高浜の原発マネーの関電還流
高浜町元助役・森山栄治(故人)が関電幹部に贈った金品の由来は一体何処からで、誰が仕組んだのか? 素人目からすると、高浜町に流れ込んだ多額の原発交付金の一部が充てられた可能性が伺える。
だとしたら、我々が収めた税金が関電幹部の私腹を肥やすために使われたことになる。役員の辞任ごときで済まされる問題ではない! また、関電が自社の予算で各種の工事を発注し、その工事代金の一部を自分たちに還流させたとも考えられる。いずれにしても、(株)吉田開発の関係者が内部告発したのではないか、と筆者には思えてならない。
(株)吉田開発は高浜町地元の建設会社で、過去3年間で関電から約22億円の原発関連工事を受注していた。同社の売上高はこの5年間で6倍以上になり、関電御用達の地元企業として業績を延ばしてきた。同社が森山に約3億円を提供していたことは国税庁の調査でも明らかで、しかも森山は吉田の顧問だったというのだから「癒着・裏金・賄賂」の構造は誰の目にもミエミエ、これ以上の明らかな火を見ることは不可能だろう。
さて、高浜町の2019年度予算案を見ると、全歳入105億円のうち実に55億円が原発に関連する交付金だ。この「原発マネー」が町民の生活を支えてきたことは二言を要さない。しかも、公共施設や学校にはエレベーターやエアコンが「豪華かつ贅沢」に完備されていて、それが地元の「誇り」だというから呆れかえる。原発マネーへの依存は「シャブ漬け」に喩えられることが多いが、過疎や貧困に付け入って札束で頬を叩くような手法は、この国の全「国策」に共通すると言っても過言ではない。
「癒着・裏金・賄賂」の蔓延は この国の歴史そのものだ
軍事基地、空港、原発、ダム、道路、鉄道…巨大工事やプロジェクトは人命と人権を蔑ろにしつつ、「金をやるから文句は言うな」と民衆に恫喝を強いる。その陰で、賄賂は確実に実行される。汚職と疑獄は、この国の歴史そのものだ。
昭和電工事件(1948年)、造船疑獄(1954年)、ロッキード事件(1976年)、ダグラス・グラマン事件(1979年)、撚糸工連事件(1986年)、リクルート事件(1988年)、明電工事件(1988年)、東京佐川急便事件(1992年)、ゼネコン汚職事件(1993年)、特別養護老人ホーム汚職事件(1996年)、防衛施設庁談合事件(2006年)、文部科学省施設整備汚職事件(2008年)……枚挙にいとまはない。
収賄側の関電幹部が受け取ったのは、菓子箱の底に隠した小判や50万円相当の仕立券など「賄賂の定番商品」ばかりだ。仕立券を金券ショップに持って行けば、額面よりは安くなるが現金化できる。
贈賄側も、金券ショップで安く購入していたのではなかろうか? セコイと言えば、セコイことこの上ない。今回の問題は、単に原発マネーや行政と企業の癒着の問題とだけと捉えるのでなく、この国の資本主義の汚濁にまみれた歴史上に位置づけるべきだ。Make Capitalism History!