裁量労働制のデータ偽造にもかかわらず審議される「高プロ」(働き方改革関連法案/高度プロフェッショナル制度)法案。4月27日、「働かせ放題の『高プロ』導入を阻止する院内集会」が開催された。集会で述べられた要点と野党議員ならびに当事者の発言要旨をまとめた。(編集部・ラボルテ)
スーパー裁量労働制と批判される「高プロ」は、形を変えたホワイトカラーエグゼンプション(頭脳労働者脱時間給制度)。完全撤廃すべきだ―開会あいさつでの棗一郎弁護士(労働弁護団幹事長)の発言だ。それは、(1)労基法の時間規制が完全撤廃され、年収要件と対象者の線引きがあるとはいえ、業務命令には無条件に従わなければいけなくなる、(2)裁量労働制のアンケート(厚労省/2014年)では、「現行のままでいい」と答えた労働者が75%である、(3)どんな労働者が「高プロ」にあたるかは未定で、念頭とされる金融商品や研究開発業務などは現行の専門業務型裁量労働制と同一、だからだ。
また、安倍政権は、「生産性向上特別措置法」を画策しており、「解雇自由特区」の全国版として、全国一律の規制緩和で、労基法や労契法の適用排除も盛り込まれる可能性がある。
過労死遺族 野党各党 労働組合の声
●神奈川過労死を考える家族の会 工藤祥子さん
夫は高校教員でした。今も過労死ラインを超える働き方をしている教員は、中学校で6割、小学校で3割ある。過労死や過労自死、家庭崩壊するケースが増えている。
仕事をする精神的余裕が奪われ、残業をしても教員自身が違和感を覚えないのだ。自らの労働時間がわからない実態がある。勤務時間を把握している教員はわずか7・8%。最近ようやく、出退勤記録をつけるようになった。
夫が命を落としてしまった「高プロ」的な働き方がまかり通ってしまうことは絶対に許せない。
●東京過労死を考える家族の会 佐戸恵美子さん
現場を知らない世襲議員によって審議入りされた。過労死した娘は月209時間の残業をした。自宅には3時間しかいることができず、命を削って死んでいった。娘のような死者を出したくない。
これ以上の死者を出さないように、声を一つにして安倍内閣を退陣に追い込みましょう。
●社民党・福島瑞穂議員
国会は、改ざんや虚偽説明が相次いで、審議できる状態にない。
ねつ造したデータをもとに「裁量労働制の方が労働時間が短くなる」との説明を、安倍総理も加藤厚労大臣もした。ウソが支配する政治はごめんだ、人の命を考えない政治はごめんだ。安倍内閣の一刻も早い退陣を目指したい。
●民進党・石橋道弘議員
政府案に根本的にかけているのは、パワハラ規制。健康被害が相次ぎ、命が失われている。対案を出していく。
●共産党・高橋千鶴子議員
与党側は、職権で審議入りを決めた。前回は生活保護だった。高プロ賛成は企業でも4分の1だけ。審議入りさせない。
●立憲民主党・岡本あき子議員
法案の根拠は崩れた。労働政策審議会にかかるような審議の進め方は異常。命がかかっている。なんとしても阻止する。
●全日建・連帯労働組合 小山武書記長
トラック労働者は、労働時間規制から除外されている。脳・心臓疾患による過労死が一番多い。現在、闘っているMK運輸では、毎月10回以上、関西から九州に走らされ、週1回しか家に帰れない。
過労死した労働者もいるが、営業停止処分を受けても別のトラックをリースして走らせている。高プロ導入は、みんながトラック運転手になることだ。労働運動の力で粉砕する闘いをしていきたい。