2011年からの内戦により、550万人を越える人々が難民となった(2018年現在 UNHCRより)。日本に逃れたシリア難民に対して、技術や経験を活かす形での支援が試みられている。

 テック・メス・ライフ株式会社の代表取締役 森川智貴さん(以下、森川さん)は、シリア料理を通して多くの人の異文化への関心を深め、支援につなげようと、シリア料理レストラン「Nazem(ナーゼム)」を9月13日までの期間限定でオープンした。

シリア料理とシェフとの出会い

 シリアについての勉強会で、シリア料理がおいしいと聞いた森川さん。その後、中東大使夫人とシリア料理を作って食べてみたところ、おいしさに衝撃を覚えたという。さらに、シリア料理教室を開催すると好評で、シリア料理レストランを一等地で出したいと考えるようになったという。

 店舗は知人から青山の「青山テラス(東京都港区)」を紹介されたという。開業資金はクラウドファンディングで募った。

 店名の「Nazem」はシリア人シェフのNazemさん(55歳)が由来。Nazemさんはシリアの一流ホテルでシェフとして30年間働いていたが、内戦でキャリアを絶たれた。難民として日本に移り住んでからは、言葉の壁もあり、5年もの間就労できなかったそうだ。

 Nazemさんとはシリア支援団体「Piece of Syria(シリアの平和)」を通して知り合った。森川さんが「シリア料理が好きだから、シリア料理レストランを出したいと思うんだけど、一緒にやらないか? 場所は青山の一等地を抑えてあるよ」と言うと、Nazemさんは一言で「やろう!」と応えたという。

日本人の反応とレストランの今後

 オープン初日の9月4日は台風で客足は伸びず、来客は28名。しかし、3日目は120名となり、その後5日目まで来客は100名を越え続けた。8日までのプレオープンの盛況を受け、レストランの営業は13日まで延長された。

 久しぶりに腕を振るったNazemさん。オープンキッチンからお客さんの喜ぶ顔を見て満面の笑みだったそう。お客さんから「『働くことが楽しい!』というオーラが全面からにじみ出ている」と声をかけられるほどだった。今後はNazemさんの健康などを考慮し、11月頃から、スペースをレンタルし、週2日ほどのレストラン営業を計画している。

 難民の人々の苦境を理解するとともに、一人ひとりが、今まで生きてきた歴史のある人間として認識され、尊敬をもって接せられる。そのような流れになればよいと思える試みだ。

 

 

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