海外レポート フィリピン・キューバから

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2016年フィリピン大統領選挙 オルタナティブ選挙を!ALTER PoLを!

キルサン・セブ(民主主義社会を目指す運動・セブ)より寄稿
翻訳・脇浜義明

 2016年選挙が、グローバル資本主義システムの危機と世界中で展開している紛争・戦争の中で行われ、5月に投票が迫っている。フィリピン支配者層は米帝国主義の戦略に沿って新植民地国家を強化したい点で一致している。
 外資活動の障壁を取り除き、民衆の生活を犠牲にする「自由化経済」を促進しようとしているのだ。例えば、まだ残っている外国資本の横暴を規制する条項を削除しようとする提案である「経済的チャチャ」や、沿海航海法規制を見直して、外国業者にも国内輸送業務を開放する、などが彼らの目的である。
 支配階級は、米軍や米国同盟国軍がフィリピンで軍事活動することを支援し、それに合わせてフィリピン軍を強化することで一致している。それは、米軍のフィリピン国内の干渉拡大への同意、比米防衛協力強化協定(EDCA)や日本など米同盟国との同様な軍事同盟と、繰り返し行われている軍事演習で明らかである。南シナ海における中国の軍事活動が、支配階級に都合のよい口実を提供しているのだ。

民衆が政治に求めるものは

 フィリピン国民が政治に求める課題は、政治制度の安定と汚職追放だ。アキノ政権は5年間、表向きは「安定」を実現し、汚職追放政策「トゥウィド・ナ・ダアン」を取ってきた。そのもとで選挙が正しく円滑に行われることが期待されている。有力な大統領候補者は5人、副大統領候補は6人、上院議員候補者は40人、下院候補者は600人以上。各地域や市町村の長には各3人の候補者。過去の選挙と同じように2016年選挙は「国民主権行使による民主主義」の証拠と呼ばれることになるだろう。

政治の裏切りがもたらした無関心

 候補者を見回すと、相変わらずの政治屋や有名人-自分は草の根出身で、当選すれば良き公僕となると約束する、いわゆる「トラポ」(訳注:「ボロ布」「屑」の意味)どもが多い。こういう偽善者たちが良き公僕になった例は、一つもない。
 この連中は都市貧困地域や草の根グループなどに働きかける-人々を日々の苦痛から救うためでなく、ただ集票目的のために。もう何回も騙された人々はトラポどもの公約を信用しないが、それでもカリスマ性に騙されて微かな希望に期待をかける人々もいる。
 一般的には選挙は、サーカス見物-日常の生存競争からしばし解放される「娯楽」扱いだ。フィリピン国民は二つに分類できる。一つは、「親分」に運命を預けて「親分」に投票する人々。もう一つは、自分以外は誰も信用しない人々。
 「政治的無関心だ!」と言って投票者を非難するのは間違いだ。長年に渡る政治の裏切りの結果が政治的無関心なのだ。フィリピンの選挙が、封建的な主従関係や一族関係や縁故関係や利益誘導関係に基づく、候補者個人間の競争であることは、みんなが知っている。 家柄や族柄の世襲的権力システムに、「民主主義」をラベリングしただけだ。だから、綱領や具体的政策に基づく政党の力が弱く、「政治的蝶々」(訳注:うまい汁を吸うために政治屋に寄り添う人々や勢力のことを意味する)ばかりが活躍する。それ故、「拳銃、ならず者、現金」が選挙ゲームの武器となる。

現実問題を選挙の全面へ

 選挙の結果は、樹立される政権の性格を決定する。どんな政府にも「政治的蝶々」の刻印が刻まれている。例えば、中央政府には宗教団体関係者や大企業関係者、地方政府には地方軍閥のリーダーや族長などだ。
 選挙はその国が到達しているレベルの政治システムを具象化するもので、その国が到達しているレベルの政治は、その国の社会の物資的生活(経済)の反映である。
 我々はこういう状況の中でALTERPoL2016(これまでとは異なるオルタナティブ選挙を)運動を行っている。この運動は、現存議会制度と「トラポ」制度に挑戦する運動である。人々を目覚めさせ、因習的パトロン制度から解き放つ運動である。特に若者と学生に働きかける運動である。
 我々の目的は、人々が抱える現実問題を選挙の全面へ持ち出すこと、それを争点化させることである。さらに、選挙制度そのもの-その性格と働きを批判し、選挙民にそれを意識化させること、そして、それに基づいて、人々を組織することである。

 

