トランプを批判する市民の オンライン・データを収集

許されない米政府の警察国家化

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リアル・ニュース・ネットワーク2017年8月17日 翻訳・脇浜義明

 アーロン・マテ(リアル・ニュース記者):トランプの宣誓就任式の日に抗議メッセージをネットに投稿したり、それにアクセスした国民の個人情報が、政府に収集されている可能性が高い。司法省が、反トランプ・ウェブサイトを見た130万人の国民に関する情報を差し出せと、ネット会社に要求しているからだ。
 disruptj20.orgが当日に反トランプ市民的不服従行動を呼びかけた。このことに関して、進歩的ウェブMayFirst/People.Linkの共同ディレクター、アルフレッド・ロペスにインタビューした。
 サーバー会社ドリーム・ホストがdisruptj20のホスト・コンピューターですが、この会社に政府が就任式の日に同サイトにアクセスした130万人の記録の提示を求めているのですね。
 ロペス:司法省がこのサイトの情報を入手するために、ドリーム・ホストに対する捜査令状を請求、獲得、執行したのです。このサイトがトランプ抗議を組織するのに使われた主要サイトだったからです。トランプは、自分に対する個人攻撃だと思ったようで、調査を命じたのです。
 ドリーム・ホストは、サーバー情報提供で政府に協力してきた会社です。だから、ウェブの所有者、管理者、登録内容、その他ウェブ関係のアドレスを政府の要望通り提供したのは、驚くことではない。次回からもう捜査令状なし、単なる要請だけで、政府はどんどん情報を入手するでしょう。最初は捜査内容に関して宣誓供述書をつけて捜査令状を請求するのですが、宣誓供述書は公表されず、捜査令状だけが公表されます。その後は捜査令状なしで、単に要請という形で情報収集が拡大していきます。つまり、好き放題できるわけです。本来捜査対象を厳密に限定し、その理由を詳しく書かなければならないものなんですが。
 司法省は、データーベース情報をすべて収集しました。そればかりでなく、サイトにアクセスした人全員のIPアドレスも出せと要求したのです。これは米国インターネット史上初めてのことです。信じ難いほど全面的・包括的な要求です。それが意味するのは、今後サイトにアクセスする者を全員犯罪捜査の対象にするという恫喝、いや恫喝以上に本当にそうするという意思表示なのです。
 一般の人は、IPアドレスなんか知りません。ブラウジングとかEメールをするためにインターネット契約すると、プロバイダーから長たらしい番号を与えられます。それがIPアドレスで、契約期間中あなたの記章となるものです。あなたのネット上の行動はすべてプロバイダーのホスト・コンピューターに記録されるので、プロバイダーが抱き込まれれば丸裸です。
 今回は130万人のIDアドレスがログ(記録)されたのです。130万人の当事者は、そのことを知りません。恐るべき司法省による侵犯です。さすがにドリーム・ホストもその点では抵抗、「他の点では協力するが、一般の人のIDアドレス収集は違法だ」と言って、明日(8月18日)裁判があります。

IPアドレスで立件する権力

 マテ:法権力執行機関がIPアドレスを使って犯罪などを立件した裁判例はあるのですか。
 ロペス:あります。何しろ効果的な情報ですから。多くのユーザーは匿名でネットできると思っています。ある特殊な方法を使えば匿名交信をできますが、たいていは無理です。私はネット専門家ですが、私のIPアドレスはどこからでも突き止めることができます。私がネットを使って犯罪とか政治行為とかデモ共謀を呼びかければ、私ばかりか、私の呼びかけを読んだ人々の情報も権力は入手できます。
 これが問題です。私の呼びかけを調査するために私のIPを探るのも不法行為ですが、私のウェブにアクセスする人を全部捜査対象にするのは大犯罪です。単に政府の行き過ぎを越えて、警察国家です。だから、ドリーム・ホストも抵抗に踏み切ったのでしょう。

引なオバマ政権からより悪化萎縮せずに運動共謀を

 マテ:特殊犯罪とか特別な政治的弾圧のために政府がプロバイダーに情報収集協力をすることがあり、それも問題なのですが、一般人を監視対象にするのは、まさに警察国家ですね。
 ロペス:私はオバマ政権を批判しました。オバマ政権はインターネットに関しては強引な侵犯の常習犯で、憲法修正第一条(言論の自由)と第四条(プライバシー保護)をいろいろな形で破りました。もちろんそれに対する法廷闘争や抗議デモもありました。現在はそれ以上に悪化しています。
 私たちの運動を妨害する方法はたくさんあります。指導者を追って嫌がらせ、活動家を尾行したり、尋問する、活動家の交信を傍受する、等々。しかし、ウェブへアクセスする一般人を監視するというのは、妨害というより運動潰しです。運動が発生する寸前に止める、一般人を怖がらせて参加させない、親族や知人を脅してブレーキをかけさせる、等々。政府がどこまでやっているかは不明ですが、今述べた警察国家的行為の可能性は否定できません。少なくとも、全国民を監視下に置きたがっていることは確かです。
 マテ:明日裁判だということですが、どうなるでしょう。
 ロペス:分かりません。原告、被告がどういう議論をするか、裁判所がこの種の捜査令状をどう判断するか、興味があります。

権利は実行して成立する

 マテ:トランプ批判サイトにアクセスしたら政府の監視下に置かれる。個人情報が筒抜けになる。恐ろしいですね。
 ロペス:ええ。ひどいものです。しかし、大切なことは、それを恐れて運動や運動ウェブと距離を置くことを絶対にしないことです。それこそ政府の思うツボですから。警察国家の狙いは、恐怖による支配ですから。どんどん運動共謀のネットを流し、どんどんそれにアクセスしてやればいいのです。こちらから挑発してやりましょう。
 権利はそれを実行してこそ成立するのです。

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