人民新聞社へのガサイレに抗議し、何度も何度も留置所のある生田警察に抗議デモをかけ、激励行動に駆けつけてくださったみなさん、昨年末の勾留理由開示裁判・2月の初公判を傍聴し、抗議署名に賛同していただいたすべての方々に心から感謝の意を表したいと思います。皆さんの大きな抗議のおかげで2月16日(初公判後)保釈されました。
私の逮捕・起訴については、冒頭陳述で述べたとおりです。「第三者に使わせる目的で口座を開設した」という検察の主張は、全く事実に反しています。
問題とされた銀行口座は、開設当初から被逮捕まで、一貫して私が管理していました。日常的に出入金を確認し、ネットバンキング用のパスフレーズと暗証番号を定期的に変更してきました。
それにしても今回の事件は、不可解な点が多すぎます。まず、一、被害者のいない事件で逮捕状が出され、3か月もの長期拘留が執行されたこと、二つ目は、人民新聞社にこれ見よがしの大規模ながさ入れを行ったこと、三つ目は、こんな微罪で起訴し、公判まで請求していることです。無理の上に無理を重ねていることが、事件の特徴だと思います。これらは、今後の公判で明らかにしていきます。
体に直接入った激励行動の声
さて、3か月の拘禁生活は、私に強いインパクトを与えました。私は、ずっと独房だったのですが、他の収容者と言葉を交わすことは無論、顔を合わすことすら徹底的に禁止されました。完全に人との交流を絶たれると、私のような人見知りする人間でも人恋しさが募り、看守とでも話がしたくなるほどでした。
こうしたなかでの激励デモには、本当に感激します。怒りと闘争心にあふれたシュプレヒコールは、「聞こえる」というより体に直接入ってくるような感覚を覚えました。差し入れが届くと、顔が浮かび、会話や思い出が蘇ってきます。娑婆では当たり前の何気ない会話が、人の気持ちを安定させ、他者とのつながりのなかでこそ、私たちの人生が作られていることを実感できました。
時間の感覚も大きく変化しました。逮捕直後には、乗っている電車に急ブレーキがかかって前につんのめるような感覚に襲われました。目まぐるしく過ぎ去る時間の流れが突然ゆっくりと流れはじめ、抽象的だった「時間」が目の前に立ち現れてきます。
留置所では、名前を奪われ番号で呼ばれ、衣服も奪われたのですが、いくら「ここは別世界だ」と自分に言い聞かせても、時間への囚われだけは、なかなか脱ぎ去ることができませんでした。「すべきこと」などないのですから、時計を気にする必要はないのですが、時計が見えないと不安になっていました。
緩やかな時間で思考を深める
「モモ」(ミハエル・エンデ著)に出てくる「時間泥棒」が実感を持って迫り、私たちの日常が、「より速く、より遠くへ」という資本主義の原理に骨の髄まで冒されていることを発見することもできました。
これらの発見は、10年後に振り返っても、鮮明な記憶とともに、私の人生を彩る象徴的な時間として立ち現れるでしょう。今回の拘置所体験は、辛いだけの時間でなかったことだけは確かです。さまざまな発見がありましたし、これまでの娑婆での暮らし・活動・仕事について、じっくり見直すこともできました。
これらの発見や反省は、これからの活動や紙面づくりを大きく革新するだろうという予感もあります。いずれにせよ、正月明けの数日、少々だれた時もありましたが、緊張感と闘争心を維持できたのは皆さんの支援と連帯のおかげです。重ねて感謝します。
危機の時代は人民新聞の出番
アベノミクスを正当化する唯一の根拠であった株価が不安定化し、安倍政権は、ますます凶暴化するでしょう。トランプとともに東アジアの緊張を高めて軍事化と国内統制を強めることが予想されます。
しかし凶暴化は弱さのあらわれです。資本主義総体が危機を迎えていることは、明らかです。危機の時代は、誰もが不安の中でもがき、必死に出口を探そうとします。生きる意味を真剣に問い、あるべき社会・世界を探し求めるエキサイティングな時代ともいえます。危機という言葉には、「ピンチ」という意味とともに「分かれ道」という意味があるそうです。「競争と自己責任」の社会か、「共生と多様性」の社会か、大きな分かれ道です。
まさに人民新聞の出番だと思っています。未来社会の展望を皆さんとの議論の中で作りあげていきたいと思っています。人民新聞の飛躍に向けて、さらなるご協力をお願いしたいと思います。共に!
2月16日の初公判は90名が傍聴席を埋めた。編集長も弁護団も熱く答弁し、拍手に包まれた。続けて兵庫県警に抗議行動し、公安三課の森川剛匡(次席)が直接出てきたため、弾圧の謝罪、押収物の返還、全捜査の中止を申し入れた。
翌17日の尼崎集会は120人が結集し、多様な発言者が編集長を激励し弾圧に抗議した。2月24日の東京の集会も70人も集まった。これらは次号以降で詳報する。今後の裁判は3月22日10時~、4月25日13時半~、神戸地裁にて。無罪へ結集ください!
(編集部)
初公判は満席、兵庫県警に申入れ尼崎・東京で救援集会開催
2月16日の初公判は90名が傍聴席を埋めた。編集長も弁護団も熱く答弁し、拍手に包まれた。続けて兵庫県警に抗議行動し、公安三課の森川剛匡(次席)が直接出てきたため、弾圧の謝罪、押収物の返還、全捜査の中止を申し入れた。
翌17日の尼崎集会は120人が結集し、多様な発言者が編集長を激励し弾圧に抗議した。2月24日の東京の集会も70人も集まった。これらは次号以降で詳報する。今後の裁判は3月22日10時~、4月25日13時半~、神戸地裁にて。無罪へ結集ください!
(編集部)