オバマ同志-コンキスタドーレス(征服者)の足跡

フィデル・カストロ(Granma.cuより)
翻訳・脇浜義明

 「私は南北アメリカ大陸から冷戦の後遺症を埋葬するためにきた。私はキューバ人民に友情の手を差し伸べるためにきた」とオバマが演説した。そして、我々キューバ人が初めて耳にする言葉が洪水のように流れた。
 「我々は双方ともヨーロッパ人が植民地にした『新世界』の人間だ。キューバは米国と同じように、アフリカから連行された奴隷によって建設され、米国と同じように、遺産の起源を奴隷と奴隷所有者に遡ることができる」。
 オバマの頭には先住民が全く存在しないのだ。彼が10歳になる前、キューバ革命が黒人差別を根絶したこと、キューバ人の給料と年金はすべて革命で定めた法令が支払っていることを、彼は言わなかった。ヤクザを雇って黒人を娯楽施設から追い出すというブルジョアジーの人種差別をなくしたのは革命であることを言わなかった。しかもその革命は、アンゴラの反アパルトヘイト闘いに参加、さらにアフリカ大陸から核兵器を廃絶するのに貢献した。

米国がキューバに行ってきた暴挙

 この革命から15ヶ月後の1961年、米軍の戦艦と空母の援助を受けた傭兵たちがキューバを奇襲、貴重な人命を奪った。米軍と裏切り者たちの暴挙は、許されるものではない。
 アフリカでも米国やヨーロッパはキューバ革命軍を簡単に追い出せると思ったが、キューバ軍は強かった。アパルトヘイト国家・南アフリカの機動部隊が南アンゴラから侵入してルワンダに近づいたが、キューバ軍が迎え撃ち、戦いは15年間も続いた。
 私がこの話をするのは、オバマのハバナ演説に対して、私自身が応答する義務があると思うからだ。しかし、詳しい話はやめておこう。ただ、人間解放の名誉ある闘いの歴史の一ページがあったことだけは、強調しておきたい。
 ある意味で、オバマの言動が間違っていないことを、私は希望している。彼の非エリートの生まれと、生来の知性を思うと、私はそう思わずには居られない。人間の尊厳のために闘った巨人・マンデラの本が、ある日、私の手元に届いた。なんと、その本の序文をオバマが書いているのだ! 私は序文に目を通し、マンデラ自筆の小さな文字を読んで、その内容に驚嘆した。このような人物と知りあえたことを誇りに思う。
 一つのことを指摘したい。それは、一体どのようにして南アに核兵器が入ったのを知りたかった。当時、私が得た情報では、10〜12発の核爆弾が南アにあるとのことだった。
 情報源は、『相容れないミッション-ハバナ、ワシントン、アフリカ、1959〜1979』著者のピエロ・グレイジェセス。彼と話したが、本に書いたことはすでにキューバ大使で、アンゴラ解放闘争で活躍していたホルゲ・リスケトに話したこと以上には出ていない、と言った。リスケトは病床に伏し、やがて死んだ。いずれにせよ、南アがレーガン政権とイスラエルから核兵器を得たことを知った。オバマはこのことを知っているのだろうか? 彼がそのことを考慮し、これからのキューバに関して政治介入しないことを望む。もう一つ、大切なことがある。オバマはびっくりするような甘い言葉を使った。「今や過去を忘れ、過去を捨てるべき時だ。共に未来へ目を向けよう。希望の未来に。それは困難かもしれないし、多くの課題もあるだろう。しかし、時間をかけよう。現にこうして、私がキューバに来ていることが希望ではないか。今後は家族として、隣人として、友人として、共に歩める希望ではないか」。

米帝からもらうモノはなにもない

 米国の大統領からこんな言葉を聞いたら、少し前なら我々キューバ人は心臓麻痺に襲われたであろう。60年間も過酷な経済封鎖、傭兵の襲撃、旅客機が吹き飛ばされ、傭兵やCIAの様々な悪事が続いてきた後なのだ。
 人間の尊厳を打ち立て、貪欲な利己心を克服したこの国の人民は、自力で教育、科学、文化の発展で手に入れた誇り、精神的豊かさ、そして人権があり、いかなる資本主義的誘惑があってもそれらを手放すことはないし、資本主義に対して幻想を持っていない。我々は、人民の努力と知性で、生きるのに必要な食料、物資、医療を所有し、生産できることを、オバマに知らせなければならない。米帝からはもらうモノはなにもないことを。
 平和的手法で経済を営んできたこと、地球上のすべての人間と平和的な友好関係で付き合うことが、キューバの国是であることを、オバマに認識させなければならない。

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