パギやん吠える!塚本幼稚園は社会に燻る「愛国主義」の突出

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なにわの歌う巨人 パギやんこと 趙 博

 「われわれは日本人である/日本にうまれ 日本にすみ 日本の自然風土を母とし日本の伝統を父としてきた/われわれの先祖は みなそうであった/われわれも われわれの後輩も そうでなければならない/ところが 戦後四十一年間 この日本が否定されつづけてきた/占領軍政いらい 日本人が日本の文化伝統を破壊するという悪しき風潮が、世の隅隅にまでいきわたっている/およそ人一人殺せば死刑となる/まして日本民族全体を滅亡させようとする者に いかなる大罰を与えるべきか/極刑以外にない/われわれは日本国内外にうごめく反日分子を処刑するために結成された実行部隊である/一月二十四日の朝日新聞社への行動はその一歩である/これまで反日思想を育成してきたマスコミには厳罰を加えなければならない/特に 朝日は悪質である/彼らを助ける者も同罪である/以後われわれの最後の一人が死ぬまで この活動は続くであろう/日本人のあるかぎり われわれは日本のどこにでもいる/全国の同志は われわれの後に続き 内外の反日分子を一掃せよ/二千六百四十七年 一月二十四日/日本民族独立義勇軍 別動/赤報隊 一同」。
 これは、赤報隊を名乗る犯人が朝日新聞東京本社の二階窓ガラスに散弾二発を撃ち込んだ際(1987年1月24日)に出された犯行声明(句読点省略、以下同様)である。さらに彼らは、記者一人を射殺し、他の一人に重傷を負わせた朝日新聞阪神支局襲撃事件(同年5月3日)の犯行声明文で、こう続けた。
 「告/われわれは ほかの心ある日本人とおなじように/この日本の国土 伝統を愛する/それゆえにこの日本を否定するものを許さない/一月二十四日 われわれは朝日新聞東京本社東がわに数発の弾を発射した/だが朝日は われわれが警告文をおくった共同時事と共謀して それを隠した/われわれは本気である/すべての朝日社員に死刑を言い渡す/きょうの関西での動きはてはじめである/警告を無視した朝日は 第二の天罰をくわえる/ほかのマスコミも同罪である/反日分子には極刑あるのみである/われわれは最後の一人が死ぬまで処刑活動を続ける/二六四七年 五月三日/赤報隊一同」。

公教育での法令違反は許されない

 言わずもがな、反日思想や反日分子は全て物理的に殲滅する、即ち「抹殺する」という宣言である。さて、件の森友学園が運営する塚本幼稚園(大阪市淀川区)の運動会(2015年10月)で、園児たちは次のように宣誓した。
 「あついあつい夏がすぎて、ぼくたちわたしたちの待ちに待った、平成27年度秋の大運動会がきました。(中略)大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている、中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願い致します。安倍首相、ガンバレ!安倍首相、ガンバレ! 安保法制国会通過よかったです!僕たち、私たちも、今日一日、パワーを全開します。日本ガンバレ! えいえいおー!」。
 この「声明」と「宣誓」を併読すれば、〝日本を否定するものは断じて許さない〟という価値観が、テロリズムの現場から教育の日常へと降下・浸透した事実に慄然とするばかりだ。園児たちに「五箇条の御誓文」「教育勅語」を暗唱させ、軍歌を歌唱・演奏させる園内の「日常」は、今や「非常識」「極右」などではなく、日本社会の基底に燻っていた「愛国主義」が突出した姿であると捉えるべきだろう。今、国会やマスコミを賑わせている「国有地払い下げ問題」「アッキード事件」などという騒動の背景には、「日本人という価値を徹底して教育すべし」という国民的情動が蠢いている。これは国粋主義などではなく、現日本の市民社会の多数意見であることを忘れてはならない。
 とは言え、私立であれ公立であれ、学校教育法にいう「学校」は全て公教育の場であって、その現場で法令違反がまかり通ることは許されないはずだ。「この法律で、学校とは、幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校とする(第一条)」とあるように、幼稚園も学校(俗に「一条校」と言う。ちなみに、朝鮮学校は一条校ではないという差別が厳存している)で、即ち、公教育の場だ。「学校」を設置できる者は、国、地方自治体、学校法人である。森友学園は学校法人であり、塚本幼稚園が一条校である限り、衆参両議院で否定・排除・廃止を全会一致で決議(1948年6月)した「教育勅語」を幼稚園で教える、しかも、暗唱させるということは、国の法体系を無視した暴挙である。何よりも「常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ(法令を守り国の秩序に遵いましょう)」という勅語の精神に悖るではないか。
 籠池よ。天皇陛下にお詫び申し上げて、教育勅語をもう一度学び直せ!

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