朝米首脳会談 

「私はこう思う」㊤

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 史上初の朝米首脳会談は、予想を超える友好ムードに包まれ、朝鮮戦争終結・朝鮮半島非核化に向けた、大きな一歩としてスタートを切った。金正恩氏・トランプ氏の思惑は量り難く、紆余曲折はあるだろうが、目的達成に向けた関係諸国のより一層の協力と協調を期待したい。
 とりわけ朝米首脳会談に至る過程での文在寅韓国大統領影の主導性と役割は、注目と賞賛に値する。文在寅政権を生み出したロウソク革命に象徴される韓国民主化運動は、首脳会談の影の主役といっても過言ではないだろう。朝鮮半島の非核化・緊張緩和・経済協力の進展は、南北朝鮮民衆の主導のもとでこそ進むことをあらためて確認したい。
 それにしても「圧力強化」と「拉致問題」を言い立てて存在を示すしかない安倍外交の惨状は目を覆うばかりだ。朝鮮半島の非核化は、沖縄に集中する在日米軍の撤退を次の課題として提起することになる。次に問われるのは、日本政府であり、日本の反戦・反基地運動の強化である。
 今号は、首脳会談について各界・各現場の人々に率直な感想を寄稿してもらい意見特集号とした。

(編集部)

「米はアジアから出て行け!」を合い言葉とする国際連帯を

パギやん 趙博/チョウ・バク  

20世紀中盤の大阪市西成区に生まれる。「浪花の歌う巨人・パギやん」の愛称で親しまれる。歌手・俳優・物書き。CD『ワテらは陽気な非国民』。

 朝米首脳会談は「政治ショー」として大成功を納めた。私は、大多数の大祝賀ムードに到底同調できないが、今後ほんとうに朝鮮戦争が集結し、半島に平和と非核化が訪れるならば大歓迎だ。
 同時に、日本の責任を徹底的に問いたい。日本政府は、朝鮮民主主義人民共和国に対する植民地支配の清算および戦後補償を全くなしていないのだ。
 一貫して「北」への圧力姿勢しか示してこなかった安倍政権がアメリカの政策転換に「追従」して、共和国敵視政策を改めることを望みたい。国交正常化の意思があるのかないのか、全世界が注目していることくらいは、いくら漢字の読めない安倍や麻生でも分かるはずだ。朝鮮半島の非核化を推進する一方で、日本や韓国に米軍基地が存在する。

 理性ある人間は、この矛盾に気付く。しかし、日米安保条約と韓米安保条約がある限り、矛盾は繰り延べられ、正当化される。「アメリカはアジアから出て行け!」を合言葉とする国際連帯を再構築せねばならない。沖縄の反基地闘争を東アジア全域に拡大すべし。

トランプと金正恩…私には悪魔とサタンが握手したとしか思えない。その握手が野合なのか妥協なのか、詮索は専門家に任せるとして、南北・米朝の両首脳会談を実現せしめた最大の推進力が韓国民衆の「ろうそく革命」であったことを忘れてはならない。 朝鮮半島和平に対する真の連帯、それは安倍ファシスト政権打倒であることを肝に銘じよ。

 

圧力一辺倒の安倍政権は、交渉の阻害要因

高木 隆太  

大阪府・高槻市会議員(無所属)。北摂・高槻生活協同組合で働きながら、11年初当選。

 まず、戦争当事者双方が和平に向けて対話の機会を持ったという事実は喜ぶべきことです。ただ、一連の外交交渉のなかで、朝鮮半島の平和構築を念頭に動いているのは文在寅大統領くらいではないでしょうか。現時点では、トランプ大統領も金正恩総書記も自らの権力の誇示、強化、保持に重点を置き、その点で利害が一致しているだけのようにも見えます。

 やはり関係国の関与が重要になってくるわけですが、蚊帳の外のそのまた外にいて米国盲従の安倍首相には何の期待もできません。

 拉致問題についても北朝鮮の機関紙から「下心を捨てない限り一億年後もわれわれの地を踏めないだろう」と見透かされる始末。さんざん拉致問題を政治利用してきた安倍首相はあえて北朝鮮との対話を避けてきたと思われ、仮に交渉の場を得ても、いままで誤魔化してきた外交手腕の脆さを露呈するだけに終わる可能性があります。

 マスコミは今回の米朝会談を「具体的な進展がない」と評しますが、70年近く続いた対立が一日で解消するはずもなく、交渉を決裂させないように粘り強く和平への道筋を作らせるしかないと思います。 そのためにもまずアベ辞めろ! と言いたいです。

 

戦争終結、北南統一を歴史として刻めるように

朴 憲浩  

在日朝鮮人。30歳。北九州で弁護士として朝鮮学校無償化裁判に関わっている。

 朝鮮半島の冷戦構造が、いよいよ終焉に向けて動き出しているのを肌で感じる。

 しかし、在日朝鮮人にとって、この「肌で感じる」という作業はすごく大変だと思う。

 在日朝鮮人は、あまりに長く分断されてきた。「(北)朝鮮」蔑視吹き荒れるこの地で、自分と共和国とのつながりを感じること、受け入れること、表明することは、全く容易なことではない。もしかしたら昨今の北南、朝米の動きだって、他人事に感じる人のほうが多いのではとすら思う。

 その原因は間違いなく、日本政府の制裁、圧力、分断政策である。この情勢にあって、圧力維持に固執する為政者らの発言が絶えない。失望、呆れに底がない。でも、そうであれば私は、なおのことこれに異議を唱えなくてはならない。そして戦争終結、北南統一を、他人事ではなく、多くの在日朝鮮人にとっての歴史として刻みたい。

 また、相手はあのアメリカである。何度も約束を裏切ってきた国である。まだまだシビアなやり取りが続くと思う。
 常に注視し、朝鮮民族にとって不当な交渉とならないように、こぼれる者がいないように、よりよい解決を実現したい。

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