編集部より
解散と戦争を許さない
安倍首相が衆院解散・総選挙を決めた。森友、加計学園の問題を臨時国会で野党に追及させないためだけの、前代未聞の自己都合解散だ。今年6月、共謀罪を強行採決した途端に国会を閉じ、数日後に記者会見で一方的に「説明」した。今回も野党の国会開催要求を無視し続け、国会を開くと同時に解散。事前の9月25日にその理由を記者会見で説明した。つまり、安倍政権は近代国家が依拠してきた代議制の根幹である国会すら無視し、戦時専制体制を築こうとしている。政治の私物化は極まった。解散総選挙自体が批判されている。
また、安倍政権は、9月20日の国連総会で「対話は無意味、圧力しかない」と戦争挑発を行い、河野外相は160カ国に朝鮮との国交断絶を要求。「朝鮮を完全に破壊する」と演説した米国トランプとも完全に同調している。そして麻生副首相は23日に「朝鮮から『武装難民』が押し寄せたら、治安出動か射殺だ」と発言した。朝鮮への戦争挑発と排外主義が、公然と語られ現実化しようとしている。
急きょ9条改悪や消費増税を強引に争点に掲げつつ、戦争危機を煽って政府に依存させる。選挙に勝てば、「信任を得た」と一気に改憲・増税にひた走る。これが総選挙の狙いだろう。安倍内閣即時退陣要求の街頭運動こそ重要だ。
各戦線からの解散総選挙と戦争への批判を掲載していく。
パギやん吠える!
「わが逃走」解散・総選挙だ
浪花の歌う巨人・パギやん(趙博)
一か八か
安倍晋三が9月28日に召集される臨時国会の冒頭で衆院解散に踏み切り、「10月10日公示~22日投開票」の日程で衆院選を行う意向を固めたという(29日説もあり)。いずれにせよ、いきなりの解散・総選挙という愚挙、乃至、暴挙に出るのは、安倍が何としても「森友学園・加計学園」疑獄への追及から逃れたいという一心からであることは、明々白々、ミエミエだ。また、北朝鮮の挑発的態度を背景に内閣支持率が少し「上昇」したこと、加えて離党者が続く民進党の混乱に乗じて火事場泥棒的に得票を得られる可能性が高いことも「解散・総選挙」衝動を駆り立てる要因の一つであろう―これまた、明々白々、ミエミエだ。
2019年10月には消費税率を10%に引き上げ、何としても2020年「東京オリンピック成功」から明文改憲へと政治日程を上り詰めたい安倍は、今回、自信を持って闘いに挑むのではなく「一か八か」の勝負に出た、と筆者は分析する。
何よりも、ドジを踏み、あるいはヘタを放けば、小池百合子の「希望の党」というトンビに油揚げを掻っ攫われるかも知れないのだ。安倍の脳細胞がいくら愚鈍だとしても、これくらいの判断はできるだろう。故に、今回の愚挙、乃至、暴挙は、安倍にとってヒットラー張りの「わが闘争」ならぬ「わが逃走」解散・総選挙なのである。
安倍は強くない 闘う側が弱い
中曽根康弘の「戦後政治の総決算」路線に、日本の労働運動・市民運動・反体制運動が敗北を喫して久しい。所謂「五五年体制」が崩壊し、階級闘争という言葉すら耳にすることが殆どない状態に、我々は追い込められたままである。
それでも、「3・11フクシマ」以降、そして「沖縄新基地建設阻止」闘争の継続から、様々な闘いが新たな社会変革を模索し続けている。言うまでもなく、地道な取り組みがあり、人々が誇りを持って権力や資本と対抗していこうという意志と紐帯のあるところにしか、道は開けないのだ。
さて、昨年7月の参院選を思い出してみよう。古くから「保守王国」といわれ、自民党の強固な支持基盤だった東北地方では、6選挙区のうち秋田県選挙区を除く5選挙区で、ことごとく野党候補が勝利した。また、福島県選挙区で岩城光英法相が、沖縄県選挙区では島尻安伊子沖縄北方相が、ともに野党統一候補に敗れた。
参院選で複数の現職閣僚が落選したのは、前代未聞のことだ。言わずもがな、沖縄の小選挙区では、自民党候補の一人も当選できなかったではないか。
安倍が強いのではない、闘う側が余りにも弱いのだ!我々のジレンマは、此処にこそ在る。「野党共闘」なる妥協路線は、それでも、それしか今は有効な選択肢がないなかで、政党の数合わせに終始する限り、確実に敗北する。有権者諸君はそれを肝に銘じて、選挙戦を闘ってほしい。
とはいえ、戦争とファシズムへの道は止められないかも知れない…選挙権を剥奪されたままの非国民である筆者には、楽観という言葉も実感も一切無い。選挙騒動のあと、我々はいかに階級闘争を再構築するのか? 筆者はそのための議論と実践をこそ、読者諸賢とともにためしたいのである。
手前味噌だが、YouTubeで拙曲 『Abe Is Over』の視聴回数が5万5千を越えた。これが5百万回になった時、少しは変革の兆しが見えるのだろう…と思う。