僕のまちの市役所窓口に、銀行でよくある受付票の発行機がある。番号の小さな紙を取り、順番がくると自動音声で呼び出されるが、「○番の番号札をお持ちのお客さま、○番窓口までお越しください」と案内する。お客さまか!? 役所の職員に話しても、「何が問題なんでしょう?」と、話にもならない▼近年、自治体運営で何でも民間営利企業のやり方をまねる風潮が目立つ。「民間ではあり得ない!」という言葉が、殺し文句のように使われる。当たり前! 民間じゃなく自治体、営利企業とは違う論理と価値観で運営されてるから、同じじゃダメ! そんな当たり前の疑問を抱く人は少数派らしい▼行政サービス(この言葉も曲者だが)を商品、税金を代金になぞらえ、市民は「お客さま」、役所は「サービス業」。この理屈では、「社会を維持するために、みんなが応分の負担をする」とはならないし、低所得で非課税の人は「お客さま」ではないのでサービス対象外となる▼何でも民間委託・民営化が進み、図書館も市民会館も水道も公園も売り渡されようとしている。最後は「自治体の民営化」で、すでにアメリカでは近いことが始まっている。「○番のお客さま」という音声が当たり前になった先には、自治体民営化が待っている…なんて、考えすぎかな? (真)