沖縄・高江 オスプレイパッド建設反対の現場から

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基地を強行するこの「現実」を引きはがそう

金津 まさのり

12月17日から20日にかけ、オスプレイパッド建設強行がつづく沖縄・高江を訪問した。
 政府・防衛局が16日に工事「完了」と発表したにもかかわらず、N1表ゲート前はアルソックが警備を固め、機動隊車両が入り口を封鎖していた。その前に多くの人々が県内・県外から集まり、
早朝 から集会を続ける。N1裏テントにも人々が集まり、監視と抗議のために泊まり込む。まだ何も終わっていないのだ。(筆者)

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すさまじい暴力で強行された工事

 7月10日の参院選翌日にオスプレイパッド工事が再開されて以来、森の中の小さな集落に全国6都府県から500名を越える機動隊が動員され、ありとあらゆる暴力を行使しながら工事が進められた。屈強な機動隊員たちが抗議する市民に暴力を振るい、連日のようにケガ人が続出。また大阪府警機動隊員による「土人」発言に代表されるように、差別・植民地意識丸出しの精神的暴力も振るわれた。
 さらに不当逮捕が続けざまに行われ、訪問の時点では4名が勾留されていた(うち2名は20日に釈放されたものの、残る2人は起訴されてしまった)。抗議により搬入が困難となった重機は陸上自衛隊のヘリで吊るして運ぶなど、あたかも米軍基地工事が人権・法規・憲法すべてに優先するかのような体制で作業は強行された。
 身体を張って道路で工事車両を止める。あるいは山中に入って直接防衛局・作業員に抗議する。こうした無数の名もない人々の行動により、工事は大幅に遅れた。例えばずさんな施行によりオスプレイパッドの下に水がたまっており、ホースで排水が行われている。道路が一部崩れたり、木の切り株がそのまま埋まっている箇所さえある。
 図面とは異なる仮設の状態で施工されており、「返還」式典後に工事を全部やり直さねばならないことが明白な場所も多数あるとのことだ。このように本来なら完成には程遠い状況なのにもかかわらず、日本政府は工事「完了」を宣言し、22日には北部訓練場の一部「返還」式典を開催しようとしている。理不尽もここに極まるというしかない。

オスプレイ墜落

 12月13日、オスプレイが名護市安部(あぶ)の海岸近くに墜落、大破した。同日、普天間基地に別のオスプレイが胴体着陸していたことも、のちほど明らかとなった。安部は辺野古にほど近い位置にある集落である。近くを車で通過したところ、集落内に多数の警察・米軍関係者がひしめいている状況だった。
 空中給油訓練中にプロペラが破損したのが原因と説明されているが、事故処理は米軍がすべて掌握しており、住民や県が納得する説明はまったくなされていない。
 この事故に関しても、政府・防衛省は「不時着水」と強弁しており、米軍の発表をそのまま受け入れ、19日からオスプレイ飛行が再開されてしまった。こうした状況に対する憤りの声が、現地では繰り返し聞かれた。20日には、オスプレイ墜落を受け、東村の伊集村長に対し「返還」式典への出席辞退を改めて要請する申し入れ行動が、「高江住民の会」などによって取り組まれた。

不当弾圧許すな

 名護署前では毎日夕方から、勾留されている2人に対する激励・抗議行動が取り組まれている。警察署正面での集会後、留置室近くの裏手に回り、たくさんの人が代わる代わるマイクを握り、2人に向けて声を張り上げた。
 20日に起訴されてしまった2人の容疑は、2016年1月の辺野古・キャンプシュワブゲート前での抗議行動に関するものであり、高江の現場から引き離すための拘禁であることが明白だ。どこの現場でも、口を開けば逮捕された仲間の身を案ずる声が聞かれた。一刻も早く2人を取り戻すために、全国からの注目と支援が必要だ。

辺野古工事再開に備えて

 シュワブ陸上部隊舎の工事が15日から再開された辺野古ゲート前も訪問した。新基地埋め立てに使われる生コンプラントの設置が危惧されており、警戒が続いていた。埋め立て承認取り消し訴訟の最高裁判決を受け、辺野古工事再開にも備えなければならないという声が、高江でも辺野古でも聞かれた。
 19日には名護市民館で、「伊江島・高江・辺野古のトライアングル ―やんばる全体を危険地帯にしないために! 緊急シンポジウム」が開催された。辺野古新基地計画に盛り込まれている軍港では、オスプレイを搭載可能な強襲揚陸艦が着岸可能となっている。すでにオスプレイが配備されている伊江島では、オスプレイおよびF35のための米軍基地拡張工事が今年から着工されている。
 このままでは伊江島・辺野古・高江を結ぶ海兵隊基地のトライアングルが形成され、住民の頭上をオスプレイが飛び回る状況がやってきてしまうのだ。

ウソしかないこの社会で

 関西空港に降り立つたびに、落差にめまいがするようだ。本土の私たちが生きているのは、高江や辺野古の現実より、有名人の薬物疑惑やオリンピックがはるかに注目を集めるような社会だ。高江の工事「完了」、北部訓練場「返還」、オスプレイ「不時着」、辺野古新基地建設による沖縄の「負担軽減」、すべてまともに調べれば数秒でばれるようなウソでしかない。しかし、そのようなウソが政府により執拗に繰り返され、マスコミによって増幅され、ソーシャルメディアで拡散されるなかで、現実に変わっていく。そして、その本土の現実が沖縄に注ぎ込まれていく。米軍や機動隊の暴力という形で。 高江では、「返還」式典後にも引き続き工事が行われていくだろう。住民の方が語るように、たとえオスプレイパッドが完成してしまってもけっして使わせない、N4パッドも含めて北部訓練場すべてを無条件返還させるためのたたかいが、これからも続く。
 本土の私たちが、本土にありながらこのたたかいに連なるには、どうしたらいいだろうか。ともに考えてほしい。それは、沖縄のことにかぎらず、自分たちを取り囲むこのどうしようもない「現実」を引き剥がしていく取り組みであるだろう。

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