海外短信 親イスラエルと反ユダヤ主義が共存

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翻訳・脇浜義明
トランプ政権誕生後、米国の主だったユダヤ人コミュニチィへの攻撃やユダヤ人墓地荒らしが頻発。2月28日の両院合同会議でトランプは「・・・最近のユダヤ人コミュニティや墓地への襲撃、さらには先週のカンサス市の銃撃事件は、わが国が政治思想で分裂しているように見えるが、わが国は醜い人種差別や憎悪に対して反対する点で一致している」と語った。本当にそうなのか?以下、リアル・ニュースネットワーク(2017・3・4)のインタビューを紹介する

 キム・ブラウン(リアル・ニュース):トランプ発言は、人種差別的右翼メディア『ブレトバード』などが表現する反ユダヤ主義とトランプ政治が同じであるという世論を意識してなされたものですね。また、マイク・ペンス副大統領も、ダッハウ強制収容所を訪問したり、フィラデルフィアで破壊されたユダヤ人墓地へ行って墓石を立て直すゼスチュアをやって、親ユダヤ性をアピールしている。
 一方、米国最大のユダヤ人団体名誉毀損防止連盟(ADL)は、大統領顧問セバスチャン・ゴルカに、反ユダヤ人組織と手を切れと要求しています。ゴルカは、ハンガリーの元ナチ協力者集団の「勇者の勲章」を胸につけて、トランプの就任式に参列した人物です。
リチャード・シルヴァースタイン(『ティックム・オーラム』[世直し]ブログでアラブ・イスラエル問題を発信している活動家):ペンス副大統領は、トランプ政権の反ユダヤ主義の火消し役です。大統領が露骨なステレオタイプ的偏見で世間を騒がせると、副大統領が世間を宥めるのです。
ブラウン:ペンスは、ホロコースト、ユダヤ人差別、イスラエルに関連して、ユダヤ系米国人を意識しているようですが、とりわけイスラエルに重点を置いています。米国・イスラエル関係は、トランプ政権にとって重要で、米大使館のエルサレム移転を繰り返し述べました。これは米ユダヤ人にとって重要な問題ですか。
シルヴァースタイン:どういうユダヤ系米国人かによって異なります。金持ちで、男性で、年配者のユダヤ人にとっては、イスラエルは絶対的です。しかし、若いユダヤ人やユダヤ人コミュニティの指導的地位にいないユダヤ人は、イスラエル政策に反感をもち、抵抗しています。
ブラウン:フィラデルフィアとセントルイスでユダヤ人墓地が荒らされた後、パレスチナ支援グループやBDSグループは、墓地修復費用募金活動を行って5万ドル集めました。BDSは反ユダヤ主義運動ではないということを世に知ってもらうための活動です。彼らはイスラエルとユダヤ人を区別しています。このメッセージは理解されたでしょうか。
シルヴァースタイン:この募金活動の創始者は2人のムスリム米国人で、今や募金額は15万ドルに達しています。しかし、墓地を荒らしされたのはユダヤ人墓地だけでなく、ムスリム墓地もやられているのです。この数週間でいくつかのモスク放火事件も起きています。できれば、ユダヤ人からムスリムへの連帯活動を見たいものです。
ブラウン:トランプがつけた火をペンスが消し役に回っていますが、バノン戦略顧問は、自分の息子は絶対にユダヤ人のいる学校に行かせないと公言しています。ところが、トランプの娘イヴァンカはユダヤ人家族の息子ジャレッド・クシュナーと結婚しています。この政権のユダヤ人への態度をどう見たらよいのでしょう。
シルヴァースタイン:米国のオルタナ右翼は、トランプ政権誕生で元気づきました。彼らがユダヤ人やムスリムの迫害を行っています。だから私は、ムスリムと連帯せよと米国ユダヤ人に言っているのです。
ブラウン:米国内でユダヤ人襲撃が増加していることに、イスラエルが沈黙しているのも奇妙です
シルヴァースタイン:トランプとネタニヤフは特に親しく、ネタニヤフは、トランプ政権を何でも与えてくれるお菓子屋だと思っています。イスラエルの意を汲んで、米国の公式姿勢であった2国案を放棄して、大イスラエル主義を認める発言までしています。
ブラウン:ADLは、最近のユダヤ人襲撃事件を1930年代以来最悪だとツイッターしています。
シルヴァースタイン:トランプ政権がヘイトクライムの蓋を開けたのは事実です。反ユダヤ主義ばかりでなく、反移民、反ムスリム、反アジア、反黒人など、異なるものへの嫌悪を煽っています。

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