日韓対立 根底にある日本人の根強い朝鮮人差別
日本の朝鮮を蔑む意識はどこを起点とするかは分からないが、1592年、豊臣秀吉が朝鮮国王に従属を迫り2度にわたり侵略した文禄・慶長の役を、かつて「朝鮮征伐」と歴史教科書には差別的に記されていた。
1875年、明治維新後日本は富国強兵の号令のもと日清戦争、日露戦争へと突き進み、1910年には韓国を併合、植民地化した。その強引さの裏には、欧米列国への劣等感を何とか払拭したいという日本帝国主義者の願望が働いていたとされる。
その後35年間、日本帝国主義の朝鮮支配をはじめ中国・東南アジア諸国への侵略・過酷な略奪政策が採られ、物資はもとより本土の労働者不足を補うための強制労働や、慰安婦の拉致は当然のようになされた。第二次世界大戦末期には朝鮮や台湾では徴兵まで行われ、その結果、戦後の東京裁判で朝鮮人兵士148人がBC級戦犯に問われ、23人が刑死した。祖国からも日帝加担者として扱われ、恩給も補償もなく見捨てられている。
また関東大震災におけるデマにより、大杉栄ら社会主義者らとともに6千人あまりの朝鮮人、中国人が虐殺された。近年その事実を封印しようとする動きさえある。毎年9月1日「関東大震災朝鮮人犠牲者慰霊祭」に、小池百合子知事は「事実か否か不明」として就任以来この3年間追悼文送付を拒否している。
今も残る植民地支配意識
韓国併合に遡れば100年有余の歴史のなかで作られてきた韓国蔑視の意識が、日本人に染み付き今もって消えない。根拠のない「韓国より優越だ」とする意識が未だに染み付いている象徴が、この7月、河野太郎の「徴用工問題」を撤回しない韓国大使に向けて発した「無礼者」発言だ。次いで韓国への輸出規制を自民党内の慎重論を押し切り主導したのは、安倍首相であり、菅官房長官、河野外務大臣たち官邸だ。その言い草が「ケンカは一発目が重要」とはよく言ったものだ。最初から強硬策をとれば韓国は折れてくるし、国内の安倍支持率も上がると踏んで参議院選挙前に強行した。
誤算は、韓国が屈服するどころか、米国の反対を押し切り日本との軍事協定包括保護協定(GSOMIA)の破棄を通告してきたことだ。まさに文大統領は、「もう二度と屈服しない」姿勢を貫き、韓国人民も圧倒的にこれを支持した。
日本商品の不買運動は一気に広がり、日本への観光ツアーもキャンセルが相次いだ。日韓貿易収支も7月から赤字に転じており、今後さらに悪化するとみられる。
もはや韓国は経済的にも軍事的にも日本を向いておらず、中国、ロシアなどとの関係重視に舵を切った。そして、明らかに共和国との関係改善、通商貿易の復活、その先には「南北統一経済圏」を構想しているように伺える。
韓国人民が根本的に問うているのは、日本の韓国に対する優越意識だ。文在寅大統領の「二度と日本には屈しない」とは、韓国がかつて植民地化されていったことへの自己批判も込められている。
そこにはユダヤ人ホロコーストを今も謝罪し続けているドイツと、日本との大きな違いがある。そしてその違いは、ナチス思想を徹底的に批判するドイツの教育と、アジア諸国を侵略した日本の植民地主義を曖昧にし続ける日本によく表れている。
日本の教科書では今や「慰安婦」や「徴用工」あるいは「南京大虐殺」という事実さえ消され、メディアの「嫌韓」報道に中高年齢層を中心に「韓国なんかに負けてたまるか」という差別意識から逃れられないでいるのが、日本人の姿だ。そんなに遠くないうちに日本はアジアから孤立するのは見えている。
韓国で曺国(チョグク)法務大臣が辞任に追い込まれたことに、日本のメディアは大騒ぎしている。真相は不明だが、「森友・加計事件」を未だ覆い隠している官邸と癒着したメディアにそれを批判する資格などない。