浅野健一氏の定年延長に不正 過小評価するための捏造か

同志社大学の不当解雇問題

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文責・編集部

 2014年、浅野健一氏は、同志社大学大学院で定年延長が拒否され、解雇されたのは不当として、教授としての地位確認などを求めて裁判を起こした。一審京都地裁判決で主張を退けられたが、始まったばかりの控訴審では、大学院の委員会が定年延長を許可しないと結論付けた際、判断材料になったとみられる浅野氏の研究業績が捏造されたものだった、との疑惑が新たに浮上した。
 きっかけは、控訴審にあたって浅野氏の代理人が、同志社大学が行った評価方法が適切だったかどうかを都留文科大学の早野慎吾教授に検証依頼したことによる。浅野氏の評価資料を作った中心は、同大学の小黒純教授。その資料には、浅野氏を過小評価するためのあり得ないほどの間違いが記載されていた。
 以下、早野教授が検証した結果である。まず、資料冒頭に、「(浅野氏に)大学院の教授の水準を満たす研究はない」と書かれている。浅野氏は、大学院担当教授として文科省が行った業績審査に合格判定されているので、明らかな間違いだ。文科省の審査に合格した教員(いわゆる○合教員)は、非常に少ない。
 「CiNii Articlesに基づく」との前置きで、「1994年4月以降、査読により本学外の学会で認められた論文は1本もない」とある。CiNii Articlesとは、国立情報学研究所が提供している学術論文検索用のデータベースサービスのことで、そもそも、CiNii Articlesに査読付か否かの検索機能はない。学術論文には、査読付とか審査付と呼ばれるものと、そうでないものがある。査読付論文とは、審査者が査読を行い合格した論文で、査読なしの論文よりも学術的価値が高いと評価される。また、雑誌の種類にもよるが、国内で発表された論文よりも海外(表記は主に英語)で発表された論文の方が、学術的価値が高いとされる。浅野氏は「Japan and America's War,” Harvard Asia Quarterly, Autumn 2001」など、海外で発表された査読付論文が5編ある。浅野氏に審査付論文が1本もないというのは、明らかな間違いである。
 さらにCiNii Articlesの検索結果として「(浅野氏が)2009年から2013年9月において発表されたのは、いずれも査読なしで、単著の論文は1本、大学院生との共著の論文2本、研究ノート2本のみ」と記されている。早野教授がCiNii Articlesで「浅野健一」「2009年~2013年」という条件を入力して検索すると、57件検出できた。筆者の目の前で検索したので、間違いない。単著53編・共著4編である。53編の単著を51編と間違える程度は起こりうるが、53編を1編(資料では1本と表現)と間違えることはあり得ない。ここまで来ると、間違いではなく「捏造」の可能性が高いと早野教授は判断している。
 さらに資料には、「研究論文の基本的作法が守られていない」「理論矛盾、私的体験の一般化」「大学院教授として品位にかける表現」など、誹謗中傷以外の何ものでもない内容が羅列されている。「浅野氏の業績を極端に過小評価させるための捏造書類を元に出された委員会決議は、すぐにでも撤回されるべきではないか。これを許すと大学自体が崩壊する」と、早野教授は警鐘を鳴らしている。
 なお、同志社大学広報部と小黒純教授にこの原稿を送って疑惑の回答を求めたが、回答はなかった。

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