【連載維新批判(1)】高槻「タチソ」の朝鮮人強制労働 維新の会市議が根拠を否定 高槻市議会議員 高木 りゅうた

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「表現の不自由展」中止 戦争責任否定は維新も同じ

 あいちトリエンナーレの「表現の不自由展」をめぐる一連の騒動のなかで、大村秀章愛知県知事に対する見方が変わった。  

彼は、表現の自由についてまともな見識を持ち、平和の少女像や天皇の写真を扱った作品の意味もわからず、在特会の連中と一緒に座り込み抗議をした河村たかし名古屋市長を「ヘイトまがいのスピーチは公職者のやることとは思えない。極めて危険」と批判した。てっきり大村知事と河村市長は同類と思い込んでいたので、余計にまともに見えたのかもしれないが、さて問題は大阪の知事と大阪市長である。  

松井市長は少女像を「デマの象徴の慰安婦像」と罵り、吉村知事は大村知事を「辞職に値する」と攻撃した。両者とも河村氏と同様に、その辺のネトウヨレベルである。こんなのが首長を長年務めるのだから、大阪はもう終わっている。……大阪よ、さようなら。  

とはいかないのが悲しいところだが、維新の代表がネトウヨならば、所属する議員たちも然り。高槻市の隣の島本町には桜井誠(在特会)のSNSに熱烈な応援メッセージを送っていた人物が、維新から立候補して当選している。  

高槻市議会では4月の選挙で、維新議員が2名から6名に増えた。これまでは維新と名乗ってはいたものの、非維新の市長と対立することもなくほとんどの議案に賛成し、たまに市営バスの民営化に言及するくらいで、存在感はそれほどなかった。そんななか選挙後初の市議会一般質問において、維新の新人議員のひとりが「タチソの銘板は史実に基づかないものだ」という質問をした。  

タチソとは「高槻地下倉庫」の略称で、太平洋戦争末期に、陸軍が掘り始めたトンネルを、途中から川崎航空が戦闘機製造工場として操業を予定していた遺構のことだ。24年前に大阪府と高槻市が共同し、そこにタチソの保存に携わっていた市民団体も参加して、タチソの銘板が建てられた。 

銘板には「このトンネル工事には(中略)強制連行その他の手段で集められた、3500人ともそれをはるかに超えるともいわれる朝鮮人労働者が投入され、多くの死傷者が出たともいわれています」と書かれており、実際にこの地域は戦後も朝鮮から来た人びとが居住していた。  

維新の議員は、銘板のこの部分を念頭に「根拠がない」と指摘したと思われる。思われるというのは、維新の議員は、銘板のどこが史実に基づかないのか最後まで明らかにしなかったためだ。これはあえて具体的な記述に触れず、「タチソの銘板は事実でないことを書いている」というような印象を与えられればよい、という計算があったのだろう。  

松井市長・吉村知事も 在特会と同類

ここで想起されるのは、吉村知事が大阪市長時代に、サンフランシスコ市に設置された慰安婦像の碑文に文句をつけて姉妹都市提携を解消した件だ。維新の新人議員は銘板の撤去を求めることはしなかったが、それも時間の問題かもしれない。ちなみにこの議員は、9月議会では北朝鮮拉致問題を学校教育で啓発するよう求めていた。それをいうなら、拉致問題解決を連呼しながら、その糸口を完全に閉ざした安倍首相こそ批判と啓発の対象にすべきではないかと思うが、そんな観点は持ち合わせていないのだろう。  

ともかく改革政党のイメージをふりまきながら、維新は日本の戦争加害の歴史の否認、歪曲に熱心な政党である。そしてそれは、直近の韓国嫌悪やヘイトスピーチの温床となっている。大村知事の言葉を借りれば「極めて危険」である。

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