【ぷりずむ】

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 米朝首脳会談がらみの報道で、認識のゆがみが典型的に出ているのが拉致問題だ。米朝首脳会談で日本人拉致問題が解決するはずがないのに、日本のメディアでは事前にも会談後にも、拉致問題が解決に向けて大きく前進するかのような楽観的願望的報道が相次いだ

▼「解決するはずがない」というのは、まず第一に、これまでも現在も日本が朝鮮に敵対的な対応だけを続けているからであり、第二に、米朝会談の主目的は非核化であって、拉致問題など両首脳とも関心がない。軍備増強拡大願望派にとっては、拉致問題は解決してほしくない問題である。いつまでも対立して、こんな国叩き潰せという考えの人が増えて、自衛隊予算が増えて武器が売れて儲かり、自民党支持が増えればいい。同じ意味で非核化や緊張緩和が進むのがいやである

▼G7でも環境問題でも、ILOセクハラ条約でも、日本だけが米国追随。そうした世界での特異な「米国とロシアのポチ」「人権問題・環境問題軽視の国」と笑われている位置が見えない日本。他の国に通じない歪んだ内向き認識にとらわれ、歪んでいるとも自覚できない病理状況。それが今回もまた浮き彫りになった。もはや喜劇である。

(H)

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