「全日本建設運輸連帯労働組合」の「関西地区生コン支部」が、年明けから右翼や警察権力の攻撃を受けている。悪名高き「在特会」関係者が全面に出て、事務所前の街宣や暴行やネットでの攻撃、警察の家宅捜索が続いている。背景に何があるか、西山さんに話を聞いた。
(聞き手:編集部・園)
―弾圧はどのように始まりましたか?
西山:「大阪と兵庫を拠点にした日本最大の生コン業者団体『大阪広域生コンクリート協同組合』が、私たち労働組合を敵視・排除し始めたからです。1月8日に梅田のヨドバシカメラ前で、『在特会』創設メンバーの瀬戸弘幸らが『連帯労組』を攻撃する街宣を行いました。『タカリのプロ集団』と中傷するビラをまき、22日には阿波座の連帯ユニオン事務所に押しかけ、組合員を殴ってケガをさせました。この件は告訴しました。その後も嫌がらせ街宣し、最近では3日連続で来ています。
街宣右翼の攻撃は以前からありましたが、今回は元在特会のレイシストがネットで中傷映像を盛んに広げているのが特徴です。これは広域協組が10億円もの資金を労働組合対策で拠出したからです。瀬戸はそれで福島から大阪へ引っ越したと公言しています。
―背景には何が?
西山:私たちは、生コン業界の中で、大企業による安値競争ではなく、みんなで利益を分け合う協同組合運動を進めてきました。それで業界がほぼまとまりかけた時に弾圧を受けることも繰り返され、それで今回の新たな攻撃が始まりました。
広域協組は協同組合なのに、協同組合の執行部のみに利権が回るように変質しました。受注物件を公平に分配せず、執行部に従う会社のみに回しています。そして、真逆の方針を持つ私たちを敵視し、攻撃を始めたのです。そこに経営者側も加担しています。関西では阪神高速湾岸線の延伸工事、カジノ法案、大阪万博、来年5月のG20など巨大開発利権が山積みで、それを自分たちに有利に推進したい思惑もあります。ここが沖縄なら、米軍基地建設にゼネコンが加担することと同じです。
―なぜレイシストが全面に出たのですか?
西山:今回広域協組と瀬戸らをつなげたのは、官邸とも言われています。それだけに右翼の攻撃は全面的です。レイシストたちは私たちの争議相手に入りこみ、団体交渉に出てきたので、そんな団体交渉は私たちが拒否しました。和歌山では組合員の生コン車を街宣車でつけ回し、帰宅する時も自宅までついてくるのです。経営者に自宅を聞いたのだと思います。地方での嫌がらせは労働組合からの孤立を狙っていますが、動揺したら彼らは調子に乗るので、組合員は団結して跳ね返しています。
警察権力も、右翼や広域協組の暴力は現場にいるにもかかわらず放置し、こちらにはすぐに家宅捜索する。3月に大阪府警本部が連帯ユニオン事務所を家宅捜索しました。また、横にある日曜日で誰もいない労働学校まで家宅捜索し、学校の講師や生徒など多様な関係者を恐怖させ離れさせる狙いが露骨です。しかし誰も離れてはいません。
経営者と右翼の差別・攻撃は安倍政権の手法と類似
―レイシストが出てくる根底には何が?
西山:私たちは労働法制改悪や辺野古新基地反対などの政治活動もしているので、安倍政権への抗議とこの弾圧への抗議をつなげたいと思います。
同時に、安倍政権が作る社会だからこそこのような攻撃手法になるとも思います。一部の協同組合執行部が利益と権限を独占し、森友・加計問題同様に嘘をつき続ける。経営者もレイシスト的になり、レイシストに攻撃させて何が悪いんだと一般化する。正当な労働組合活動に対して『それはこんなに悪い組合があるからだ』とレッテルを貼り、自分たちを正当化します。そしてレイシストには初めから撮影シナリオがあって、挑発してはこちらの抗議発言のみをさも悪党のように動画編集・公開します。まさに安倍政権の手法です。
こうした傾向は、3・11福島原発事故から強まったと思います。世界に日本は危ないと心配されているのに、安倍は東京五輪の招致で『放射能はブロックされている』と平気で言ったわけです。嘘とごまかしの上に全てを成り立たせ、被害は全て民衆に押しつけます。
だからこそ反撃する労組・団体は徹底的に攻撃する。彼らに政権を運営させるのではなく労働者が主人公になる経済・社会を作りたい。労働運動が弱っているから、労働法制改悪も通されてしまう。ストライキをすれば止められるのに、街宣車を抗議行動に出す組合も激減している。広域協組は今回の春闘で賃上げもしていません。これをよしとする大手の労働組合のあり方を変えたいです。
朴政権を倒した韓国の友人に、「誕生日おめでとう」とメールしたら「プレゼントはいらないから安倍政権を倒してね」と言われます。組合がもっと争議を強め、国会前や政治集会に参加するべきなのは今でしょう。そのために、6・23総決起集会にぜひ来てください。