【インド】10万人の抗議デモ「すべての村に農民組合を」

立ち上がったラージャスタン州の農民

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9月17日「Zコミニュケーション・デイリー・コメンタリー」
ヴィジャイ・プラシャド(インド出身歴史家、ジャーナリスト)
翻訳 脇浜 義明

 安倍、トランプ、ドゥテルテ、ルペン、最近のエルドガンなどと並んで、インドでもインド国民党(BJP)のナレンドラ・モディが、ヒンドゥー教至上主義的民族主義を掲げるファシズム政治を進めている。
 それに対する民衆の闘いもある。新聞記者カウリ・ランゲンは、ヒンドゥヴァ(ヒンドゥー至上主義)を批判したために暗殺された。他にも、イスラム教徒ペール・カーンも殺害された。ヒンドゥー・カーストの外側の不可触民・ダリットが群衆によってリンチされるなど、剣呑な情勢である。その中で、ラージャスタン州の農民が立ち上がった物語を紹介する。(脇浜)

 農民たちが「政府に服従しない」という決定をしたニュースが、インド国民党(BJP)支配下のラージャスタン州から届いた。農民の抵抗を恐れたBJP政府は、刑事訴訟法第144条 (集会の禁止)を農民に課した。さらに、インターネット利用も禁止、農民組合の活動家を何もしていないのに予防逮捕した。
 しかし、農民は止まらなかった。今月初めから、彼らは地域収税官事務所を包囲する無期限座り込みを敢行している。街頭抗議デモには数十万人が参加。「すべての村に農民組合を! すべての農民は農民組合!」というスローガンを掲げて。彼らは、ラージャスタン州のヴァスンダラ・ラジェ首相の模擬葬式を行った。
 この運動は、電気料金値上げに反対して成功したことから、弾みを得て生まれたものである。BJP政府は大衆の大規模な反対に押されて電気料金値上げ案を引っ込めた。このときの大衆の結束と連帯は素晴らしかった─先住民から学生やダリットや小商人までを含むものであった。
 農民たちはどういう要求をプラカードに書いたのか。彼らは、「スワミナサン報告の勧告を尊重せよ」と政府に要請しただけであった。スワミナサン報告は、2004年、農民の自殺者が多かった(30分に1人が自殺。政府のネオリベラル農業政策のせいだった)ことへ対応して結成された「農民問題に関する国民委員会」(2004~06、M.S.スワミナサン教授が委員長)が出した報告書である(訳注・前の国民民主連合政府〔1999~2004〕が設定した委員会。報告書の基調は「近代的技術」と「知識集約型農業」を目指せというもの)。
 農民が委員会報告の勧告の中で実施を要求したのは、次の7点。

(1)生産費を少なくとも50%上回る価格で農産物を買い取る保障。
(2)貧農、中農、農業労働者の債務返済免除措置。
(3)60才以上の農民と農業労働者に月額5000ルピーの年金支給。
(4)失業者の雇用。
(5)実効ある農作物保険。
(6)はぐれ牛や野生動物から農作物を守る措置。
(7)農機具購入のために牛を下取りに出してよい許可。

 現代インドを特徴づける問題の一つは、メディアが農民と農業問題に関心を持たないことである。農民の要求と闘いもまったく報道しない。
 それでも農民たちは、ファシストと呼ばれる現政権、農民の要求に耳を貸す気配もみせない政権に対し、赤旗を掲げて勇敢に闘っている。彼らはトラクター、荷車、コンバインなどを動員して役所を取り囲んでいる。地元官公庁は閉鎖されたまま。
 国内的にも国際的にも報道されない農民たちの闘いを、ぜひ広く世界世論に伝えてほしい。

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