【イスラエルに暮らして】ヨルダンのパレスチナ難民子孫 国境で逮捕、獄中で瀕死に イスラエル在住 ガリコ 美恵子

「セキュリティ」の名の暴力

「ヒズボラと接触の形跡」と拘留 獄中で41日間抗議ハンスト

 今、パレスチナでヨルダン国籍のヒバ・アルラバディを知らない人はいない。獄中でハンストを41日間続けた、パレスチナ難民の子孫である。

 ヒバ・アルラバディ(24)は8月20日、パレスチナに住む親戚の結婚式に出席するため、母親と入国した際、国境で逮捕された。レバノン在住の妹を訪問した際に「ヒズボラと接触した形跡がある」として、行政拘留された。   

行政拘留は、根拠を明かさず、裁判もせず、「セキュリティ上の理由」で長期拘留する。  

ヒバは両手を後ろで縛られ、椅子に固定された状態で、16日間尋問された。この間、弁護士との面会を不許可。尋問官は、顔にツバをかけ、母親や妹も逮捕する、と脅した。 

ハンストで危篤になり、軍所属病院に収容されたヒバに面会した弁護士によると、病室付きの監視員は男性。ベッドに手足を縛りつけられ、トイレは1日1回のみ。両親への遺言を託された弁護士は、ヨルダンに赴いた。遺言は『私は無実』だった。  

パレスチナ、ヨルダン、イスラエルで、「ヒバを釈放せよ」と、街頭デモやネット上の呼びかけが繰り返された。弁護士が、「多くの人が連帯デモをしている」と伝えると、元気を取り戻した、という。 

東エルサレムのデモでは、警察が軍馬を駆り立て、参加者に暴力をふるい、逮捕者もでた。警官に殴られてカメラを壊されたメディアもいる。  

ヒバは、政府間交渉により11月4日、釈放が決定した。  

シャバクがカメラマンを連行 「スパイになるか国外追放だ」と脅迫

ムスタファ・アルハルーフ(33)は今年1月、「セキュリティ上の理由」によりシャバク(イスラエル公安庁)に連行され、行政拘留された。3カ月後に裁判が行われたが、検察官は、(1)ハマスと関係をもつ疑い、(2)居住権無所持、を理由とした。  

彼は、アナドル通信社の専属カメラマンだ。社の指示で、取材する。過去、ハマスの集会を一度取材したことがある。シャバクはハマスとの関係を疑い、尋問しつづけた。が、ハマスに関する情報をもっていないことがわかると、「スパイになれ。さもなくば国外追放する」と脅した。  

裁判は何度も行われた。私は裁判傍聴に行った。シャバクと治安警察に囲まれ、両手両足を鎖でつながれたムスタファを撮ろうとしたが、銃口を向けられ、シャッターが切れないまま、退去させられた。9カ月後、判決公判で裁判官は「危険人物とする理由がみつからない」とし、40万円の現金支払、および数多の条件付きで釈放した。  

居住権に関しても、ムスタファの家族は、エルサレム居住権を所持する。内務省は、ムスタファの居住権だけを15年間、却下し続けてきた。彼は同じ理由で2017年にも逮捕され、釈放されている。居住権取得の法的条件を満たしているのに、内務省に却下されている東エルサレム在住のパレスチナ人は、現在約2万人とされている。内務省の違法行為が問われて然るべきだ。  

爆破事件の疑いで拘留のサメル 拷問で肋骨11本骨折、現在も拘留

この夏、爆破事件の疑いで行政拘留されたサメル・アルビード(44)は、拷問の結果、肋骨11本が折れ、肺炎を患い、危篤になった。集中治療室に移送されたが、警察はそこへ催涙弾を投入した。彼は現在も劣悪非情な状況下で拘留されている。  

行政拘留は国際法違反であり、人権侵害だ。抗議行動は、パレスチナでは「セキュリティ上」の理由により、許可されない。日本では当たり前に使われる「セキュリティ」とは、一体何なのか?

■証言■シャバクの実態

証言(1) 30日間尋問された22歳 逮捕理由は“友達が多い”  

シャバクは、急に家にきて、僕をアシュケロン尋問所に連行した。尋問所は、拷問所だ。腹をムチャクチャ蹴られた。両親の前で口にだせないこともされた。ゲロを吐いた。尋問室で吐かない奴はいなかった。毎日、18~20時間、椅子に縛られ、尋問された。シャバクは、僕が旧市街で働いていて、多くの若者と仲が良いことを理由に、『内通者になれ』と強要した。  僕の友達の名前を挙げて『xがこう言ってる、yも言った』と嘘の供述を強要し、『嫌だ』と言うと、もっと殴られた。内通者になったパレスチナ人は、受刑者に混ざって、スパイ活動している。ガザ、ヘブロン、ジニン(Jenin)出身が多い。奴らに騙されたら終わりだ。いつも気を張り詰めていた。

証言(2) 平和活動家S氏(46) 「内通者になれば釈放する」  

尋問所で拘留されたら、健康体で出てこれる人は少ない。俺は両手両足を縛られて、頭から麻布をかぶせられ、窓のない1m四方の部屋に密閉された。三角座りしかできない。トイレはなく、垂れ流しだ。自分の糞尿の臭いで吐く。毎日、バケツ1杯の水をかけられ、それがシャワー代わり。続けざまに腹を蹴られて血を吐いた。行政拘留された理由は、俺が占領反対、とはっきり口に出して言うから。内通者になれば釈放してやる、と言われ、嫌だというとまた殴打。

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