ルネサンス研究所2月定例研究会 合評会 菅孝行『三島由紀夫と天皇制』(平凡社新書)を読む


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2月11日(月)18:00開場、18:30開始
会場:専修大学神田キャンパス7号館7階772教室
資料代¥500
(報告者)横山茂彦(『情況』編集長)/友常 勉(東京外国語大学教員・日本思想史)
(リプライ)菅孝行(劇作家・批評家)
今回は、ルネ研運営委員の菅孝行が昨年末に刊行した天皇制と三島由紀夫についての著作を読み、討論することにしました。
今春に天皇代替わりを控えて奉祝ムードと改憲気運を盛り上げようと狙う安倍政権の策動を前に、私たちはこれとどう向き合うべきなのか。
1970年11月25日の自決へと至った三島の戦後批判・象徴天皇制批判に、その議論のヒントを探ります。是非ご参加下さい。
横山茂彦
 天皇制の戦前・象徴天皇制の戦後、およびそれを引きずっている現代のわれわれにとって、三島文学と三島由紀夫の「政治行動(市ヶ谷決起)」は大きな思想的課題として残された。
それは三島文学がわれわれの思想的体験に占める大きさ、すなわち「政治と文学」の思想的痕跡の深さにほかならない。菅孝行の表題書は、天皇との関係で三島由紀夫の文学と行動を分析したものである。
 天皇主義の思想的レジェンドとして、またいっぽうでは芸術行為として刻印された「三島由紀夫と天皇」というテーマを、いまわれわれは菅孝行の視点を通して解読できる機会を得た。
しかしながら、視点の違いで三島事件(市ヶ谷決起)は違ったものになる。わたしのコメントは三島文学の神髄に迫るアプローチの仕方をめぐって、論点を抽出するものとしたい。テキストは表題作のほか、『憂国』『英霊の聲』『豊饒の海』(「奔馬」)など。
友常 勉
菅さんの本を手がかりに「1970年11月25日」を理解するために、以下のようなことを論じてみたいと思います。
ひとつは、天皇・天皇制に疑似革命性を見出し、三島作品を政治主義的に読むこと(これが菅さんの本の論点のひとつだと思います)と、ファシズムと例外状態をくぐった文学のありようとして読むこととの相違について。これを田辺元やハイデガー、ブランショを手繰り寄せながら考えてみたいと思います。
もうひとつは、戦後天皇制とアメリカとの関係を、近代化・西洋化に直面した日本思想史の文脈で考えてみたいということです。
安丸さんが『近代天皇像の形成』第4章で論じた「秩序的近代化」の振り幅を手がかりに考えてみたいと思います。ただし当日までに少し内容に変更があるかもしれませんが、ご寛恕ください。
主催:ルネサンス研究所

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