鹿児島県知事選 「脱原発知事」生んだ候補一本化の裏側

「とめよう原発!かごしまの会」代表 平良行雄さんインタビュー

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 鹿児島県知事選で「脱原発知事」が誕生し、話題となっている。新人の三反園氏は、川内原発の再稼働を認めた伊藤知事を約8万票の差をつけて破り、当選直後には、「私は原発のない社会をつくろうと一貫して訴えている。原発をいったん停止して再検査し、活断層の調査をすべきだ」と、気勢を上げた。「とめよう原発かごしまの会」代表・平良行雄氏と政策合意して勝利した三反園氏だが、選挙戦では原発関連の発言を抑え、当選後も「原発のない社会はすぐにはできあがらない」と、原発の稼働を認める発言もしている。三反園氏の当選について、向原祥隆氏(平良氏の後援会長)は、「原発停止にとても期待できる」と歓迎。「政策合意は(三反園氏が)やると言ったこと。やってもらう」と「脱原発」の公約実行に期待を高めているが、ブレる発言に警戒感も隠さない。「現職落選なら原子力政策に影響が出かねない」と国政選挙の公認候補並みに支援した自公両党は手痛い敗北を喫したが、すんなり脱原発にも行きそうもないようだ。候補一本化の経緯や今後の見通しについて、平良行雄氏にインタビューした。 

(編集部・山田)

編集部:知事選で脱原発候補が勝利した要因は、候補の一本化です。共闘成立の経緯をお願いします。
平良:当選した三反園さんは保守系の人です。伊藤知事の4選阻止の目標は私たちと共通していましたが、原発については態度が曖昧で、立候補表明の際も、ほとんど触れませんでした。
 原発問題は、鹿児島県民の命と暮らしに直接関わる重要な争点です。ところが現職の伊藤知事は推進派なので、争点はずしを狙っていましたし、新人の三反園氏も反原発グループの態度表明要求に対し「ノーコメント」が続きました。つまり、知事選が両者の闘いとなれば、原発は争点にならないことになります。そこで私たちは、独自候補者を立てる方向で議論を重ねてきました。

原発停止条件に候補者一本化へ

 こうした反原発グループの動きに加えて4月に熊本地震が発生し、三反園さんは「再検査」を主張し始めました。私たちは、「伊藤知事の4選阻止」も重要な目標だったので、三反園氏を推す意見も出始め、5月末に候補者一本化に向けた協議を申し入れました。政策協議の条件は、(1)再稼働受け入れ表明を撤回する、(2)知事就任後、直ちに川内原発の運転停止を九電に要求する、(3)廃炉に向けて全力を尽くす、の3点です。
 紆余曲折はありましたが、三反園陣営も反原発世論と私たちの動きを無視できなくなり、6月15日、三反園陣営から候補者一本化への呼びかけが行われました。そして17日、(1)安全確保のために川内原発を停止し再検査を行う、(2)県庁内に「原子力問題検討委員会」(仮称)を恒常的に設置する、を含む5項目について合意。私が立候補を見送って、候補者を一本化しました。
編:今後、新知事や県政とどのように関わる方針ですか?
平良:政策合意文書に法的効力はありませんし、新知事は保守系の人なので、公約が実現できない可能性もあると考えています。私たちは、新知事が政策合意を守るよう見守り、働きかけを強めていきます。知事就任は7月28日なので、早期に会談を申し入れ、知事の背中を押して、脱原発に向けた具体的な政策を実施するよう求めていきます。

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