今も進行するナクバ―ベドウィン族追放 それでも抵抗は続く

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ジョナサン・クック
『トゥルー・パブリカ』10月27日

自国内で難民に
なった民族

 先週イスラエル国民であるベドウィン3万6000人が、収容所へ追いやられ、自国内で難民となった。これは1948年ナクバの仕上げ行為である。75万人のパレスチナ人を新生イスラエル領の外へ追い出したナクバだが、一部が残り、その後180万人に増加しイスラエル国民となった。イスラエルは、彼らを二級国民として差別し、「民族浄化」することにより1948年のナクバを仕上げようとしている。ナクバと、現在イスラエルが行っている(1)占領地西岸地区・東エルサレムの土地収奪や家屋破壊、(2)ガザ破壊、(3)イスラエル内パレスチナ人への非人間化攻撃の間には、連続性がある。ベドウィン追い出しも同じである。シオニズムのイデオロギーはアラブ人とユダヤ人を入れ替える、つまり「ユダヤ化」することにあり、その典型的な例がベドウィン追放である。
 

ベドウィンはイスラエルで最も貧しい人々で、南部の半乾燥地帯ネゲヴで生活している。人目につかない場所なので、イスラエルは好き放題にベドウィンを立ち退かせることができる。先祖代々住み慣れた土地を追われて狭い不毛の地の居留地に閉じ込められ、貧困生活を余儀なくされているベドウィンがたくさんいる。

安全保障」の名で
生存権はく奪

 ベドウィンは素朴な農民や遊牧民で、例えば占領地のパレスチナ人のような治安上の脅威となることはない。しかし、イスラエルの安全保障イデオロギーは、単なる物理的安全以上のものである。それは「ユダヤ人の人口が絶対的多数であるべき」という前提に基づくものだ。だから、いくらベドウィンが従順で平和的であっても、数が多いと脅威になるのだ。それに彼らの放牧生活は、彼らを人目につかぬゲットーに閉じ込めるという国の方針に合わないのだ。
 

ベドウィンは、イスラエル建国前からの住宅と土地に関する権利書を持っているが、イスラエルはそれを認めず、不法建築だとして一切の法的権利を認めていない。トタンの掘っ立て小屋やテント生活を余儀なくされ、学校は言うまでもなく電気や水道の公共サービスも拒否されている。ベドウィンがイスラエル国内で生活する道は、先祖の土地と生活様式を捨て、イスラエルが用意する非人間的なスラムへ移転するしかない。
 

しかし、激しい弾圧にもかかわらず、多くのベドウィンは先祖代々の地にしがみついて市民的不服従や法律的抵抗を行っている。例えば、アル・アラキブ村は何度破壊され追い出されても村を再建し、10年間で160回以上も村の再建を繰り返した。
 

8月には、繰り返される立ち退きに対し裁判所は6つのベドウィン村に37万ドルの立ち退き料を払うことを国家に命じた。イスラエル政府はこのようなベドウィンの抵抗に怒り、今年1月「経済開発計画」の名のもとで、未公認村から4万人のベドウィンを強制退去させる計画を発表した。
 

「開発」も「安全保障」もイスラエル独特の意味を持つ。ユダヤ人にとってだけの「開発」であり、「ユダヤ人化」という意味でもある。先週も数家族が収容所へ強制移転させられた。ナクバのときパレスチナ人が収容させられた難民キャンプと同じ所であった。
 

イスラエル内パレスチナ人の法的支援グループ「アダラー」は、イスラエルが数十年間にわたってベドウィンを家畜のように追い出し、その跡地をユダヤ人入植地にしていった経緯を報告している。ベドウィンの居住空間、生活様式がズタズタに破壊され、ユダヤ人街や入植地が広々と繁栄していった。
 

行政的民族浄化が今も進行しているのだ。

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