ぷりずむー1618号

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 2013年に韓国で制作され韓国民1100万人が見た大ヒット映画『弁護人』は、故盧武鉉(ノムヒョン)元大統領が弁護士時代に実際に体験した弾圧事件「釜林事件」をベースにした話である。映画としては、金儲けにいそしむ俗物の二流弁護士が、身近な人との関係の中で真実に向かい始める話であり、権力・警察・メディア・法曹界がこぞって主流秩序に従属している中で、主流秩序に一人ひとりがどう向かうかを問いかける作品となっている。「デモをして社会が変わるなら簡単だが、そうじゃないぞ」と学生に言っていた、社会問題に意識のないダメ弁護士が権力のひどさに覚醒していく、そのプロセスが面白い▼実際、軍事政権下の1980年代、貧乏だった盧武鉉は苦労して弁護士になって、最初は登記業務・租税関連の訴訟を専門とし、ヨットが趣味の釜山でも稼ぎのいいブルジョア弁護士だった。そんな人物が、軍事政権に少しでも異論を持ちうる民主主義的な思想の持ち主や社会運動を予防的見せしめ的に弾圧するという事件に直面し、変化していく。盧武鉉は後年、「人権派弁護士になったのは拷問されて真っ黒になった学生の足の爪を見ての憤りと怒りからだ」と記している▼映画のラストシーンのように弁護士一人ひとりが権力に立ち向かった軍事政権下の韓国の現実に、そして共謀罪を強行成立させるこんな日本社会にあって、共謀罪に反対する人がいて、この映画を日本の問題として受け止める人が一定数いることに希望がある。 (H)

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