悪魔のささやき 原発再稼働の「決意」が「真心」?

関西電力・新コマーシャルに抗議

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市民と科学者の内部被曝問題研究会会員 渡辺悦司

 関西電力は現在「パワー・ウイズ・ハート」のCMを放映している。
 「電気はこの国の元気、電気はこの国の未来、電力自由化という新しい時代、関西電力も変わります。思いを込めて、真心を尽くして、お客様や社会の力になりたい。エネルギーに新たな決意をのせて、パワー・ウィズ・ハート、関西電力」という、メッセージ性の極めて高いCMだ。
 だが、「新たな決意」という言葉で示唆されている内容は何か? 多くの人々には、これが、裁判所による差し止め命令にもかかわらず、何としても原発をー40年以上を経過して完全に老朽化した高浜原発1・2号機を含めてー次々再稼働していく経営方針であることは、明らかであろう。
 端的に言えば、原発再稼働によって、周辺に止まらず関西全域やさらには中部・北陸地方の数千万の住民を、重大事故のリスクにさらすことになる。さらには、放射線被曝と広範な健康被害のリスクにさらすことが「新たな決意」とされていると気づくであろう。

再稼働リスク認める関電

 しかも、関電は、この夏には電力需要者に対して「節電要請」をしないという。つまり、原発を全く再稼働しなくても、電力供給上何の問題もないのだ。このリスクは、電力供給上は全く無用のリスクである。視聴者は、このCMを見るにつけ、一電力会社が幾千万の住民をこのように巨大なリスクにさらす行為が、その電力会社の「真心(まごころ)」だと宣伝されているという事実に、否応なしに気づかされる。
 関西電力は、原発再稼働が、住民に対し、どれほど巨大で深刻な「リスク」を、及ぼすかを公式に認めている。2014年8月1日、八木誠社長は自ら、「社達 原子力発電の安全性向上への決意」を発表した。そこには次のように書かれている。
 「当社は、福島第一原子力発電所事故の発生を踏まえ、『発生確率が極めて小さいとして、シビアアクシデントへの取組みが不十分だったのではないか』」と「深く反省している」としている。「原子力発電は、大量の放射性物質を取り扱い、運転停止後も長期間にわたり崩壊熱を除去し続ける必要があるなどの固有の特性を有する。
 このため、原子力施設の建設・運転・廃止措置、使用済燃料や放射性廃棄物の輸送・貯蔵・処理・処分などの全ての局面において、自然現象、設備故障、人的過誤、破壊・テロ活動、核燃料物質の転用・拡散などにより、放射線被曝や環境汚染を引き起こすリスクがある。
 原子力発電において、適切な管理を怠って重大な事故を起こせば、長期にわたる環境汚染を生じさせ、立地地域をはじめ社会のみなさまに甚大な被害を及ぼすこと、加えて、わが国のみならず世界に対し経済・社会の両面で影響を与えうることを、私たちは片時も忘れてはならない」と述べている。

原発事故にさらす「真心」

 関電は、原発再稼働のもつ深刻なリスクを認識しながら、CMでは、原発再稼働によって、「この国の元気」「この国の未来」を切り開き、「お客様や社会の力になりたい」という意欲を公衆に示唆している。これでは、全くの二枚舌と欺瞞が公然と宣伝されているというものだ。
 これに対して、憤りを感じる人も多いであろう。原発推進勢力によるデマゴギー支配、原発・核ファシズムと第二・第三の福島事故への「悪魔のささやき」のようだと感じる人もいるであろう。
 また、関電は、莫大な宣伝広告費を放送局に支払うことによって、マスコミを買収し、原発再稼働への批判を封じさせようとしているのだ、と感じ取る人もいるであろう。
 われわれは、関電が、原発の深刻なリスクを知っていながら、このCMによって、原発の再稼働とそのリスクに住民をさらすことが関電の「真心」であると宣伝しているというこの事実を、多くの人々に広く知らせ、再稼働反対の声を広げるためにこのCMをもまた利用していかなければならないと思う。

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