全国に広がる原発事故7年 被害は本格化 放射能汚染と死 抗う避難者と住民が被害報告

政府・復興庁が「原子力タスクフォース」で被ばくをさらに隠蔽・強要

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3.11福島原発事故から7年を迎える。本紙が昨年から掲載してきた「関東からの避難者たち」の集会報告や、東京の松平耕一さんの末期大腸がん死。福島、東日本を中心に晩発性の健康被害が本格化している。

 だが国は、健康調査縮小などの隠蔽だけを行い、12月に復興庁が「原子力災害による風評被害を含む原子力タスクフォース」を発表した。タスクフォースは軍事用語で「機動部隊」。国が戦略を練り、復興庁が巨額の復興予算で国内外で放射能安全神話を普及するために突進するという宣言だ。
 健康被害の拡大と新たな隠蔽政策を知り対抗することは、喫緊の課題だ。「避難者たち」の年末年始の大阪総会と学習会で報告・討論されたので、お伝えする。(編集部・園)

東京でも増える若年の重病と突然死知りながら放置・汚染拡散する政府

 「関東からの避難者たち」は、「3・11東北・関東 放射能汚染からの避難者と仲間たち」に名称変更し、12月17日に大阪・天満で総会が行われ約70名が参加した。福島・東北の避難者や関西の住民とも協働が広がったためだ。

 政府は昨年3月に自主避難者への支援住宅を打ち切り、避難区域も大幅に解除した。だが避難者たちは抵抗し、東京では住宅退去を拒否して居残り続け、大阪では代案として大阪市営住宅に独身者でも誰でも入居できるように拡充させた。そして、同じ3月に大阪で「避難者たち」を結成以来、関東の汚染も周知し避難を呼びかけることで、関東でも危機感を持ち、避難を希望する人々が再び増え始めたという。

 そこで、避難できる仕事・住宅・コミュニティを拡充するために、移住支援のカンパ口座を開設。総会は、西日本で被害の実態を伝えて協力を求めることを主目的に開催。東京からぺぺ長谷川さん(だめ連)が参加し、松平さんの死を悼み、昨年春に1~2カ月で40~60代の知人が7人も急死や病死していることを報告した。

 また、東京からニュージーランドに避難した20代の女性が、東京の比較的若い直接の友人に出た重い健康被害を文書で寄せた。

 「脳腫瘍(30代)、脳梗塞(40代2名、60代2名)、脳出血(30代・死亡)、突然死(50代)、心臓の疾患(50代、30代)、がん(30代大腸・死亡、50代・死亡、40代膵臓・死亡、50代、30代女性胃、60代、50代大腸)、甲状腺異常(20代)、甲状腺炎(20代)、免疫力低下による抗酸菌症(30代)などです。友人の友人の被害を入れたら、さらに増えます。全て東京の話です」。

 こうした被害をまとめて記録する運動が重要だと参加者は思いを強めていた。

被害者の死を待つ「生態的解決法」

 群馬から兵庫への母子避難者は、涙ながらに報告。 「政府は『生態的解決法』を行っていると思う。被害者が死んでいくのを待つことで解決させる方法だ。群馬でも、身近で中学生が複数人も突然死している」。

 これを受け、渡辺悦司さん(市民と科学者の内部被曝研)は、「これが東日本の放射能汚染―最大のタブーに迫る」と題して講演した。

 「放射能はあらゆる病気をもたらすことが科学的に証明・示唆されている。被ばくの健康被害は、人口動態統計など政府側の統計にすでに広範囲に出ている。避難・移住の意義と効果は明確に示されている。

 『最大のタブー』とは、安倍政権と原子力マフィアが、原発再稼働と除染残土の再利用、廃炉作業で出た部材の再利用、一般公衆全体への福島と同様の20mSv/y基準の拡大などを進めることで、日本の全住民が被ばくによる自滅の危機にあることだ。政府はそれをわかっており、文字通り殺人行為だ。止めるためには、避難者の運動と再稼働反対運動などが広く手を携えて闘う必要がある」
「知って、来て、食べてもらう」

国内外で強引な情報操作と学校教育

 しかし政府・復興庁は、「タスクフォース」に基づき、放射能と福島を「知ってもらう、食べてもらう、来てもらう」で始まる「風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略」を発表した。「リスコミ」は、チェルノブイリで住民に被ばく受忍のために使われた草の根からの広報手法だ。   「避難者たち」は、1月13日に大阪で批判的な学習会を行った。「戦略」の柱は、今も被ばくを懸念する海外への露骨な安全宣伝だ。「国内外の日本語学校へ福島県を旅行先にするよう訴える」「『Fukushima』と検索すると、ネガティブな結果が占める。ポジティブな画像が出るよう取り組む」という。実際日本語で「避難者」と検索すると、避難の写真はすでに表示されなくなっている。

 学習会では、福島から台湾への母子避難者が報告。「日本政府は、台湾の人気タレントを使って福島や関東へ観光客を呼び込んでいる。ブログを書く台湾の市民に、日本政府から金を出すから風評払拭の記事を書けと勧めている。だが、熱心にやるほど嘘臭く見え、人々は引いている」。

 もう一つの柱は国内の学校教育だ。「戦略」は「被ばくの遺伝的影響はない。日常的な被ばくと事故の被ばくは同じ。事故の健康影響は、今までも今後もない。放出放射能は、チェルノブイリ事故の7分の1に過ぎない」と断言。これらを子どもの言葉とイラストで教科書に載せ、全国で教え込む。また、福島に修学旅行に来させ、福島産の給食を拡大するものだ。

 避難者と仲間が声を高めれば変えられるとして、3月10日に「避難者と仲間たち全員集合! 大集会&デモ」が長堀橋の大阪市中央会館で行われる。多くの参加が呼びかけられている。

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