ぷりずむー1611号

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 ケン・ローチ監督『わたしは、ダニエル・ブレイク』を観た。イギリス社会で一人の中年男性が病気で働けないのに、官僚的かつグローバル経済での商業的対応によって、適切な手当が受けられない、そのプロセスに絡むさまざまな問題を描いている。日本社会以上にひどいと思えるところもあったが、主流秩序にがんじがらめになって、社会的弱者(主流秩序の下位の者たち)に自己責任論でひどい言葉をなげつける日本社会の冷たさと通じる問題を提起している▼官僚的な制度の冷たさはそう簡単には変わらないだろう。だがこの映画では、そんな社会でどう生きるのかのヒントが示された。目の前に困っている人がいるときにどうするのかは、どんな社会でも、ひとりひとりが瞬間的に問われることなのだ。そしてそこに希望がある。常にとりうる態度の余地があるのだから▼偶然知り合ったシングルマザー親子にかかわる中で彼自身が癒される面もある。映画ではバンクフードや弱者側に立って同行支援する弁護士なども出てくる。私たちがすべきことが再確認できる▼主人公、ダニエルは、自分の今の状況のしんどさを、単純に「移民が悪い」というような形にはしない人だ。その点でもトランプ的潮流に対抗する希望を感じられた。ぜひ観ていただきたい映画だ。(H)

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