川内原発2号機再稼働 九電の無責任と知事の裏切り核エネルギー依存は滅びの道

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安全性無視・住民無視の再稼働は許されない

 九州電力は、2月23日夜、川内原発2号機の制御棒を引き抜き核分裂を開始。27日には発電も始め、再稼働に踏み切った。昨年12月8日には1号機を再稼働させており、熊本大地震を経た九州電力の「安全性無視・住民無視」の姿勢は際だっている。
 2号機再稼働については、次のような問題が指摘されている。(1)自ら設置を公言していた「免震重要棟」について、「造るのに時間がかかる」「技術的な蓄積がない」「コストがかさむ」などの言い訳を弄し、「耐震構造」にすり替えてしまった。(2)2号機の蒸気発生器は、細管損傷が相次いで見つかったため「2014年夏には交換する」と公表しておきながら、交換しないまま、昨年10月に再稼働に突き進んだ。さらに、(3)フランス原子力規制当局が、原発心臓部の部品の強度問題について警告を発した問題では、実機での非破壊検査によってプラントの健全性を確認するという基本作業をせぬまま、机上の書類確認だけで「大丈夫」と宣言する始末だ。
 これについて向原祥隆さん(ストップ川内原発! 3・11鹿児島実行委事務局長)は、「原発企業に求められる『安全絶対最優先』という自覚と責任感が欠如している。県民の『いのち、くらし、安全』は完全に置き去りだ」と怒りを隠さない。
 さらに、政府の地震調査研究推進本部は2月21日、川内原発直近の「甑断層帯」や、熊本地震を引き起こした日奈久断層帯の東側に隣接する「緑川断層帯」を、「主要活断層帯」に追加認定した。「M7以上の大地震を起こす恐れがあり、優先して調査、評価する必要がある」としている。「地震列島日本には原発建設の適地などどこにもない」というのは専門家の常識だが、川内原発に影響を与えかねない断層帯の危険性が特に取り上げられ、警鐘が打ち鳴らされたばかりだ。
 向原氏は、「九電は、原発を動かすということについて、また事故は起こるものだということについて、本当に責任を持つ覚悟があるのか。万が一の核災害を発生させたならば、企業経営そのものが破綻するほど巨額の賠償責任が発生するという自覚があるのか」と厳しく問うている。


 

三反園知事の裏切り

 こうした九電の無責任な姿勢にも劣らないのが、三反園鹿児島県知事だ。同知事は、明らかな公約違反である再稼働容認について、「専門委で熱心で活発な質疑応答が交わされた結果、問題があるとの意見は出なかった。現状では強い対応を取る必要はない」(2月22日、県議会定例会での答弁)として、事実上再稼働容認を表明した。
 しかし、「そもそも専門委員会では川内原発の安全性については議論していない」と指摘するのは、昨年知事選で三反園知事と政策合意を結び、立候補を取りやめた反原発団体代表の平良行雄氏だ。同氏は、知事の再稼働容認について、「知事の既定路線としての結論だ。自分だけで判断するとあからさまな公約違反となるので、専門委員会にゲタを預けアリバイ的に使っている」と批判する。
 実際、座長自ら「安全性を確認する委員会ではない」と言い、「期間も短く、議論することはできない」と言っているのである。
 向原氏も「現行の専門委は、全く無意味」と語る。川内原発については、選挙戦の過程で、(1)1号機再稼働前に検討委員会を立ち上げる、(2)検討委員会の目的は廃炉を進めるためである、ということが政策協定(2016年6月17日)のポイントだった。だが知事はこれらを反故にしただけでなく、検討委員会に反対派を半数程度入れるという約束も忘却。政策協定にもとづいて立候補をとりやめた平良さんは、推薦委員リストを2度にわたって提示したにもかからず、誰1人採用されなかったという。
 専門委員会のメンバーは12人だが、委員会の構成について平良さんは、次のように分析する。「正式に反対派、賛成派と色分けされていないが、原発の稼働に慎重な方も2~3人はいますが、他は推進派」だという。「そもそも九州電力に不都合な結論を引き出す専門委員会でないことは、はっきりしています」(平良さん)。
 専門委は、最初から再稼働容認に向かう知事の追認機関としてスタートしたのである。しかもその座長である宮町宏樹(鹿児島大教授)は、九電とその子会社から6500万円の研究費・寄付を受け取っている人物であることもわかっている。同教授は、「原発の存在を前提にリスク軽減の方策を講じる」という立場で、再稼働ありきの座長なのである。
 さらに向原さんは、「知事が原発を止める気などないことは、九電も織り込み済みだった可能性は高い」と語る。同氏の推測を裏付ける次ような報道がある。(以下引用)

 「九電に、悪いようにはしないと伝えてください」――原発停止を掲げて初当選した知事が発したのは、聞いた側も驚く、思いもよらぬ一言だった。
 今月28日に就任から半年を迎えた三反園訓鹿児島県知事が、昨年7月の初登庁直前、電力業界の関係者に川内原子力発電所の事業者である九州電力へのメッセージを託していたことが明らかとなった。
 公約である川内原発停止要請と原発の安全性を検証する専門委員会の設置が、じつは単なるパフォーマンスだったことを証明した形。事実関係を知った脱原発派からは、厳しい批判の声が上がっている。(ニュースサイト ハンター)

  「これが事実だとすれば、重大な裏切り行為」と向原さん。「知事は、脱原発と言っていましたが、それは選挙のための方便であったことは疑う余地がない。だまされた気分だ」と、平良氏は落胆を隠さない。

知事に政策変更を迫る

 今後の行動について平良氏は、「1号機の即時停止、2号機の再稼働反対」を知事に要請する予定だ。
 さらに、「脱原発」選挙公約との相違の弁明も求めていく。「公約と違う判断をせざるを得ない状況があるのならば、その理由の説明と理解を求める努力が必要」と語る。
 同氏は「まともな説明もないとすれば、知事の資質が問われる問題」と語っている。
 鹿児島では、専門委員会の再編を要請する行動(3月1日)に続き、3月12日にも鹿児島市で集会が予定されている。同集会では、あくまでも公約を守るよう知事に要求する。
 稼働中の原発は、伊方1号機を含め3機となった。なし崩し的再稼働は許されない。向原氏は、次のように語った―「核エネルギーに依存することは滅びへの道である」。

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