パレスチナ自治権介入継続 撤退の意思なし

西岸地区A地区でのイスラエル警察活動

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4月25日「電子インティファーダ」
アドナン・アブ・アメル(ガザ在住作家で、アル・ウンマ大学人文学部長)
翻訳・脇浜義明

【はじめに】

 1993年にイスラエル政府とパレスチナ解放機構(PLO)の間で同意されたオスロ合意。この合意によってパレスチナ自治政府(PA)が生まれたが、それによって占領地は、
◆A地区…PAが行政権と警察権を持つ地域(17%)
◆B地区…PAが行政権、イスラエルが警察権をもつ地域(23.8%)
◆C地域…イスラエルが行政権と警察権を持つ地域(59%)
の3種類に区分されることになった。

(編集部・脇浜義明)

 A地区で、指名手配者追跡に関して、PAとイスラエルが争っている。PA保安隊は、自分たちが指名手配者を逮捕するから、治安情報を流してくれとイスラエルに懇願。イスラエルはこれを拒否、PAはA地区に残された権限すらも失いつつある。
 イスラエルは、2015年10月に勃発した「ナイフ」インティファーダを利用、「指名手配者捜索」の名目で、A・B・C地区の区別を無視して、西岸地区全体でパレスチナ人弾圧を強化、特にA地区における軍の活動は最重要だ、と主張。それに乗じてイスラエル民間人グループの暴行も増加している。
 指名手配者といっても、イスラエル人に危害を加える恐れのある者すべてを含むから、潜在的に、すべてのパレスチナ人ということになる。イスラエルはそんな人物を「時限爆弾」視し、PA保安隊が逮捕するのを待っているわけにいかない、というのだ。イスラエルの目から見れば、PAが不能率で、役に立たないと思っている。すでに昨年10月~今年3月の間に、3000人以上のパレスチナ人を逮捕した。
 イスラエル軍は、PAが危険人物に対する警察活動を強化していることを評価しているが、「A地区での軍の行動を続ける」と主張。10月以降、西岸地区でのイスラエル人襲撃を未然に防いだ業績は、イスラエル軍85%、PA保安隊15%だったが、今年の3月以降は、イスラエル軍60%、PA保安隊40%と、PAの活動が強化されている。
 PA保安隊がイスラエル人の安全を守る活動をしているにもかかわらず、イスラエルはパレスチナ人の追跡、逮捕、殺害に血道を上げている。それにイスラエルは、パレスチナ側からの情報をあまり信用していない。だから、A地区に侵入、PAの主権を踏みにじるのだ。自分の手で「危険人物」を捕まえる。PAは、パレスチナの大義やパレスチナ人の利益と安全よりも、イスラエル要人とのパイプ作りに熱心である。
 インティファーダが7カ月目に入り、イスラエル軍のA地区での活動が活発化しており、ラマラやジェリコのようなパレスチナ主要都市からの軍の撤退と、3月に始まった交渉が危うくなっている。しかし、いずれにしてもイスラエルは、どの地区からも撤退する意図がないことは、イスラエルの行動から判断できる。

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