沖縄辺野古 露呈した法治国家ですらない国の姿

取り返しが付かなくなる前に工事中止を!

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抗議船「不屈」船長 金井 創

違法な建設工事を「合法化」して強行する政府

 沖縄防衛局は4月25日、新基地建設に向けて米軍海兵隊基地キャンプ・シュワブの沿岸部を埋め立てる護岸工事を着工しました。以来、連日のように砕石を海に投下し、護岸の基礎となる部分を海に張りだしてきています。
 この工事自体はいくつもの違反を犯したものだと言えます。まず、大浦湾のボーリング調査をするためにフロートが設置されましたが、これは調査が終わったら撤去するはずのものでした。ところが調査機関は終わっているにもかかわらず、フロートはそのままにされ、カヌーや船が抗議のために近づくことを妨げており、これを越えていくと海上保安庁が私たちを不当に拘束します。
 また、基地内から海岸の工事現場まで石材を運ぶための付け替え道路も知事の許可なしに建設し、防衛局は「石の上に鉄板を敷いただけのものだから道路ではない」と強弁しています。
 さらに、前知事が出した岩礁破砕許可は今年の3月末で期限が切れました。通常ならば、新たに許可申請をしなければならないところ、名護漁協が漁業権を放棄したことをもって、今の知事に岩礁破砕許可申請をする必要はないと、日本のどこにも例のない解釈で工事を強行しています。
 菅官房長官がしばしば口にする「日本は法治国家」の実態がこれです。法をねじ曲げ、法律に違反していても「違反していない」と言い張ればそれが通ってしまう。力ずくで通してしまう、合法的にしてしまうのです。
 現場の砕石投下もひどいものです。採石場からキャンプ・シュワブまで砕石を運んでくるダンプカーは、違法車両がたびたび混じっています。警察はそれを取り締まることもせず、抗議する市民を拘束し、排除する始末です。そして、石も採石場でいったん洗浄し、さらにキャンプ・シュワブ内で二次洗浄を行なうことになっているはずですが、海に投下される砕石からは盛大に土ぼこりが上がっています(上写真)。
 このようななりふりかまわぬ工事で、護岸はいま岸から30メートルほど海に伸びています。最終的には300メートルにまで達することになっていますが、この先水深はどんどん増していきますから、今までのような進み具合で行くとは考えにくいです。それでも約5分間隔で砕石が投下されるという速いペースで工事は進められていますから、取り返しがつかなくなる前に食い止めねばなりません。

日本という国が沖縄に襲いかかってきた

 キャンプ・シュワブゲート前ではダンプカーや工事車両を基地内に入れないために座り込みが続けられています。それが200人を越えるような日は車両も来ませんが、その分、人数の少ない日に警察機動隊によって座り込みが排除されて、60台以上ものダンプなどが入ってしまいます。
 海でも、工事現場近くで、抗議船とカヌーが連動して抗議しています。船は3~5隻、カヌーは10数艇。これがいま私たちが出せる最大の人員です。一方、これを規制する海保の高速船は20隻近く。通称「海猿」といわれる潜水士も、交代要員を入れたら100名近くが配備されています。
 この潜水士は厳しい訓練を受けて選抜された海難救助のプロフェッショナルで、全国の海上保安庁に200名くらいしかいないエリートです。それが各地の海難救助体制を犠牲にして、半数近くもの隊員が辺野古に集結しているのです。それでやらされている仕事が、海難救助ではなく、海を汚染し破壊する工事のガードマンなのです。
 海上保安庁には「未来に残そう青い海」という標語があり、それをテーマにした絵画コンクールなども行なわれています。ここには辺野古は含まれていないのか、いま目の前で海が壊されていることに彼らの心は痛まないのか、本当に疑問です。
 こうした政府の工事強行は、沖縄戦体験者の心に新たな傷を負わせています。かつては海を埋め尽くしてアメリカが攻めて来た、いま同じように海を埋め尽くして攻めて来たのは日本だ、と。沖縄戦を体験したお年寄りたちには、海が見えなくなるほどの軍艦の光景が生々しく残っています。海保の巡視船が辺野古の沖合に押し寄せてきた光景は、お年寄りたちにとって「また戦争が始まった」と見えるのです。当然だと思います。私にもこの光景は日本という国が牙をむいて沖縄に襲いかかってきたものに見えました。単なる工事ではありません。
 陸上では警察が、海上では海保が、市民が抗議する正当な権利を力ずくで奪っています。法治国家でもない民主主義ですらないこの国の醜い姿を露骨に見せられてしまいます。しかし、そうであるからこそ、私たちの行動はただ工事強行に抗議することを越えて、民主主義をかけての闘いだと言えます。
 沖縄県は7月にも工事差し止め訴訟を起こすことに決めました。後戻りができないほど海が破壊される前に、何とか食い止めねばなりません。現場も世論も政治も一緒になって平和な海、平和な世界を造っていかなければならないのだと思います。

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